よ~く調べてみると「なぜ、この名前に?」と思わずにはいられないクルマは数多存在するが、ここでは少々恥ずかしくなっちゃう5モデルを厳選して紹介。そんな車名を採用しても売れるんだから……語感って大事だよね。
文/FK、写真/トヨタ、日産、光岡自動車、三菱、FavCars.com
そ、そんな意味じゃ…パジェロにビッグホーン、それにフーガ!! 海外だとちょっと恥ずかしい名前のクルマたち
逃亡することなく19年寿命をまっとうした日産 フーガ
“スポーティ”、“ルーミー”、“ラグジュアリー”という、相反する3つの要素すべてを高いレベルで融合したフーガ
イタリア語で“主題を複数の声部や音程で繰り返し演奏する遁走曲”を意味するフーガは、2004年10月にデビュー。
遁走曲のように優美さとダイナミックさが調和していることに加え、フーガというネーミングには上品で優美さを意味する“風雅”を根底に持ちつつ躍動感とダイナミックさも表現されている。
しかし、イタリア語で“逃亡・逃走”や“駆け落ち”という別の意味があったり、英語圏においても“腐りかけのマッシュルーム”を連想させる単語であったりと、世界トップレベルの高級セダンとはかけ離れた車名は何ともトホホな印象だ。
そんなフーガは、2003年の第37回東京モーターショーで新しい高級車の方向性を提案するコンセプトカーとして出展され、大きな話題を呼ぶ。
翌2004年10月、そのコンセプトカーをベースに新開発のサスペンションとショックアブソーバーの採用や19インチタイヤ&リアアクティブステアなどにより、なめらかな乗り心地と卓越したハンドリングを両立したスポーティセダンとして登場。
デビュー当初はV6の3.5リッターと2.5リッターの2種類が用意されたエンジンもレスポンスと伸びの良い加速によって、安心かつ気持ち良い運転が楽しめる抜群の走行性能を発揮した。
また、RJC(日本自動車研究者・ジャーナリスト会議)の2005年次カー・オブ・ザ・イヤーでは大賞するなど、その評価は高かった。
2009年11月には2代目が登場し、発売後1カ月時点で月販目標の約5倍の受注を記録するなど好発進をみせた。
2004年以降、シーマとともに国内高級セダンシーンの一翼を担ってきた日産のフラッグシップセダン=フーガだったが、近年のセダン市場低迷を受けて2022年8月に生産が終了した。
ある意味では誇らしい!? いすゞ ビッグホーンの知られざる裏の名前
1991年12月にデビューした2代目ビッグホーンは3ナンバー専用ボディとなり、エンジンは3.1リッターの直4OHVディーゼルターボと3.2リッターのV型ガソリンという2種類を設定
1981年9月に登場したビッグホーン(当時はロデオ ビッグホーンの名で発売され、1984年にビッグホーンに改名)は、ロッキー山脈の岩場を走り回るオオツノヒツジ=ビッグホーンが車名の由来となっている。
しかし、HORNは英語のスラングで男性器を意味することから、ビッグホーンを直訳すると“大きい男性器”となり、言うも聞くも赤面もの! とはいえ、クルマのほうは当時のSUVシーンを牽引した一台としていまも記憶に残っている人も多いだろう。
当時のいすゞが誇る旗艦SUVであったビッグホーンは、DAILY DRIVE ISUZU BIGHORNというキャッチフレーズのもと“荒野にのみ生きようとする四輪駆動車の時代は終わった。あらゆる地形を走る4WD機能に快適な乗り心地と軽快な操縦感覚を加味した真のマルチパーパスビークル”としてデビュー。
発売当初のボディタイプはショートバン、ロングバン、ショートソフトトップの3種類で、エンジンはマイナス20℃の寒さのなかでも3.5秒で始動が可能なQOS(クイック・オン・システム)を搭載した2.2リッター 直列4気筒ディーゼルが採用された。
デビューから10年後の1991年12月には2代目が登場。ボディサイズの拡大を図り、巨大な角が見る者に迫力を与える大角鹿もかすむような立派な体躯へと進化した。
エンジンも3.1リッター直列4気筒ディーゼルターボ(最高出力125ps)と3.2リッター V型6気筒ガソリン(最高出力200ps)の2種類を設定。
1999年10月末には生産累計100万台達成にともなう特別仕様車も発売されたが、2002年9月のいすゞの乗用車事業撤退により生産終了となった。
三菱 パジェロがスペイン語圏ではモンテロの名で販売されていた理由とは?
