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【「SUV=4WD」信者は時代遅れ?】増える「2WDのSUV」 設定されるワケ

掲載 更新 139
【「SUV=4WD」信者は時代遅れ?】増える「2WDのSUV」 設定されるワケ

流行のSUV でも4WDは……

執筆:Takahiro Kudo(工藤貴宏)

【画像】ライバル比較【カローラ・クロス/ヴェゼル/キックスを比べる】 全129枚

編集:Taro Ueno(上野太朗)

「2WDのSUVはどうして存在するのか? 買う意味が分からない」という人もいるかもしれない。

しかし、それは今では古い考え方だという自覚を持ったほうがいいだろう。

たとえば今年春に登場し人気を博しているホンダ「ヴェゼル」の新型。約3万台を受注した発売後1か月のデータを見ると、4WDを選んだ人はわずか19%。

「大多数」といっていい81%の人は2WD(FF)を選んでいるのである。

これは何も、ヴェゼルが特別というわけではない。

昨年9月頃に発売されたトヨタ「ヤリス・クロス」も、初期の受注データを見ると約80%のユーザーが4WDではなくFFを選んでいる。

今や、SUVのなかでも4WD比率が高いのは、トヨタ「ランドクルーザー」やスバルのSUVなど「全車が4WD」という車種を除けば、トヨタ「RAV4」などごく一部のモデルに限られるのだ。

RAV4は現行モデル発売から半年ほどの受注データを見ると約90%が4WDだったが、これはかなり特殊な例である。

これはなにも日本に限った話ではない。

欧州では日本以上にクロスオーバーSUVが流行していて、今や新車販売のうち約40%がSUVになっているほどである。

そんな欧州で2020年に欧州でもっとも売れたSUVはルノー「キャプチャー」だったが、同車はFF比率が高いどころか「そもそも4WDが設定されていない」という状況。

欧州のクロスオーバーSUVのなかでも売れ筋となっているコンパクトクラスは、キャプチャーのように4WDをラインナップしない車種が少なくないのだ。

それはすなわち「4WDを欲しがる顧客が少ない」と解釈すべきほかない。

「ジープ」でも主流は2WD

では、SUV発祥の地である北米はどうか?

統計データを見つけることはできなかったが、「オフロードイメージの強い『ジープ』でも2WD比率が高い」というのは彼の地でも定説だ。

たしかに、筆者は現地でレンタカーとして手頃なサイズのSUVを借りたことが何度もあるが、ジープブランドも含め4WDだったことは1度しかない。

そのうえ、ここ数年でSUV比率が高まったことで街を走るSUVが増え、2WD比率はさらに高まっていると推測される。

そもそも、2WDと4WDの違いとメリットはどこにあるのか。

道を走っているクルマの多くは2WD(前輪駆動もしくは後輪駆動)で、エンジンやモーターが生み出した駆動力を前輪駆動なら前輪、後輪駆動なら後輪と2本のタイヤだけで路面へ伝える。

一方、4WDは前輪と後輪の両方を使って駆動力を路面へ伝える仕掛けになっている。

力を分散して伝えるから滑りやすい路面でもスリップしにくいのが長所だ。

そんな4WDはルーツをたどればオフロードでの走破性を高めるために生み出された仕掛けということもあり「オフロードを走るSUVは4WD」というイメージが強いといっていいだろう。

何を隠そう、日本は世界的に4WD比率が高い国である。

しかし、多くの人はオフロードを走るわけではない。

ではどうして日本のユーザーが4WDを好むかといえば、それは雪に備えての4WDだ。

4WD 雪国の消費者のため?

雪国の人はSUVかどうかを問わず、4WDを選ぶ傾向が強い。

本格オフローダーと違って道なき道を走ることなど想定もしていないトヨタ「プリウス」や「アクア」にも、現行世代になって4WDが設定された。

その理由は雪国の消費者へむけたアプローチに他ならないのだ。

雪国における4WDは、滑りやすい雪道での保険と考えればわかりやすい。

雪道を走ってみれば、発進時にタイヤが空転しにくい4WDのメリットは誰もが実感できることだろう。滑りやすい降雪路面(とくにアイスバーン)への備えなのだ。

逆に考えれば、4WD比率の高い日本においても一般的なレベルで考えれば雪の上を走るユーザーでなければ4WDは必要ない。保険を掛ける必要がないからだ。

正確にいえば悪路走行をするのであれば雪道は走らなくても4WDが欲しくなるが「悪路を走る人が世の中にどれだけいるのか?」という話である。

実はそういった消費者の傾向はSUV大国のアメリカにもいえる。

アメリカは郊外に出て幹線道路から離れると未舗装路があり、ときにはダートも存在。

SUVが好まれるのは「そこを走る時に最低地上高に余裕があれば便利だから」という声もある。

また日本同様に降雪地域では4WDのニーズも増えている。

しかしながら、極悪路を走るために4WDを求める人はそう多くないのだ。

2WDのSUV 誰のために?

では、2WDのSUVを買うメリットはどこにあるのだろうか。

まず前提としていえる(これはメリットではない)のが、SUVが流行しているということ。

それまでのセダンやハッチバックの感覚でSUVを買うのであれば、SUVだからといって4WDを選ぶ必要などまったくないだろう。

SUVは2WDであっても背の低いクルマより最低地上高を高く確保しているから、雪道が走りやすいのも魅力。

深く積もった雪や、除雪して道端に積み上げられた雪に足元をすくわれてスタックするリスクが減る。

たとえ4WDでなかったとしても、背の低いクルマよりは安心だ。

加えて、日常での使いやすさもある。

道路と駐車場の境目などにある細かい段差を気にしなくてもいいし、クロスオーバーモデルであれば着座位置が適切で乗り降りしやすいのもメリットだ。

また、4WDに比べると車両価格が安い、燃費がいい、車両重量が軽く収まるので舗装路での走りが軽快、という長所もある。

2WDのSUVにもしっかりと美点があるのだ。

「2WDのSUVは何のためにあり、誰が買っているのか?」と問われれば、答えは「多くの人にSUVを提供するためであり、大多数の人はSUVでも4WDではなく2WDを選んでいる」となる。

それでも「4WDじゃないSUVなんて認められない。クルマとはそういうものだ」と信念を貫く人もいるかもしれない。

そういう人を否定する気はないし、時には世間に流されないという強い信念だって必要かもしれない。

ただし、4WDを選ぶと車両価格が高くなるほか、2WDに比べると駆動系の抵抗によるパワーロスや車両重量増があって燃費や動的性能が悪くなるという弊害があることもお忘れなく。

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みんなのコメント

139件
  • 四駆でもなく、最低地上高も確保されてない、タイヤも高扁平タイヤ。こんなの本来SUVとは言えないと思うけど、それらを都市型SUV と言ってますね。
    もうカテゴリーが別ものでしょう。
  • SUVの2WDの比率が増えてきてるような書き方やな。SUVってもともと殆どが2駆やろ。
    クロカン系の車と最近で言うSUVは全くの別物。そんなことも知らずに書いてるんやろか?
    セダンやワゴンからの乗り換えを目的として出来たのがSUV。だから殆どが2駆で当たり前。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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