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ドッカンターボか超高回転NAか? 今乗っておきたい気持ちのいいエンジン車

掲載 更新 31
ドッカンターボか超高回転NAか? 今乗っておきたい気持ちのいいエンジン車

 カーボンニュートラル実現に向かって、自動車業界も変革が求められている。そんななか、2021年4月にホンダは、新社長就任会見のなかで、2040年にグローバルでEV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)の販売比率100%を目指すと宣言した。

 1970年代の自動車の排出ガス規制、いわゆるマスキー法をCVCCエンジンによってクリアしたホンダの新たな挑戦とポジティブに捉えられる反面、もうガソリンエンジンを開発することはないのかと思うと寂しさもある。

今秋登場!! いよいよ発表秒読み新型エクストレイルは「e-POWERターボ」でいざ勝負!!

 そこで、今回は今乗っておかないと後悔する「ドッカンターボ」と「超高回転型の自然吸気(NA)」エンジン搭載車の中古車相場を紹介する。

文/萩原文博
写真/トヨタ 日産 ホンダ マツダ 三菱

【画像ギャラリー】今こそ乗りたい!! 魅惑のドッカンターボや超ハイパワーNAエンジンを積んだ名車たち

ドッカンターボにもう一度乗りたい! ランエボの祖先、ランサーEXターボ

1979年に登場した2代目ランサーEXターボ。約1トンの軽量ボディに最高出力135ps/20.0kgm(1800GTターボ)の1.8L、直4ターボエンジンを積んだ硬派なスポーツセダン。ミッションは5速MTのみ

ランサーEXターボの中古車情報はこちら!

 欧州車ではスタンダードになっている「ダウンサイジングターボ」だが、1980年代のターボエンジンは「ドッカンターボ」と言われていた。ターボとは過給器のターボチャージャーの略称だ。

 排気ガスでターボチャージャーのタービンを回して、空気を圧縮して体積あたりの酸素量を増やして、より燃料を燃焼させてエンジン出力を増大させるのがターボチャージャーの役割。温かい空気だと酸素量が少なくなるので、インタークーラーを使用して冷却する。

 国産車で初めてターボを搭載したのは、日産の430型セドリック/グロリア。日産の名機と呼ばれるL20ET型2L直列6気筒SOHCエンジンに初めてターボを装着。

 最高出力は120psから135psへと15psもアップした。しかし、パワーは向上したものの、エンジン回転数を下げてしまうと、アクセルを踏んでもターボが効果を発揮するまで時間が掛かる「ターボラグ」という現象が起きる。

 このターボラグによってある回転から突然パワーが発生することを「ドッカンターボ」と表現したのだ。

 これはパワーを出すために大きなタービンを装着すると、ターボラグが発生する傾向が強かったので、そこで考えられたのが気筒を2つに分けて小型のタービンを装着するツインターボやBMWなどが採用している排気のパイプを2つに分けて効率を高めたツインスクロールターボといった手法だ。

 現在は燃料の直噴化など最新のテクノロジーによってターボラグは発生しないようにドッカンターボという言葉も使われることはなくなった。まさに昭和のターボ車のフィーリングである「ドッカンターボ」。

 まず取り上げるのは、三菱ランタボの愛称で人気の高いランサーEXターボだ。1979年に登場した2代目ランサーは車名がランサーEXと変更された。

 1981年の一部改良で最高出力135ps、最大トルク20.0kgmを発生するG62B型1.8L直列4気筒SOHCターボエンジンを搭載した1800GTターボが登場した。

 車両重量約1トンの軽量ボディにターボの太いトルクによって高いパフォーマンスを発揮した。トランスミッションは5速MTのみで、サスペンションなども強化された硬派なモデルだった。

 1983年のマイナーチェンジでランタボはエンジンにインタークーラーの装着をはじめ、サスペンション、ブレーキの強化。そしてボディのスポット溶接点増しだなどを行い戦闘力アップしている。

 現在、ランサーEXターボの中古車は2台流通していて、価格帯は約128万~約258万円。特に後期型のインタークーラーを装着したモデルは高くなっている。

スタタボはEP71型の流通なし! EP82型は現存!

残念ながら現在中古車市場には流通していないEP71型スターレットターボ。画像はマイナーチェンジ後の仕様で、セッティングの変更により最高出力が110psまでアップした

EP82型の1331cc直4ターボは135ps/16.0kgmを発生。GTはブースト圧をハイ/ロー2段階に切り替えられるスイッチを標準で備え、不意にアクセルを踏み込むとトルクステアとなる当時のFFハイパワー車にありがちな典型的ジャジャ馬だった

EP82型スターレットの中古車情報はこちら!

