昨年2020年5月に行われた、「2019年度決算・事業構造改革計画発表記者会見」で明らかとなった、「(会見当時から数えて)今後18カ月以内に投入する12車種」の存在。
実際に日本市場でも、キックス、新型となったノート、アリア、そしてノートの派生車として、オーラやオーラNISMOが登場もしくは発表となっている。
ド迫力の日産海外SUV軍団 ランクルのガチライバルとしてぜひ日本導入を!!
今後も新型フェアレディZをはじめ、新型エクストレイル、そしてこの「12車種」のなかにはないが、先日軽EVの投入も発表されるなど、それまで何年も国内に新モデルを出してこなかった日産とは思えない勢いで、新モデルを登場させている。
会見から15か月たったいま、その12車種「A、A、F、K、N、N、P、Q、R、T、X、Z」がどうなったのか振り返ってみよう。
文:吉川賢一
写真:NISSAN
【画像ギャラリー】「NISSAN NEXT」で発表されていた12車種、それぞれの新モデル
A=アリア(2020年7月ニューモデル発表)
前後に1基ずつ、高出力電動モーターを搭載するツインモーター四輪制御システム「e-4ORCE」が注目のクロスオーバーEV「アリア」。66kWhバッテリー搭載車(B6)と、91kWhバッテリー搭載車(B9)それぞれに、2WDとAWD(e-4ORCE)があり、計4グレード構成となる。
それぞれのグレードに、日本専用予約注文限定車の「Limited」仕様が設定され、2021年6月、予約注文が開始となった。なお、日本市場が最速発売国であり、その後に、アメリカや中国で販売する予定だという。世界に先駆けて、日本で発売となったことは、喜ばしいことだ。
全長4595mm×全幅1850mm×全高1655mmというボディサイズは、マツダCX-5に近いサイズ感。ホイールベースは2775mm。前後のオーバーハングが短く、クーペルックのSUVスタイルとなる
A=アルマーダ(2020年12月ビッグマイナーチェンジ)
北米市場向けフルサイズSUVである「アルマーダ」。インフィニティの「QX80」や、中東地域で販売している日産パトロールと姉妹車であるアルマーダは、全長5305mm×全幅2030mm×全高1925mmで、5.6L V8 NAエンジンを搭載し、4WDと後輪駆動が用意されている。
2020年12月のビッグマイナーチェンジで、フェイスチェンジがなされており、コの字型のヘッドライトになったことで精粋さが増した。リフレッシュしたエクステリアとタフな走りは、まさにアメリカ人好みだ。
アルマーダは、走破力と頑丈さがウリのフルサイズSUVだ。北米では、ライバルであるトヨタランドクルーザーと同価格帯で販売されている
F=フロンティア(2021年2月モデルチェンジ)
「フロンティア」は、北米市場で主に販売されているピックアップトラック。2021年2月のフルモデルチェンジで内外装が一新された。インターロッキングデザインの新型ヘッドライトの採用し、Vモーショングリルから四角く力強いグリルへと変更。3.8LのV6ガソリンエンジンと9速ATとの組み合わせとなる。
最新鋭の安全運転支援技術やアラウンドビューモニターまで搭載するなど、外見の厳ついスタイリングとは対照的に最新装備が満載されている。ピックアップトラックが人気の北米に向けてつくられた、日産渾身のピックアップトラックだ。
主に北米で販売されているピックアップトラック「フロンティア」。価格は日本円で約306~409万円と、さほど高くはない
K=キックス(2020年6月国内デビュー)
もともとは、南米でガソリンモデルが販売されていた「キックス」。2020年5月、タイ市場でe-POWER車が追加となり、その翌月、日本市場にもe-POWER車が導入された。
ボディサイズは、全長4295mm×全幅1760mm×全高1585mmとなり、初代ジュークに比べて160mm長く、全幅は同程度、全高は20mmほど高い。コンパクトなボディで運転もしやすく、パワフルなe-POWERがグイグイと引っ張るので、爽快な加速が味わえる。2021年1月には、オーテックバージョンも登場した。
2021年1月には、オーテックバージョンも登場。海の色を模したブルーとシルバーラインによって、オーテックならではの高級感漂うスタイリングとなっている
M=マグナイト(2020年12月インドにて予約開始)
インド市場向けコンパクトSUVである「マグナイト」。全長3994mm×全幅1758mm×全高1572mm、ホイールベースは2500mmと、全長は4mを下回っており、キックスよりも小さく、ロッキー/ライズとほぼ同サイズだ(車幅は60mmほど広い)。
排気量1リッター直列3気筒ターボエンジン(最高出力100ps、最大トルク160Nm)とエクストロニックCVTもしくは5速MT、廉価なノンターボエンジンと5速MTもある。
クルーズコントロール付きで、ヘッドライトから下に伸びる縦型LEDデイライト、アルミ加飾を多用したスタイリッシュな内装、大型ナビゲーションモニターなど、実にスタイリッシュ。しかもインド市場向けなので右ハンドル車。ぜひ、日本にそのまま来て欲しい。
マグナイトの販売価格は、日本円で約82万~146万円。ロッキー/ライズの対抗馬として、日本導入して欲しい!!