2019年4月に700台限定で発売されたFINAL EDITIONは、人気グレードのEXCEEDをベースにルーフレール、電動ロングサンルーフ、本革シート、パワーシートなどを標準装備
販売不振などの理由から2019年に国内向けの生産が終了したパジェロ。
パジェロは、1985年にダカールラリーで初めて総合優勝を飾って以来、12回にものぼる総合優勝を飾った、クルマ好きなら誰もが知る陸の王者。
その車名はチリ・アルゼンチン地方南部パタゴニア地方に生息する野生の猫“パジェロキャット”が由来となっている。
これの何が恥ずかしいのか? ってところだが、実はパジェロはスペイン語で“自慰をする人”を意味する。そのため、スペイン語圏ではモンテロの名で販売されていたのは有名な話。
そんなパジェロは1982年5月に登場。翌1983年3月に5ナンバー車を、7月にはロングボディ車を、1985年にはAT車を追加するなどラインナップを拡充していった。
1988年9月にはV型6気筒ガソリンエンジン搭載車を追加するとともに、ディーゼルターボエンジンもインタークーラーの採用で出力を向上。オフロード性能と扱いやすさの両立を図るべく、リアサスペンションもリーフ式から3リンク式コイルに改良された。
1991年1月には2代目が登場。その2代目でトピックとなったのは、1997年10月に登場したエボリューションだろう。
“15年間の集大成”として誕生したエボリューションはラリーフィールドで得た技術をフィードバックし、意のままに走らせられる優れた基本性能と走ることを楽しみながら長距離ドライブがこなせる快適性を兼ね備えた一台として人気を集めた。
その後は1999年9月に3代目が、2006年10月に4代目が登場するも冒頭で述べた理由により2019年に生産が終了。
同年4月にFINAL EDITIONを700台限定で発売し、37年に及んだ長い歴史に幕を閉じた。
クレオパトラでもエリザベスでもない! 日本車だったら卑弥呼でいいんじゃない
“唯一無二”という言葉がピタリとハマるHimikoのエクステリアデザイン。現代のクルマでは決して見ることができない魅力にあふれている
Himiko(ヒミコ)は1990年と2000年に光岡自動車が発売したLe Seyde(ラ・セード)の後継車にあたるモデルとして2008年にデビュー。
その車名は邪馬台国の女王として君臨した卑弥呼が由来であることは想像に難くなく、強い求心力、品格、美貌を備えた女王・卑弥呼の気丈さと風格を表わしたオープン2シーターとして登場した。
3代目ロードスター(NC型)がベースの初代Himikoの最たる特徴は、宝石ですら嫉妬すると称される唯一無二のデザイン。
往年のクラシックスポーツカーを彷彿させるロングノーズ&ショートデッキの造形美は独特の雰囲気を演出。これは、まさにクルマにロマンを求め続ける光岡自動車のコンセプトを体現したものといえる。
2018年2月にはベース車両を4代目ロードスター(ND型)にアップデートしたフルモデルチェンジを実施。
48:52の前後重量配分に見直されたボディ、高速域のダウンフォースを高める翼断面形状を採用したフロントアンダーカバーとフェンダーサイドパネル内部、立体的で彫りの深い造形に生まれ変わったエクステリアなど、その美しさと走りにいっそうの磨きがかけられた。
2023年7月には2024年モデルを発表。七宝焼グリルバッチやボディ同色のカラードアッパートリムなどの人気が高いメーカーオプションを標準装備としたほか、従来は3種類だったグレード設定を1グレートに絞り込み、ボディカラーも新たに4色が追加された。
クルマ好きならご存じだろうが、光岡自動車の現行モデルはHimikoに限らず、Buddy(バディ)、Ryugi(リューギ)、Rock Star(ロックスター)、Viewt nadeshiko(ビュートなでしこ)などユニークな車名が採用されている。
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