思ったより薄味
以前から出る出ると言われ続けていた、スバルオリジナルの3列シートミニバンがついに登場しました。
実車に触れて乗ってみた感想としては、
2008.6.21
- 総評
- 思ったより薄味
以前から出る出ると言われ続けていた、スバルオリジナルの3列シートミニバンがついに登場しました。
実車に触れて乗ってみた感想としては、インプレッサ、フォレスター、そして今回のエクシーガと新型車が出るたびに従来のスバルらしさが希薄になってきているなあという印象です。外観は現行レガシィをタテに引き伸ばした印象、一昔前のスバルの車で特徴的だったドロドロという排気音もなく、内装パーツにはトヨタ車と共通のパーツが散見されるなど、よく言えばとっつきやすく、悪く言えばスバルらしからぬ没個性な車であると感じます。5年前にこの車が登場していればまだインパクトがあったのでしょうが、現時点ではやや登場が遅れたなという感が否めません。
それから、この車の開発スケジュールからして、トヨタが関与できた期間はそれほど長くないと思えるのですが、それでもトヨタが関与していることの良い点と悪い点両方を感じ取ることができるのが興味深く感じました。
以下詳細を述べていきます。
- 満足している点
- ・ボディサイズを感じさせない取り回しのよさ
大柄なサイズのわりに取り回しは非常に良好です。前後左右のウインドウ下端が低く、車両直近の確認がしやすく安心感があります。また、角ばったデザインや盛り上がったフロントフェンダーの峰のおかげで車両感覚が掴みやすく、バックモニターなどがなくても駐車が容易にできます。
・極端に凝ってない3列目シートの収納
最近のミニバンは3列目シートの収納が凝っている車が多く、折りたたんで跳ね上げるのにスプリングを使ったり、床下にダイブダウンさせたり・・・と工夫を凝らしていますが、いざシートに座ってみると座面が極端に小さかったり、クッションが薄く座り心地が悪かったり、またシート収納の操作が煩雑だったりと、実用性に疑問がある車があります。
エクシーガの3列目シートはシンプルな背面可倒式ですが、シートアレンジにあまり凝らなかったことにより、シート自体の座り心地や大きさがまずまずのレベルで確保されていますし、シートバックを倒して荷室を広げるのも非常に簡単です。
荷室スペースは、床面が確かに多少高く感じるのですが、全高が高く、また床面がほぼフラットになるため、実用面で不満が出ることは少ないのではないでしょうか。
・2WDの設定グレードが多い
エクシーガにはスバルの車としては珍しく2WDの設定が豊富で、最上級のGT以外はすべて2WDと4WDの二本立てです。
スバルの車といえばなんと言っても4WDですが、降雪地域以外のユーザーにとっては、燃費の悪化や重量増など4WDゆえのデメリットは気になる点です。2WDの選択肢が増えたことは正直ありがたいです。今後のレガシィのモデルチェンジ時にも2WDの設定を拡大させていただきたいと感じます。
・ある意味トヨタ的なバランスのよさ
総評でも書いたとおり、従来のスバル車らしい個性は希薄なのですが、逆に全く初めてスバルの車に乗る人にとっては、あっさりした外観スタイルや使い勝手のよい室内空間など、抵抗感なく受け入れられる雰囲気があります。もしもこの車が完全にスバルオリジナルで発売されていたとすると、かなりマニアックな独りよがりな車になってしまったかもしれませんね。こういった点には多少なりともトヨタの意見が反映されているのでしょうか。
- 不満な点
- ・車重の重さを感じる
試乗車は2.0i-Sの2WD(148PS、車重1,490㎏)ですが、街中でも緩慢さを感じる動力性能です。ミニバンとしては低い全高やスバルご自慢の「低重心」設計のため、いかにもミニバン的な上屋の重いもっさり感はないのですが、車重に対して絶対的にアンダーパワーです。もう少し軽量化を頑張っていただきたいところです。
・排気量2.5L程度が適切では?
この車重で、さらには多人数乗車の可能性を考えると、2Lエンジンは力不足であると感じます。レガシィにラインナップされている2.5Lエンジンが適切ではないでしょうか。
また、原油高かつ環境問題の喧しい昨今、スポーツカーでもない車にハイオクガソリン仕様のターボ車が設定されているのはいかがなものでしょうか。2Lターボってこの車のキャラクター(さらにはレガシィも)に似合わないように思うのですが・・・
・ブレーキの効きがいまひとつ
車重が重いことに関連するのですが、ブレーキの効きがあまりよくありません。60キロ程度からやや強めのブレーキをかけると、ローターにパッドが喰いつかず、「ツツツ~」と滑走していくような印象を受けます。ターボの方がNAよりブレーキローター径が大きいのですが、NAもターボと同径にすべきではないでしょうか。
・ドアミラーが小さく見にくい
レガシィ、フォレスターなどは大きく見やすいのに、なぜかエクシーガはドアミラーが小さく、後ろがやや見にくいです。
・GTの内装の質感
2.0GTの標準仕様のシート生地は合成皮革+ファブリックなのですが、この合成皮革の部分が非常に安っぽく、ビニール丸出しです。2.0i-Sの全面ファブリックのシート地の質感は納得できるものなので、GTも共通でいいのではないでしょうか。
・個性の薄いキャラクター
長所のところで書いたこととやや矛盾するのですが、「スバルから3列シートのミニバンが出る」という噂を聞いたとき、昔からのスバルらしさが詰まった、マニアックな車が登場すると期待して、トヨタやホンダのミニバンとは違う、個性的な車になるだろうと思っていました。しかし、実際にエクシーガを目にすると、「よくできてはいるんだけど、何か物足りない・・・」という、まるでトヨタの車に抱くような感覚を覚えます。
こうやってスバルの個性が薄まり、トヨタ色が強まっていくのは、車好きとしては一抹の寂しさを感じます
- デザイン
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