 続いて紹介するのは、GRヤリスのルーツといえるトヨタスターレット。本当は1986年に販売開始され。「カッ飛びターボ」と呼ばれたEP71型スターレットを取り上げたかったが、残念ながら中古車の流通がなかったため、1989年に登場したEP82型スターレットをピックアップした。

 プラットフォームは先代のキャリーオーバーだが、高張力鋼板の使用を拡大するなどボディ剛性を向上させた。

 最上級グレードにGTターボに搭載された4E-FTE型1.3L直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボエンジンは、最高出力135ps、最大トルク16.0kgmを発生。先代同様にハイとロー2つのモードを選べてローは最高出力125ps、最大トルク15.0kgmに抑えられる。

 車両重量870kgのボディに先代から25psもアップした1.3Lターボエンジンを搭載したEP82型スターレットの走りはじゃじゃ馬そのものだった。

 先代譲りのドッカンターボで、ターボの効きが急激なため。コーナーの出口でアクセルを踏むとホイルスピンするほどだった。

 これほどのハイパワーコンパクトながら新車時価格は124万円だった。1992年にマイナーチェンジを行い、GTは丸眼四灯のフロントマスクへと変更されている。

 現在、EP82型スターレットの中古車は約8台流通していて、そのうち5台が1.3GT。価格帯は約88万~約169万円で前期型の1台を除いて、新車時価格を上回っている。スターレットGT同様に当時ボーイスレーサーと呼ばれたダイハツシャレードデトマソやホンダシティターボも負けず劣らずドッカンターボだった。

発進時リアが沈み込むシーンが印象的だったスカイラインRSターボ

1983年2月、FJ20E型エンジンにターボを装着したFJ20ET型(190ps/23.0kgm)を搭載したスカイラインターボRSが登場

空冷式インタークーラーを装着した2000ターボインタークーラーRS/RS-X(通称ターボC)

6代目スカイラインRSターボの中古車情報はこちら!

 そしてドッカンターボ車として最後に紹介するのは6代目日産スカイラインRSターボだ。ニューマン・スカイラインと呼ばれたDR30型スカイラインは1981年8月に登場した。

 同年10月にはグロス表示で最高出力150ps、最大トルク18.5kgmを発生するFJ20型直列4気筒DOHCエンジンが登場。そして1983年2月に「史上最強のスカイライン」というキャッチコピーとともに最高出力190psに向上したFJ20ET型2L直列4気筒ターボエンジンを追加した。

 このモデルが西部警察の劇中車RS-1、RS-2として活躍している。そして、1983年8月にマイナーチェンジを行い、RSはラジエターグリルレスのフロントマスクとなり、「鉄仮面」と呼ばれている。

 さらに1984年2月にはFJ20型2Lターボエンジンにインタークーラーを搭載したターボCが登場。最高出力は205ps、最大トルク25.0kgmを発生する。

 根強い人気を誇るDR30型スカイラインだが、後に関係者にインタビューすると、短期間でターボ化、インタークーラー装着とパワーアップしたことはユーザーに対して非常に申し訳ないことをしたと話してくれた。

 現在、DR30型スカイラインRSターボ(ターボC含む)の中古車の流通台数は約12台で、そのうち稀少は前期型4ドア赤黒のRSターボも約230万円で流通していた。価格帯は約189万~約550万円で大半は後期型の鉄仮面となっている。

続いては超高回転型エンジン! 初代インテグラタイプR

1995年10月に登場、FF最強のハンドリングマシンと称された初代インテグラタイプR。B18C型1.8L、直4VTECエンジンが最高出力200ps/19.0kgmをたたき出す

こちらは1998年登場の後期型、通称98スペック。ワイドタイヤ(195から215に変更)、ホイールのインチアップ(15から16インチに変更)、ホイールナットも4穴から5穴に変更したほか、ブレーキローターの大径化やステンレス製の4in1等長エキゾーストマニホールドが装着された

初代インテグラタイプRの中古車情報はこちら!

 前半は「ドッカンターボ」と呼ばれたクルマを紹介してきた。後半はどこまでも加速していきそうな超高回転型の自然吸気エンジン搭載車を紹介していく。

 三菱の1.6L、V型6気筒エンジンなど超高回転型エンジンがあったのだが、中古車が流通しておらず取り上げることができない。そこでEVとFCVにシフトすると宣言したホンダの超高回転型エンジン3種類を紹介する。

 ホンダの超高回転型エンジンで、外すことができないのが1989年に登場したインテグラに搭載されたB16A型エンジンだろう。

 当初は1.6Lエンジンで最高出力140psを目標にしていたが、当時の社長の鶴の一声で「リッター当たり100馬力、最高許容回転数8000rpm」という超高回転型市販エンジンの挑戦が始まった。

 高回転化するにあたって、負荷は増大が課題となった。当時時の1.6L DOHCエンジンの最高出力発生回転数である6800rpmから8000rpmに上がると、エンジン各部にかかる慣性力は40%も増加するという。

 熱的にもかなりの高負荷になるため、それまでにはない素材を投入してでも、慣性マスを低減することが求められたのだ。

 カムシャフトには高カーボン、高クロームの新合金スチールで鋳造し、排気バルブにはニッケル基超耐熱鋼にモリブデン、チタン、タングステンを配合した新開発材を採用した。

 これらの効果によって吸気バルブ径は従来DOHCエンジンの30mmから33mmへと拡大。そしてバルブタイミングとリフト量をレースエンジン並みに取ることが可能となり、出力特性を高速側へシフト。さらに吸入抵抗も低減させることで、160ps/7600rpm、レッドゾーン8000rpmという高回転・高出力の特性を獲得したのだ。

