世界を相手にする骨太コンパクト
スズキといえば日本国内では軽自動車専業で、軽のボディサイズを拡大しただけのような普通車を片手間に売っていたようなイメー
2007.12.19
- 総評
- 世界を相手にする骨太コンパクト
スズキといえば日本国内では軽自動車専業で、軽のボディサイズを拡大しただけのような普通車を片手間に売っていたようなイメージがありますが、現行スイフトの登場以降、全くイメージを変えたように思います。スイフトは登場して以降、各方面で非常に評価が高く、販売台数もスズキの小型車としてはかなり堅調に推移しているようです。
スズキは軽自動車ではダイハツと熾烈なシェア争いをしていますが、スイフトをはじめとする普通車については、ハンガリーやインド、中国でも生産されることからわかるように、日本国内市場よりもむしろ世界に眼が向いています。そのせいか、スイフトはコンパクトカーとしては異例の、しっかりした乗り味を持った骨太な車です。
私は現在車の買い替えを検討しており、この車の直後に比較のためトヨタヴィッツにも乗りました。この二車を比べると、確かに室内の広さや装備、燃費など、誰にでもわかりやすい部分についてはヴィッツの方が優れているのですが、ハンドリングなど動的性能については、比べるのも愚かなほどスイフトのほうが優れています。
スイフトは街中や高速、ワインディングなど様々な場面でコンパクトカーらしいキビキビした運転が楽しめるのに対し、ヴィッツは一見ユーザーフレンドリーに見えて、実は車からのインフォーメーションが少なく、運転というよりも単に移動のための作業をしているという気分になってきます。
車が好きな方、車に単なる移動手段以上の価値を求める方であれば、迷わずスイフトの方をお勧めします。
※
余談ですが、旧型スイフトには79万円という低価格と燃費が売り物の反面、いかにも軽のボディサイズを拡大しただけのチャチな車というイメージがあったため、現行スイフトのデビュー当時は正直「見た目だけちょっと欧州車風にした安車だろう。どうせスズキだし」と内心馬鹿にしていたのですが、乗ってみるとその考えは間違っていたことに気づきました。スズキだから、コンパクトカーだからと思っておられる方にこそ乗ってみて欲しい車です。
- 満足している点
- ・大人が乗れる雰囲気
国産コンパクトカーは女性向けを明確に打ち出した車が多い中、スイフトは大人の男でも乗れる雰囲気を持っています。(もっとも、スズキとしては女性オーナーの比率が少ないのが悩みのようで、女性を意識した「STYLE」というグレードをマイナーチェンジ時に追加していますが…。)
クラシックミニやビートル、ユーノスロードスターなど名車と呼ばれる車は老若男女どんな人が乗っても似合いますが、スイフトにも名車の素質があるのでしょうか。
・しっかりしたハンドリング
ハンドリングが非常に素直で、自分の想定したラインをトレースすることができ、かつステアリングを通じて路面のインフォーメーションが的確に伝わってきます。また高速では車格を感じさせない、どっしりした直進性があります。コンパクトカーといえば装備や内装の充実に重点を置き、走行性能は必要最低限という車が多い中、顧客に媚びるよりも自動車に本当に必要な高いシャシー性能を備えていることは、車に対して本質的な信頼をおくことができます。
・必要十分なエンジン性能
試乗車は1,200㏄のXG LパッケージのCVTでしたが、街中では多少流れの速い道であっても動力性能に十分余裕があります。高速道路でも法定速度プラスアルファ程度であれば余裕綽々です。
・自然な味付けのCVT
山道や高速道路でアクセルを全開にした際にもCVTにありがちな、エンジン音だけがうるさくて加速感がついてこないということがなく、自然な加速フィールです。
エンジンブレーキを利かせたい時にSレンジに入れると、シフトダウン(CVTでもシフトダウンと言うのでしょうか?)の反応が速く、スポーティな運転が楽しめます。
巡航中は、ヴィッツのCVTは燃費対策のため異常に低いエンジン回転数で、中間加速時に一瞬もたつく感じがありますが、スイフトはそのようなことはなく、ドライバーの意思に車が素直に反応してくれる感じです。
・乗り心地の改善
以前スイフトがデビューした直後に乗ってみたことがあるのですが、初期型はかなり乗り心地が硬く、また車内騒音のレベルが高くて、お世辞にも快適な車とはいえませんでしたが、マイナーチェンジを経て最新型は乗り心地を向上、騒音レベルを低減させ快適性がかなり向上しています。
- 不満な点
- ・燃費が良くない
この車についてよく言われる点ですが、燃費はあまり良くないようです。試乗車はマイナーチェンジ時に登場した1,200㏄エンジン+CVT車だったのですが、市街地、山道、高速道路を1/3ずつ走って13.5㎞/L(インフォーメーションディスプレイ表示値)でした。山道や高速では燃費を気にせず結構飛ばしたのでそれほど期待していなかったのですが、もう少し頑張ってほしいところです。
・回転半径の大きさ
この車のもう一つの弱点として有名ですが、回転半径が大きくサイズの割に取り回しは良くありません。さほど道幅が狭くないところでも、Uターンをしようとすると、道幅や車の流れをよく確認しなければなりません。
ただ185/60-15タイヤを履くXGやXSは5.2mなのですが、165/70-14タイヤのXEやSTYLEだと4.7mになります。185幅のタイヤはこの車の性能に対してやや過剰であるようにも思えるので、標準を165、オプションで175~185でよいのではないでしょうか。
・販売店の体制
スズキの販売店といえば店舗で販売するよりも業販の割合が高く、店舗に行っても適当にあしらわれることが多かったです。(ある意味レクサスより敷居が高い(笑))
今回は知人の紹介だったのでそんなことはなかったのですが、スイフトのような素晴らしい車を埋もれさせないためにも、一見の客が来店しやすい店作りが必要ではないでしょうか。
・安全装備の省略
カーテン&サイドエアバッグやディスチャージライトがXGやXE、STYLEではオプションですら装着できません。安全性に直結する装備は全車に標準装備していただきたいものです。
・重量を1t以内に抑えてほしかった。特にXGの2WD・CVT/MTなどは重量が1,000㎏ちょうどなので、もう10㎏削れば重量税が安くなったのに…と思ってしまう。
・スイフトスポーツだけでなく、標準車にもレカロシートのオプションがあればよかった。
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