イギリスのアレックス・イシゴニスが設計したオースチン・ミニは、前輪駆動で非常に小さなBodyを持っていましたが、イギリス人は体格も大きいのに、なぜあのような小さな車を作り上げ販売したのですか？

Question

#アレックス
#ミニ

Answer 1

※まず。
昔のクルマの設計には、『余剰分』がありませんでした。
クルマの設計では、ヒト型のトルソーというかテンプレート（マンサイズと言います）を使って居住空間やシートを設計しますが、昔のクルマはこのマンサイズが『キッチリ』入ればOKという設計基準になっていて、余裕はなくてもよかったのです。
キッチリ・・・というのは、図面上で隣のヒトと肩が密着してもOK、後席の乗員のヒザが前席のシートバックに接触してもOK、肩が重なったり前席にヒザがクイ込んだりしたらNGという基準になります。
ミニ以外でも、フィアット・ヌォーバ500（いわゆる『ルパンのフィアット』）、シトロエン2CV、日本の360㏄時代の軽自動車などが、こういう基準で設計されています。（尚・・・鉄道車両や旅客機の2等客席は、今でもこの『キッチリ』レイアウトで設計されています。）

※またこの基準となるマンサイズは、ミニが設計された時代は現代の基準より一回り小さく、シートの大きさやシート間隔が現代のクルマよりも小さく・狭くなっていました。

※更にミニの場合。
オースチンがミニを作る以前、オースチンA30という800㏄の最小クラスの乗用車があって・・・
https://live.staticflickr.com/8398/8677893863_6eb2a273aa_b.jpg
・・・コイツが、車内は狭いくせに車体サイズがやたら大きいクルマでした。
そこで、車内寸法はコイツ並みか少し広い程度を確保しつつ、外寸を限界まで切り詰めたらミニになったということです。（要するにミニのあの小ささは、車内寸法が先に決まっていて出来上がったものということです。）

>イギリス人は体格も大きいのに、なぜあのような小さな車を作り上げ販売したのですか？

イギリス人が大きいというのは、誤解です。
年間の日照時間が短い英国では、高身長なのはフランスや南イタリア等に避寒に行ける上流階級の者だけで、労働者階級のマンサイズはそれほど高身長ではありません。身長170㎝台後半がザラとなった現代の日本の若者の方が大きいぐらいです。（英国人自身が、『ズングリしたヤツは労働者、ヒョロッとしたヤツは名門の出』と言っていました。）
現代の日本人にとっても『必要な空間はあるが、十分ではない』ローバー・ミニは、当時の英国人にとっても同様だったということです。

ところで細かい話ですが。

>イギリスのアレックス・イシゴニスが設計したオースチン・ミニは

ミニの設計責任者はアレック・イシゴニス（Alec Issigonis）です。
ミニの設計で『アレックス』というと、あの妙な形のゴムばねを設計した英国ダンロップ社のアレックス・モールトン（Alex Moulton）です。
実はどちらも本名はAlexander（アレキサンダー）なんですが、イシゴニスの方はAlecと呼ばれ、モールトンの方はAlexと呼ばれた不思議。
英語の省略名の『法則』は、どうも未だに良く判りませんが、イシゴニスの方はその『聞き慣れない』苗字の通り元は英語圏のヒトではなく（父方の祖父がギリシャ人の英国移民）、アレックというのはヘレニック語風の省略の仕方なのかもしれません。

質問者からのお礼コメント

わかり易く、詳細に教えて頂き、大変に有難うございました。とても興味深く読ませて頂きました。素晴らしいです。感謝致します。

Answer 2

車室内高は結構大きいです。

ミスター・ビーンも乗っていますから♪