パリ・モーターショーが2024年10月14日から20日まで、市内のポルト・ド・ヴェルサイユ見本市会場で開催された。第90回を迎えた今回は、48ブランドと158の出展社・団体が5館のパビリオンで展示を繰り広げ、約4千人の報道関係者と50万人を超える来場者が訪れた。そこで地元フランス系ブランドが見せた未来とは?
巻き返しできるか、シトロエン
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はじめにフランス国内の最新状況を記せば、2024年10月の乗用車新車登録台数は13万9004台で、前年同月比で11.1%減を記録した。マイナスとなるのは5カ月連続だ。けっして楽観できる状況ではない。
ステランティス・グループは今回、2022年に出展したプレミアム・ブランド「DSオートモビル」が欠席した代わりに、前回欠席していたシトロエンが復活した。ブース中央に置かれていたのは、CセグメントSUV「C5エアクロス・コンセプト」だった。現行C5エアクロスの後継を示唆するもので、記者会見での説明によれば「95%市販型と同一」という。
2024年9月、EU域におけるシトロエンの販売台数は、前年同月比で、なんと41%減だった(出典:JATOダイナミクス)。かつてプジョーと並んでフランスを代表していたブランドとしては衝撃的な数字だ。そのプジョーも今回は、「408」のEV版である「E-408」が唯一の世界初公開となった。ステランティスにとって連続的なニューモデル投入は喫緊の課題だろう。
鼻息荒かったルノー・グループ
対照的に勢いが感じられたのはルノー・グループだった。
まずは中核ブランドであるルノーから。プレゼンテーションの言葉を借りれば「シークレット・ウェポン」として彼らが発表したのは、「4E-TECH 100%エレクトリック」だ。席上、ルノー・ブランドCEOのファブリス・カンボリーヴは、そのモティーフとなったオリジナル4を「60年以上前に誕生して世界を変え、世界15拠点で造られました。そして800万台以上が売られ、多くの人々を自動車の世界にアクセスさせました」と回顧した。
新型では、ユーザーをEVの世界にアプローチさせるのが目標だ。2種あるうちの高性能版は、52kWhのバッテリー+150HPモーターを搭載。WLTP航続可能距離は400キロメートルである。インテリアには、ルノー・ブランドのデザインを率いるジル・ヴィダルが「タイムレス・マテリアル」と定義するデニム素材仕様も用意されている。
ルノーの小型商用車部門ルノー・プロ・プリュスは、「エスタフェット・コンセプト」を出展した。オリジナルのエスタフェットは1958年から80年まで生産されたワンボックス型商用車である(参考 https://kurukura.jp/article/29207-20231211-60/ )。
今回の展示車は、その名前を継承した電動バージョンだ。大柄に見えるが、全長×全幅はルノー・カングー・バンと同じという。一見ファンタジーに満ちたコンセプトカーだが実は真面目で、ボルボ・トラックとの合弁会社フレキシスで2026年の生産開始を目指している。
同じルノー・グループのアルピーヌは、フルEVのファストバック4シーター・コンセプト「A390_β」を出展。適切な駆動配分を実現するアクティヴトルク・ヴェクタリングを搭載。「F1モード」に切り替えると、よりスポーツ走行に適したペダルやステアリング位置が変化する。量産型である「A390」は2025年からアルピーヌゆかりの地ディエップで造られる。
フレンチネスをもういちど
歴史を振り返ればフランスは、第二次大戦後に自国で高級車を十分輸出商品に育てられないまま世紀を超えてしまった。それはイタリアと対照的なところだ。したがってアルピーヌが成功すれば画期的なこととなる。同ブランドによれば、すでに2020年比で販売台数・販売拠点数ともに倍増し、ブランドバリューは7億ユーロ(1160億円)に達しているという。
2020年からルノー・グループのCEOを務めるルカ・デメオは1967年生まれ。ルノーを振り出しに、トヨタ、フィアット-クライスラー、そしてVWグループを渡り歩いてきた。フィアットではロングセラーとなった500の投入(2007年)を主導したほか、アバルト・ブランドを復活。VWではスペイン法人の「セアト」時代に新ブランド「クプラ」を立ち上げた。いずれもイタリアらしさや、created in Barcelonaを強調することで実績を上げた。
参考までに今回発表したルノー4 E-Tech 100%エレクトリックでは、写真でわかるとおりオリジナルの特徴が内外のさまざまな点で再現されているうえ、側面のバッジにはフランス国内モブージュ工場製であることが誇示されている。
ルノー4 E-Techエレクトリック、アルピーヌA390_βはいずれも2025年に発売される。昨今ステランティスの「フィアット」「ランチア」「アルファ・ロメオ」が、労働コストの安いイタリア国外に電動車の生産拠点を選んでいるのとは対照的だ。デメオによる、ブランドのナショナリティを前面に打ち出す作戦が、ふたたび実を結ぶかが注目される。
最後にもうひとつ、フランスで誕生した小さなコンストラクターの出展を紹介しよう。その名を「ドラージュ」という。もともとのドラージュは、自動車草創期である1905年創業。高級車として名を馳せたものの、戦後フランスにおける自動車大衆化の波に抗しきれず1954年その歴史に幕を閉じている。それを2019年、ローラン・タピ氏が再興したのが、今回パリにやってきた新生ドラージュである。参考までにタピ氏は、フランス屈指の実業家として知られた故ベルナール・タピ氏の子息だ。
タピ氏は「ドラージュは戦前のエレガンス・コンクールで、あのブガッティと双璧をなすブランドだったのです」と、そのプレスティッジ性を筆者に強調した。彼はこれまでグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードやル・マン・クラシックといったイベントでプロトタイプを公開してきたが、ようやく2024年から30台限定で生産を開始することになった。
過去のいくつもの例が示すとおり、一回途絶えた自動車ブランドを復活させるのは容易いものではない。しかし、フランス車の復権には、こうした華やかなハイパーカーが成功して注目を浴びるのも重要とも考えられるが、いかがだろうか?
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