zato787さん
トヨタ C-HRハイブリッド
グレード:ハイブリッド G(CVT_1.8)
2016年式
乗車形式:その他
トヨタ車の今後が楽しみなシャーシ(ターボG-T,ハイブリッドG)
2016.12.17
- 総評
「プリウスベースの小型SUVを作ればきっと売れる」
トヨタもそんなことはわかっていたが、分かっているが故に失敗はできない。ここはひとつ、手堅くいかねばならない。こうした案件を担当したサラリーマンは、普通は腰が引けるものだが、幸か不幸か、「プリウスは、TNGAを生かしきれてない」という認識がトヨタの社内の中にあった。 そこを思い切ったデザインと、「欧州で戦うには、日本マーケット向けの作りではだめだ」と経営層やその他の抵抗勢力を抑えてTNGAを生かすチューニングを発売してしまったところが、トヨタという会社組織の強さを表している。 これではまるで会社の規模が1/10以下のマツダのクルマ作りである。(案外、羨ましかったのかもしれない)
トヨタが作った「マツダ車」は、驚くべきものになった。
ステアリングフィールが非常にすっきりとしており、他のトヨタ車とは全く違う、似通ったメーカのフィールを探しづらいが、マツダ+VWと言った感じか。中央部分の曖昧さがなく、ステアリングの操作とヨーの発生のラグが小さいのに、乗り心地も固くなく、ロールも過大にならないので、左右への旋回が気持ちが良い。 道路のアンジュレーションや段差の乗り越えも、サスペンションがしっかり動くので、ショックの伝わり方に角がない。トヨタの他のクルマと比べて頭一つ上に出ていると言える。トヨタの中で、ピロボールの採用には相当にもめたとのことだから、市場でこの車の乗り心地が高い評価を受けることを期待したい。
これは想像だが、できれば、フロントはダブルウイッシュボーンにしたかったんだろうなということが、ロール角度が大きくなるコーナーリングをすると感じる。追い込んで目いっぱいロールさせて高速旋回を繰り返すと、マクファーソンストラットの限界から、経路が安定しなくなっていくが、その地点までシャシーがしっかりダンパーを抑えているので、相当に高いレベルまでいかないと破たんしない。 つまり、そういう使い方(主に欧州での使用用途として)を想定してテストされているということだ。 だから、マクファーソンストラットの限界についてもこうした手を打ったのだろう。
内装は、非常にトヨタ的だが、その代わり、これでもかという仕上がりになっていて、メーターフード、ドア周り、シートのキルティングなど、多くの人が満足すると思う。もう少し内装の色に凝るといいと思うが、プリウスみたいになっても困るので、まずは無難な色からってのは理解できる。 外装はトヨタが品質のポイントに置いているチリのサイズを小さくしようとした努力があちこちに見られる。複雑なカットをしたボディがそれなりに小さな公差で組みあがってる様はまさにトヨタ車の伝統的な長所と言える。 このクラスだと、ヴェゼルとCX-3という強力なライバルがいるが、価格と商品力は両車に十分伍していけるクルマになっている。
- 満足している点
- プリウスがこのシャーシに改良され、デザインがもう少し万人受けするものにマイナーチェンジするべきなんではないか、と思わせるほどよくできたシャーシとサスペンション。
それを生かすステアリング装置とダンパー類も加わって、弱点と言われていたトヨタのシャーシが一足飛びに進化したことを感じさえること。 マクファーソンストラットでもここまでサスペンションのジオメトリが維持できることを感じさせるところ。
- 不満な点
- クルマとしてよくできているから、きっと売れると思う。
私が感じる不満な点など、もはや難癖にすぎない。 しかし書いておく。
デザインに対する感じ方は個人差がある。ダイヤモンドをイメージにデザインしたボディは写真で見るよりもグラマラスで、トヨタの独自感は感じる。だから、C-HRのデザインが大好きという人がたくさんいても全く不思議ではない。 しかし私は、直線をベースにするなら、ガンディーニのように全体デザインにおいて、ダイアモンドのラインを徹底すればいいと思うのだが、ちょこちょこと不思議な曲線が混ざっているところが気になる。プリウスがデザイン面で成功したようには見えていないので、そこが少し不安である。
トヨタのハイブリッドエンジンは、誰もまねできない素晴らしい動力装置だと思うが、好き嫌いでいえば、クルマが好きな人を、「クルマなんて、燃費が良くて動けばいいのよ」という道に「堕落」させるものだと思ってるので、私は好きではない。 かといって、1.2Tはターボラグが大きく、トルク特性もイマイチな上にCVTの設定が、速度ごとにムラがあって、低速でエンブレをかけた時に、ブレーキ感が突然薄くなるなどの調教の不徹底があるので、さらに選べない。
最大の美点である、ボディ剛性だが、ハッチバックボディ故に仕方のないことだが、リアサスペンションの上部の剛性が、他のところに比べて低く、衝撃エネルギーがそこに集中してしまい、ダンパーの動きを若干遅延させている。 市販車として文句をつけるべきところではないが、気になる人は少し補強した方がよりよくなると思う。
- デザイン
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- 走行性能
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- 動力性能は車重の差はあれど、公道で使う分にはプリウスと大きな差はなく、100km/hまでの加速に不足なし。 ターボは、ゼロスタートをするとターボがかかるまでに0.5秒程度のターボラグがあるが、加速力そのものは悪くない。 80km/hを超えると勢いが落ちてくるが、100km/hまでの実用加速という意味であれば、1.2Tでも不足はない。
- 乗り心地
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- 現在、販売されているトヨタ車の中で最良だと思う。ボディ剛性が高いTNGAフレームと、前後のサブフレームが、恐らく今までと違う方法で接合されており、シャシー剛性が非常に高い。 ブッシュがピロボールであるのに、乗り心地に硬さや不愉快な突き上げは全くなく、高い剛性故の初期ロールも、ザックスのダンパーとバネでしっかり制御されており、コーナリングフォームも安定している。 86Koukiのザックス付きと比べても、C-HRの方が雑味が少なくしなやかな乗り心地が実現されている。 明らかにこれまでの柔らかゴムブッシュ採用のぐにゃっとしたトヨタ車ではない。
- 積載性
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- 積載性は、ライバル車のヴェゼル、CX-3と比べて悪くないが、リア剛性確保のためにテール開口部を小さくしたことで、大物は載せづらい。
- 燃費
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- 1.2Tも意外と燃費は良い。 街中+高速で、車載メータで20.2km/㍑くらいが出る。 ターボモデルは、使い方によって変わるが、車載モニターでは10.1km/㍑の表示であった。
- 価格
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- 故障経験