この記事をまとめると
■日本と海外では同じメーカーでもその呼び方に違いがある場合が多い
道路交通は「国ごとにバラバラ」じゃ「カオス確実」……というわけで決められたウイーン条約とジュネーブ条約って何?
■欧州系のメーカーの社名は発音が難しいものが多い
■各メーカーが現地でどのように発音されているかを日本での発音と比べてみた
日本人には難しいアルファベットの発音問題
クルマの名前や社名の呼び方は、日本で定着しているものが通用するのはレアケース。有名な話ですが、アメリカでモーパーといえばクライスラーのことであり、本場デトロイトでクライスラーなどと呼べば、労働者階級からは白い目で見られること必至(クライスラーが自社のディーラーをモーターパーク=MOTOR PARKと称したことから、いつしか略称のMOPERが一般的な呼び方になったという説あり)。社内でも一部の経営層しか正式社名を口にしないことから、クライスラーといえば「こいつ、なに気取ってやがる」と受け止められてしまうのでしょう。また、自動車メーカー名の発音もまた各国で違うので、妙な発音をすれば通じないばかりか、「なに気取ってやがる」となりかねないようです。
アバルト ABARTH
その昔、朝の人気番組で外国人の先生が道行く人を捕まえて発音のレクチャーをしていましたが、日本人にとってTHの発音ほど気恥ずかしいものはありません。さらに、アバルトは母音から始まるわけで、各国で発音が異なるというじつにハードルが高い車名です。
創始者のカルロ・アバルトはオーストリア出身なので、本国、あるいはドイツ語圏では「アバルト」で通じるはず。これが、アメリカ、特に母音をゆっくり発音する中西部あたりでは「エーバーTH」あるいは「エイバーTH」。いうまでもなく、THは舌を上下の歯でつまむことお忘れなく。で、アバルトの本拠地となるイタリアでは、THをアメリカみたいに発音しなくとも「アバルト」で通じるようです。さらに、「バル」のあたりを強調すればラテン語圏では確実。
ちなみに、最初のAがないだけのBarth(Jurgen)というポルシェの開発兼レーシングドライバーだったユルゲン・バルトは、国内の雑誌などではバースと表記されることが少なくなく、筆者は「逆転ホームラン打つわけじゃないし」と失笑したものです。この伝でいけば、アバルトもアバースになりそうですけどね。
メルセデス・ベンツ Mercedes Benz
日本ではベンツが一般的な呼び方で、最近のセールススタッフなどは「メルセデス」とか、ちょっと意識高い系は「メルツェデス」などと呼んでいるようです。これがアメリカや南米あたりだと「マーセデス」と、スペル通りに読んでいるようです。
ただ、ネイティブが雑に発音すると音引きがあまりに短く、日本語の「間瀬です」に聞こえたこともありました。で、そういう地域ではどういうわけかベンツといってもピンとくる人は少数派なようで、レンタカーのカウンターなどでは、仕方がないので「レント・ミー、間瀬です」みたいなことに。
ちなみに、AMGはバブル期に「アーマーゲー」という誤った呼び方が定着しましたが、これもドイツ人が早口とか雑に発音すると、正しい「アーエムゲー」も「アーマーゲー」と聞こえなくもないようです。
実際、筆者がフランクフルトショーで面白半分にAMGのブースで「アーマーゲー」と連呼したところ、頭の足りない東洋のガキ扱いされていたのか、担当者はニコニコしながら対応してくれました。多分、いまでもドイツ本国なら「アーマーゲー」が通じるような気がしてなりません。
「H」をどう発音するかで社名の呼び方がぜんぜん変わる
ルノーとシトロエン
これ、日本人だけでなく、フランス人以外は正確な発音できなくて当たり前! ではないでしょうか。ルノーは英語で発音すると「Renow」となり、まだいくらか救いがありそうです。
しかし、シトロエンを発音するフランス人のどことなく上から目線にはイラっとくる方も少なくないのでは。「シトォーエン」とか「シトォェン」とか、This is フランス語って感じで、「君らに発音できるかね」といったニュアンスすらにじみでているような気がします(笑)。
イラっとくるのは日本人だけでなく、英国フォードのラリー関係者などは「シット・イン・フレンチ」などと表現し、CitをShit(クソ)とかけて、ラリーでの敵愾心も手伝って「フランスのクソ」呼ばわりしていました。
そこへいくとプジョーはヨーロッパ圏なら誰しも発音しやすいようで、筆者がカタカナ的な発音でプジョーといっても通じていました。
さすが、ルノーやシトロエンにくらべて田舎寄りのブランドだけに、フランスの妙な気どりがないのかもしれません。
ホンダとヒョンデ
日本人からすると、ホンダとヒョンデはまったく別物に聞こえるのですが、欧米人からすると同じように聞こえるようです。LA出身の日系二世の友人などは、ヒョンデも日本メーカーだと思っていたばかりか、名前が似ていることから「ホンダの子会社?」みたいな誤解まで。
理屈でいえば最初のHを母国語でどう発音するかによって変わってくるのかと。エイチだけでなく、ハーやクーなんて国もあれば、フランスやスペインのように発音すらしない国もあるわけで、ホンダがオンダ、ヒョンデがクンデとなる場面もあるのです。
となると、これは言い間違いといったレベルではなく、早口やスラング的な発音をすれば「ホンダ=ヒョンデ」と聞こえてしまうのも致し方ないところかと。
日本人としてはいささか承服しがたいところかもしれませんが、それこそフランス人が鼻高々に母国語を発するように、堂々と「ホンダ!」と発音して、ついでに「F1チャンピオン!」とか、「青山一丁目!(本社の所在地)」と加えておけば間違いないでしょう(笑)。
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