日産 ノート e-POWER 「このクラスにおける「現在の最適解」」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
3
積載性
3
燃費
3
価格
4

このクラスにおける「現在の最適解」

2024.1.31

年式
2020年12月〜モデル
総評
圧倒的販売台数を誇った先代に対して、各要素をさらに熟成したことでますます「欠点の少ないクルマ」となった。ただ、それは決して面白みがないクルマというわけではなく、すべての要素が高いレベルにあるといっていいだろう。そういった意味では、このクラスを求めるユーザーにとっては最適解のひとつであると言えそうだ。
満足している点
スポーツカーをほうふつとさせるスムーズな走りや、クセのないデザイン、必要十分な燃費性能など、このクラスに求められる要素はすべて高いレベルにある。2023年11月に行われたマイナーチェンジにより、それらの特徴はさらに熟成された。
不満な点
このカテゴリーをリードするモデルだけあり、大きな欠点は見られない。そのうえで、気になる点を強いて挙げるとするなら、高速走行時の静粛性、室内収納の使い勝手、そして選択できるグレードの幅の狭さといったところか。ただし、いずれも購入したことを後悔するほどのことはないだろう。
デザイン

4

どちらかというと凡庸なデザインのエクステリアであるが、2023年11月に発表されたマイナーチェンジモデルからは、「水引」をイメージしたというホイールカバーや、「スミレ」や「ターコイズ」といったほかのモデルには見られない印象的なボディカラーが設定されるなど、このクルマにしかない特徴が増えている。インテリアはクセのない万人受けするものという印象。ただ、より上質なインテリアを求めるユーザーに対しては兄弟車のオーラが用意されているため、ノートはコストパフォーマンスを重視するユーザーに向けたという割り切りがなされていると言えそうだ。一方、ノートでも「エアリーグレー」という明るいインテリアカラーが選べるのはうれしいポイントだ。
走行性能

5

第2世代へと進化した「e-POWER」は、なめらかさや力強さ、静粛性などあらゆる面で進化している。ハンドリングや足回りも先代と比べて大きく改善されているため、ガソリン車からの乗り換えだとまるでスポーツカーのような感覚を覚えることだろう。一方、視界や見切りの良さは一般的なコンパクトカーと同等であるため、運転のしにくさを感じることはなさそうだ。先進安全運転支援システムの「プロパイロット」をはじめ、ドライバーをアシストする数々の機能も魅力的だ。
乗り心地

3

重心の低い接地感のある走りはドライバーにとってはメリットと言えそうだが、同乗者にとってはやや突き上げを感じる部分も多い。とはいえ「乗り心地が悪い」というほどではなく、一般的なコンパクトカーと比べても見劣りすることはないだろう。市街地などの低速走行時には「e-POWER」の静粛性が際立つが、高速走行時にはガソリン車同様のエンジン音が車内に入ってくる。先代と比べれば大きく改善しているものの、その点が今後の課題と言えそうだ。
積載性

3

ラゲッジルームは取り立てて広いわけではないので、過度に期待しないほうがいいだろう。また、後部座席を倒してもフルフラットにはならない点にも注意が必要だ。それ以外の収納についても、必要十分といったところ。運転席と助手席の間にあるセンターロアボックスはボックスティッシュがちょうど収まるサイズだが、取り出しにくく、使い勝手がよいとは言えない。ただ、全体としては過不足ないといったところだろう。
燃費

3

ほかの「e-POWER」搭載車同様、ハイブリッドであるとはいえ、燃費性能に特化しているというわけではない。それでも、2WD車であれば実燃費は20km/Lを余裕で超えるため、燃費性能に不満を感じることは少ないだろう。ただ4WD車に関しては、カタログ燃費も実燃費も2WD車に比べて大きく悪化する。4WD車のドライブフィールの良さは特筆に値するが、燃費性能を重視するのであれば2WD車を選んでおいたほうが無難だろう。
価格

4

乗り出し価格250万円前後で買える実用車としては、もっともベストな選択肢のひとつと言えるだろう。唯一の残念な点としては、マイナーチェンジにより選択できるグレードの幅が狭まってしまったことだ。ただ、ノートには上級モデルのオーラが存在しているため、実際には大きな問題とはならないだろう。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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