 その後、1991年にデビューしたシビックSiR、SiR IIでは、圧縮比の向上、バルブタイミング&バルリフト量の変更によってリッター当たり106馬力の最高出力170psを実現した。

 そして、ホンダの超高回転型エンジンとして、まず取り上げるのは1995年に登場したインテグラタイプRに搭載されたB18C型1.8L直列4気筒DOHC VTECエンジン。

 1993年に登場したインテグラSIRに搭載されたリッター当たり100馬力、許容回転数8000rpmを実現した1.8L直列4気筒DOHC VTECエンジンをベースに約60点に及ぶ専用パーツを新たに開発し、通常のエンジンであれば息つきが始まる領域からさらに伸び上がる爽快感と、自然吸気エンジンとして世界最高峰のリッターあたり111馬力の高出力を実現したのがB18C型エンジンだ。

 圧縮比は11.1と高められ、最高出力200psを8000rpm、最大トルク18.5kgmを7500rpmで発生する。この高回転特性を活かすためクロスレシオのトランスミッションを採用した。

現在初代インテグラタイプRの中古車は約47台流通していて、価格帯は約128万~約890万円。また初代のみ設定されていた4ドアモデルの中古車は約6台流通していて、価格帯は約189万~約389万円となっている。

テンロクのEK9型初代シビックタイプR

ミラクルシビックの愛称で登場したEK型シビック。1997年追加のタイプRは最高出力185ps/16.3kgmの1.6L、直4VTECエンジンを搭載。リッターあたり116psの高出力を発揮する

初代シビックタイプRの中古車情報はこちら!

 続いては、さきほど紹介したB16Aエンジンの直系といえるB16B型1.6L直列4気筒DOHC VTECエンジンを搭載したEK9型シビックタイプRだ。最高出力は185ps/8200rpmで発生し、リッター当たり116馬力となった。

 このエンジンは低・中速域での扱いやすいトルク特性と経済性を確保しながら、高回転域まで一気に吹け上がる、エキサイティングなエンジン特性を併せ持ち、現在でも非常に高い人気を誇るスポーツエンジンだ。

 EK9型初代シビックタイプRの中古車は約63台流通していて、価格帯は約150万~約798万円となっている。あきらかに価格の安い中古車の減少が感じられる状況だ。

やはりトリはS2000のF20C型2L、直4VTEC!

ホンダの原点ともいえる"S"の称号を得たFRピュアスポーツ、S2000。発売は1999年4月

2005年11月に発売された後期型のS2000。排気量は2.2Lに拡大され、250ps/22.2kgmにパワーアップ。2009年6月に惜しくも生産終了となった

S2000の中古車情報はこちら!

 そして、ホンダの超高回転型エンジンのトリとして紹介するのは1999年に登場したS2000に搭載したF20C型2L直列4気筒DOHC VTECエンジンだ。

 このエンジンを開発する際の最大のテーマは高出力と低排出ガスを両立させながら、レスポンスを高め、しかもコンパクトなサイズとすることだった。

 そこで、世界最高水準の高出力を得るためのフリクションの低減と高回転化、コンパクト化を達成するためにDOHC VTEC機構を進化。その中核をなすのが、新設計したローラー同軸VTECロッカーアームだった。

 このような進化したVTEC構造を中心に、ショートストローク化、吸気ポートのストレート化、容量の最適化などにより最高出力250ps/8300rpm、リッターあたり125ps、最大トルク22.2kgm/7500rpmという世界最高水準のスペック達成している。

 2005年のマイナーチェンジで排気量を2.2Lへアップし、F22C型へと進化。低・中速域でのトルクを強化する一方で最高回転は抑えられた。

 現在、S2000の中古車はS2000の中古車は約170台流通していて、価格帯は約177万~約1100万円。そのうち、超高回転型エンジンを搭載した前期型は約105台流通していて、価格帯は約177万~約880万円となっている。

 今回紹介したドッカンターボや超高回転型自然吸気エンジンは今後登場することのないエンジン車で、しかも低価格で手に入れられる時間は少なくなっているので、欲しい人は急いでほしい!

【画像ギャラリー】今こそ乗りたい!! 魅惑のドッカンターボや超ハイパワーNAエンジンを積んだ名車たち

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みんなのコメント

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  • 高回転型NAとしては、CF4アコードSiR-Tを乗っていた。あのくらいでもカムが切り替わると「おおっ」と思ったものだが、友人のインテグラタイプRとか、たまたま乗ったドッカンターボ系の車だと「うぉっ」ってホントに声出ましたからね。
    あれはあれで、そういう味のものだと。
  • インテグラタイプRの「B18C 96SPEC R」と言うエンジン型式名だけで、特別感がスゴイ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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