ルノー ルーテシア 「モダンにまとめられたフランスの個性」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

モダンにまとめられたフランスの個性

2023.3.9

年式

2020年11月〜モデル

総評

試乗した「ルーテシア E-テック ハイブリッド」は、2019年1月に初公開されたモデルをベースに、2022年6月に国内に追加導入されたモデル。プラットフォームにはルノー・日産・三菱アライアンスが開発した「CMF-B」採用し、ハイブリッド機構は日産のe-POWERではなく、1.6L 直列4気筒ガソリンエンジン+2モーターのルノー製を採用している。ちなみにルーテシアの本国名は「クリオ」であり、ルノーがクリオを国内導入する際、ホンダが展開していた販売店名として商標登録していたため、ルーテシアとして導入された。（担当：KK）

満足している点

欧州車とは違うフランス車らしいやわらかいデザインもいいが「運転が楽しい」という部分にフォーカスしたい。特にこのハイブリッドモデルは1.6Lエンジンとモーターの組み合わせが素晴らしく、非常にパワフルでハンドリングも軽快。切ったら切った分グイグイ曲がっていく。特に中高速域はちょっとしたスポーツカーのような身のこなしを魅せてくれる。

不満な点

致命的なものはないが、強いて言うなら遮音性の低さかもしれない。速度を上げていくとロードノイズがどんどん大きくなり、長時間さらされると疲れるかもしれない。

デザイン

4

全体的に曲面で構成された「ぬるっとしたフォルム」が特徴的。国内では大前提として「普通のコンパクトハッチバックじゃ満足できない層」が買うクルマであろうから、その視点で考えるとこの個性的なデザインは購入層において満足度が高そうだ。むやみやたらに曲線を使っていわけでもなく、たとえば斜め後方から見ると踏ん張り感のあるいいフォルムだったりして、こういう絶妙なセンスはさすがフランスメーカーだなと思うところでもある。

走行性能

4

満足な点として申し上げてしまったので内容が被ってしまうが、走りが素晴らしい。特にこのハイブリッドモデルはパワフルでスムーズだし、切った分しっかり曲がっていくハンドリングも楽しいし、本当に運転が楽しいクルマだ。執筆現在（2023年3月）スポーツグレードは存在していないが、このE-テック フル ハイブリッドを選択すれば高いドライビングプレジャーをもたらしてくれるだろう。

乗り心地

3

「フランス車＝しなやかな乗り心地」というイメージを持っている方は多いかもしれないが、このクルマはだいぶドイツ車的。平たく言えば硬めでコシがある。ただそのしっかりした足があるからこそ軽快なハンドリングが実現しているとも言える。

積載性

4

ラゲッジ容量は391Lと、このクラスだと300L前半が多いのでコンパクトハッチバックの中では広い方である。

燃費

4

ちょい乗り試乗のため（60分程度）実燃費がわからないのでカタログ値を参考にすると、ハイブリッドの燃費はWLTCモードで25.2km/Lと国産ハイブリッドモデルに引けを取らない数値をマークする。輸入車のハイブリッドは燃費が微妙な数値のモデルもあったりするが、これは文句なし。

価格

3

ルーテシア E-テック ハイブリッドの車両本体価格は339万円と、コンパクトクラスと考えれば高め。輸入車だしといえばそれまでだが、たとえば骨格をともにする「ノート オーラ」（以降オーラ）と比較してみるとどうだろう。ルーテシアには「アダプティブクルーズコントロール（ACC）」と「レーンセンタリングアシスト」が標準で備わるが、ベースグレードとなる「オーラ G」はOP設定のため車両本体価格は269万9400円にOPプラスして310万900円となる。それでもざっくり30万円の差があるのでこのクラスではそれなりに大きな価格差ではあるが、ルーテシアが持つフランス車らしい個性的なデザインと切れ味のある走りをプラス30万円で手に入れられるなら？ と考えれば、なかなかいい選択肢になるのではないだろうか。