N=ナバラ(2020年11月マイナーチェンジ)
ミドルサイズピックアップトラックである「ナバラ」。ボディタイプが、シングルキャブ、キングキャブ、ダブルキャブの三種類あり、パワートレインは、ディーゼルとガソリンエンジン、7速ATもしくは6速MTトランスミッションに組み合わせとなる。
2020年11月のマイナーチェンジで、堅牢さが一層増したデザインへと変わり、新しいデザインパッケージ「PRO-4X」では、ブラック塗装のフロントエンブレムやグリル、ブラックホイールなど、タフでアクティブなエクステリアが得られる。アウトドア好きの若者にとって、非常に魅力的なモデルだ。
ナバラの価格は、日本円で約287~388万円(ダブルキャブ)。5mを越えるピックアップトラックがこの値段、かなりお買い得か!?
N=ノート(2020年12月国内フルモデルチェンジ)
e-POWER搭載で、前型がヒットモデルとなった、コンパクトカーの「ノート」。2020年12月、待望のモデルチェンジとなった。
今回より採用された第2世代e-POWERは、第1世代を遥かに凌ぐ加速性能と低燃費を備えており、先進的なエクステリアや、日産車とは思えないインテリアなど、コンパクトカーというクラスを越えたクルマの仕上がりを見せている。
当初は懸念されたe-POWER一本化(前型にはあったガソリンモデルを廃止)だが、発売から9か月経った現在でも月間6000~7000台と堅調な売れ行きを示している。
2021年8月には、車格を上げて3ナンバー化した上級仕様ノートオーラを追加。同時に、コンパクトスポーツファン待望のノートオーラNISMOも発表となるなど、派生車も続々と登場し、更なる活躍が期待されるモデルだ。
2021年8月に登場したノートオーラNISMO。全長4125mm×全幅1735mm×全高1505mm、ホイールベース2580mm。ノートオーラと比べて、全長は80mm長く、全幅は変わらず、全高は20mm下がっている
P=パスファインダー(2021年2月モデルチェンジ)
ムラーノと同じDプラットフォームを採用する、全長5mの7人乗りクロスオーバーSUVである「パスファインダー」。主に北米市場で販売されている。
2月のフルモデルチェンジで登場した新型は、四角くて無骨なデザインではあるが、モダンな雰囲気も漂わせており、特に、C字型につながったシグネチャーライトとヘッドライト、新形状のVモーショングリルなど、非常に力強い表情だ。
また、12.3インチのデジタルディスプレイを新採用したほか、日産セーフティシールド360と、合計10個のエアバッグを標準装備。上級グレードのSV、SLには、先進運転支援技術「ProPILOT Assist」を搭載するなど、デザインだけでなく、中身も一気にブラッシュアップし、さらに魅力的なモデルへと昇華した。
スリースロットグリルと組み合わされたVモーショングリルは、初代パスファインダーをオマージュしたそうだ
Q=キャシュカイ(2021年2月モデルチェンジ)
欧州を主戦場とするキャシュカイは、エクストレイルのホイールベースを短くしたモデルで、北米では「ローグスポーツ」として販売されている。2021年2月に発表された新型キャシュカイ(3代目)は、1.3リッター直噴ターボエンジンと、注目の1.5リッターサイズの可変圧縮比エンジン「VCターボ」を発電専用エンジンとして搭載した新型e-POWERが搭載されている。
最高出力140kW(187ps)、最大トルクは330Nmと、スピード嗜好の欧州ドライバーにとって、不足ないパフォーマンスを手に入れた。ボディサイズも大きくはないので、日本導入を期待したい一台だ。
3代目となる新型キャシュカイ。全長4425mm×全幅1838mm×全高1635 mm、ホイールベース2666mm、2代目キャシュカイに対し、ひと回りほど大型化した
R=ローグ(2020年10月モデルチェンジ)
