BMW 1シリーズ ハッチバック 「SILKY FOUR」のユーザーレビュー

SILKY FOUR

2024.3.5

総評

コンパクトなボディに、シルキーフォーと言っても過言ではないほど滑らかな強心臓のパッケージは素晴らしく、Cセグメント唯一となるFRのハンドリングも素直で自然、８ATはドライバーを先回りしてくれるかのような緻密な制御。
足回りはしなやかで、ロールはするも、高速安定性は高く、快適で、適度にスポーツな走りが楽しめます。
中古車での価格帯もこなれており、素性の良いノーマルで乗るも楽しですが、アフターパーツも豊富、他のFシリーズとの互換性も高く、DIYでのメンテ事例も数多くあり、パワートレインは伸びしろ十分なことから、チューニングベースにももってこいです。

満足している点

コンパクトなボディサイズ、リッター100psを超えるFRに加え、贅沢な８ATは、不世出のパッケージング

不満な点

ラインオフから10年以上が経過し、プラゴム部品を中心にマイナートラブルが出始めているところ。
思ったよりも伸びない燃費、前期型故にパドルシフトがないこと、盛大なブレーキダスト（社外品に交換済み）、重いランフラットタイヤ（これも交換済み）、後部座席の窮屈さなどなど。

デザイン

5

ファニーフェイスと揶揄され、BMWも速攻でフェイスリフトをした個性的なフロントマスクは、アルファ156、166のバタ臭い前期型が大好きな私にはドストライク。
1年前の春、桜の花弁とともに天へと旅立ったミニチュアダックスのRANDYにも似たフォルムもあいまって、乗るたびに愛着が増していきます。

走行性能

4

170ps、25㎏の出力は、低速域から湧き上がる太いトルクの恩恵は大きく、痛痒さを感じることなく街中でも活発な走りが可能。
ただ、加速性能に過不足はないものの高速域でのパンチが不足しているため、bm3のStage1を施し、理論値として250ps、30㎏超の出力特性となり、胸のすくような加速と鬼トルクを獲得しました。
ちなみに、ブースト圧は、700kPa（≒0.7㎏/bar）から1200kPa（≒1.2㎏/bar）に上昇しております。
情感面で言うと、エンジンフィールが滑らかすぎる故に、サウンドが無機質、そしてフラットトルクがもたらす昂揚感の物足りなさを少々感じてしまいます。
足回りはMスポだけに適度に引き締まり、ロールも自然。FRならではのきびきびとしたハンドリングが楽しめるのも美点。

乗り心地

4

硬いには硬いながらも、そこはBMWが躾けた足回りとボディ剛性。無粋な突き上げもなく、パッセンジャーからも後部座席からもクレームが入ったことはありません。Mスポといえど、アウトバーンを快適に走行する味付けで、サーキットには不向きだと思われます。

積載性

3

後部座席はボディサイズからすると広めですが、そこはCセグメント、大柄な体格だと長距離移動はちょっとしんどいかもしれません。
トランクはハッチバックゆえに間口は広く使い勝手はいいものの、容量が思ったよりも小さく、大人４人分のキャリーバッグがなんとか入る程度。

燃費

3

ボディサイズのわりに重量があるのと低回転から過給が効くため、燃費は期待ほど伸びず。街乗りで８～９㎞、高速走行で１２㎞前後といったところ。

価格

3

BMWのエントリーモデルだけに、中古車市場でもタマ数が多く、価格もかなりこなれています。特に前期型は、その個性的なビジュアル故に、ウルトラお買い得価格になっていることも。ホヤやクサヤなどの珍味を好む好事家にとっては今が買い時ではないでしょうか。
その代わり、下取りは言うまでもなく（涙）

故障経験

パワートレーンについて、そこはドイツ車、基本的に頑丈。
しかしながら、すでに車齢11年を超え、ただでさえ耐久性のない再生ゴム・プラパーツが経年劣化と湿気による加水分解が進行。
特に、どうしてここに使用したのか理解不能すぎる冷却水回りのパッキンが熱害により次々に昇天していき、タービンパイプ、ベンチレーションパイプからの冷却漏れが発生。
ゴム・プラ関連のトラブルは今後頻出する見込みにつき、ある程度予算と覚悟は必要かもしれません。