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【気になる輸入車(4)】革新と王道のA/B/Cセグメント最新動向2024「先んじて電動化か、最後までエンジンか」

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【気になる輸入車(4)】革新と王道のA/B/Cセグメント最新動向2024「先んじて電動化か、最後までエンジンか」

2023年は、アバルトがついにBEVモデルを発表し、中国市場からもコンパクトBEVが送り出されるなど続々とBEVニューカマーが登場したA/B/Cセグメント。一方で既存のガソリンモデルたちも勢いを増し、両者選び難きファンなクルマがたくさん登場して我々を魅了した。(Motor Magazine2024年2月号より)

エンジンに対する未練たっぷりな、アバルト
ボディサイズをむやみに拡大するわけにはいかない制約とともに、コスト面での競争力もより大きなカテゴリーのモデル以上に求められるのがA、B、Cセグメントに属するモデルたち。価格上昇に直結する電動化に関しても及び腰となることは避けられそうにない。

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

実際、2023年に日本に上陸したモデルを見てもBEVまで踏み込んだモデルはわずか。その中で一人気を吐く(?)のが、月に発売されたばかりの「アバルト500e」である。

ベースのフィアット500がBEV化されたゆえ必然的にそうせざるを得なかったという見方もできるものの、その潔さも相当なものなのが「アバルト初の電気自動車」と紹介されるこのモデル。

内外装デザインを誰もがこのブランドの作品に期待するであろう水準へと仕上げたうえで、前輪を駆動するモーターの最高出力をベース比で3割ほど向上。サスペンションにも専用チューニングを施したうえ、より大径のタイヤを装着するなど走りの面でもブランドに求められる期待に応えようと精一杯に頑張っている。

一方でブランド特有の排気音を長い時間をかけて「開発」のうえ、車外に向けたスピーカーから大音量で放出するなど、失ったエンジンに対する未練もタップリ。価格上昇や重量増を嫌い駆動用バッテリーをベース車から「流用」したため、航続距離はさらに短縮。高速道路を走ればおよそ2時間で電欠、という計算が何とも悩ましい。

もっとも、2023年中のアバルトは最高180psを生み出す1.4L直4ターボエンジンを搭載し、コニ製サスペンションやブレンボ製ブレーキを備える往年のファンにはより歓迎されそうな「695/695Cツーリズモ」や「695コンペティツィオーネ」もローンチするなど、まだ多彩な選択肢を用意。

ただし、前述のようにすでにベースのフィアット500がBEVへ移行しつつあるので、こうして純エンジン搭載のニューモデルが手に入るのは今が最後のチャンスかもしれない。

「コレクターズカー」としても注目されるウルティム
本国ではBEVやプラグインハイブリッドモデルなども用意するが、「プラグイン(外部充電)が必要なモデルは導入しない」という日本のインポーターのポリシーに基づいて輸入車としては珍しいフルハイブリッドシステム車を積極導入するのがルノー。

2023年6月に追加設定された「ルーテシアEテック エンジニアード」は、駆動用メインモーター/ハイボルテージスターター&ジェネレーターを1.6LのNAエンジンと電子制御のドッグクラッチマルチモードATで繋ぐルノー独自のハイブリッドシステムを搭載する。

そのうえでF1マシンを彷彿とさせるウォームチタニウムカラーのフロントブレードやリアバンパーフィニッシャー、カーボン調のダッシュボードなどの採用により、シリーズ中でも特にモダンでスポーティな雰囲気が醸し出された1台に仕立てられている。

スポーティと言えば、ルノーのスポーツモデル部門が今後アルピーヌに移行ということで、「ルノー・スポール」の名を冠したモデルとして最後となるのが2023年4月に発売されたのが「メガーヌR.S.ウルティム」だった。

ルノー・スポールの設立年にちなんで世界で1976台が販売されるこのモデルは、メガーヌR.S.トロフィーをベースに、ルーフとボンネットに配されたロザンジュをモチーフとしたブラックマットストライブ、ブラックアウトされたロゴ、ブラックの「フジライト」ホイールを採用している。

さらに、センターコンソールには開発ドライバーでニュルブルクリンク市販FF車の最速記録を持つロラン・ウルゴンのサイン入りプレートを装着して「コレクターズカー」としての個性を強めている。

さらに2024年は、ルノー ルーテシアの動向も気になるところだ。本国では2023年5月、ひと足先にマイナーチェンジモデルが発表された。新たなルノーのロゴデザインをまとった新しい意匠が施されたている。

Cセグメントの動きは小規模。一方でスポーツモデルは熱い
BEVのID.4の販売が日本でも本格化したフォルクスワーゲンは、2023年はその他のモデルの存在感が薄かった印象は否めず。その中で目を引くのはゴルフのハイパフォーマンスモデルである「R」の日本導入20周年を記念した「ゴルフR20イヤーズ」。

専用チューニングが施された2L直4ターボエンジンはベースモデル比増しの最高333psを発生し、0→100km/h加速を4.6秒でクリア。電子制御式可変減衰力ダンパー「DCC」にも専用モードが加えられている。

また同様に、大型で上級モデルのフル電動化を着々と推進するメルセデス・ベンツも、このカテゴリーに属するモデルたちの2023年のニュースは比較的小規模に留まったという印象。

2月にはAクラス/Aクラスセダン/Bクラス、9月にはCLA/CLAシューティングブレークのマイナーチェンジが実施されたがいずれも主要なメカニズム部分に大きな変更はなく、見た目や操作系のリファイン、インフォテインメント装備のアップデートなどがメインメニューとされている。

最後になるが、バッテリーメーカーが祖業の中国BYDから、日本上陸第2弾として「ドルフィン」が発売されたのも2023年のこのセグメントにおける大きなニュースと言えるだろう。363万円のベースモデルはCEV補助金を用いると200万円代を実現。価格競争力の高いBEVとして見逃せない存在だ。(文: 河村康彦)

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