北米ではローグ、中国や日本では、エクストレイルとして販売されているクロスオーバーSUVだ。2021年4月の上海モーターショーにおいて、中国向けの新型エクストレイル(VCターボエンジン仕様)が発表となっているほか、北米市場の「ローグ」は、2.5Lガソリン仕様が、すでに2020年10月から販売されている。
これまでのキックスやノートの流れを見る限り、エクストレイルにも日本向けにはe-POWER搭載は確実と思われる。欧州向けの新型エクストレイルには、e-POWERが搭載されることが発表されており、おそらく、日本向けの新型エクストレイルには、新型キャシュカイの「VCターボe-POWER」が搭載され、「エクストレイルe-POWER」として発表されるのでは、と予想している。
新型ローグは、先代に対して全長を42mmほど切り詰めている
T=テラ(2021年8月モデルチェンジ)
テラはピックアップトラックのナバラの車台をベースに開発されたラダーフレームのSUVだ。タイ市場において、2021年8月20日にモデルチェンジが発表となっている。先代と同様、中国やアジア圏を中心に広く販売されることになるはずだ。
フルサイズSUVのアルマーダよりはひと回り小さいボディに、2.3リッターツインターボディーゼルと7速ATを組み合わせ、2WDもしくは切り替え式の4WDとなる。
タイでの価格は、2WDモデルが日本円で約408万円、4WDモデルは約510万円。インテリジェントバックミラーやインテリジェントアラウンドビューモニター、インテリジェントエマージェンシーブレーキなど、先進支援機能も備わる。スタイリッシュで機動力のあるSUVとして、今作も人気が出るだろう。
テラのサイズは、全長4900mm×全幅1865mm×全高1865mm、ホイールベースは2850mm。ランドクルーザープラドに近いサイズだ
Z=フェアレディZ(日本発表は2021年冬を予定)
ロングフード、低重心、リアスタンスなど、初代のS30Sをはじめとする歴代Zへのオマージュを込めたシルエットに仕上げられた、新型フェアレディZ。先日北米で登場した新型Zは、プロトタイプよりもさらにブラッシュアップされたデザインとなって登場した。
3.0リッターV6ツインターボのVR30DDTTエンジンに、6速MTもしくはパドルシフト付き9速ATが用意される。インテリアはインパネ最上段に並んだクラシカルな3連メーターとは対照的に、12.3インチ・フルデジタルメーターディスプレイも採用し、一気に最先端へと進化した。
なお、米国市場向けの新型Zには、「Sport」「Performance」の2グレードと、240台の限定生産となる「Proto Spec」が用意される。「Proto Spec」は、プロトタイプカーで採用していたイエローを基調として、Zロゴ付の、専用の黄色いブレーキキャリパーや、ブロンズカラーのアルミホイール、イエローがアクセントの本革シート、イエローステッチなどが配置されている。
V6ツインターボエンジンは、最高出力400ps/6400rpm、最大トルク474Nm/1600-5600rpmのスペック。スカイライン400Rに搭載されているエンジンと同じスペックだ
12車種、しっかり出し切った!!
「12車種」の大半は海外市場向けではあるものの、1年半の間に12車種もの新型車(マイチェン含むが)を発表したことからは、日産の本気がうかがえる。今後の販売台数の行方は、すべて狙い通りに行くとは限らないが、約束をした12車種を出し切った日産は、きっと大丈夫だろう。
日産は過去に何度も窮地に陥っている。しかし、その都度、しぶとく生き延びてきた。これまでの経営判断には少なからず疑問はあるが、いまは、内田社長の言葉「必ず日産を成長軌道に戻す」を信じたい。
約束の12車種を出し切った、これからが本当の勝負どころ。日産の快進撃を楽しみにしている。
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みんなのコメント
ゴーンの犯罪はともなく、あの時改革していなければ今頃日産自体が消滅して
かもね。
日本市場は...