英国最強のオフローダー
SUVの人気は衰えることを知らない。しかし、オフロード車を模したスタイルとは裏腹に、多くのモデルはハッチバックにタフな装飾を施したものに過ぎず、砂利敷きの駐車場よりもずっと離れた僻地へドライブすれば、足をとられて泥まみれになってしまう。
【画像】道を選ばない屈強なオフロード車【ランドローバー、ジープ、トヨタなど上位5車種を写真でじっくり見る】 全115枚
もし、本当に山河を越えて地平線の果てまで走りたいのであれば、道を選ばない屈強な4WD車が必要だ。
ここでAUTOCAR英国編集部が紹介するのは、山羊も二度見するような地形に挑むために設計された、正真正銘のオフロード車である。オフロード性能を何よりも優先する硬派なモデルもあれば、岩場も舗装道路もしなやかにこなす万能選手もあり、この中から1台だけを選ぶのは簡単なことではない。
ロック式ディファレンシャルや低速でのギア比はもちろん、ブレークオーバーアングルや渡河能力、アクスルアーティキュレーションなど、細かいところで悩む前にこのトップ10を見てほしい。求めるものが何であれ、要望と予算に合った1台があるはずだ。
1. ランドローバー・ディフェンダー
10年以上にわたる前置きを経て、ランドローバーは2019年、ついに初代ランドローバーの後継モデルを披露し、2020年に販売を開始した。ラダーフレーム構造からモノコックに切り替えたこと、そしてそれ以外にも多くの理由があるが、この新型ディフェンダーは直接の後継というよりも精神的な後継である。
そのため、泥や砂地、岩場、深い河川、急勾配において先代の代わりを果たせないのではないかと危惧する人もいる。しかし、新型ディフェンダーはそのほとんどすべてをこなし、さらに先代以上の能力も持っている。アプローチアングルとデパーチャーアングルは約40度、車高調整機能付きエアサスペンションによる地上高は291mmと、必要な要素をすべて備えているのだ。
そんな本格オフローダーでありながら、適切なトランスミッションモードの選択、適度な推進力、わだちの中のライン取りなど、ドライバーの負担を軽減する心遣いも実に印象的なものだ。また、先代の四輪駆動システムはシンプルそのものだったが、最新モデルのそれは洗練の極みであり、ブランド独自のテレイン・レスポンス・システムにより、オフロード初心者でも難しい地形に挑戦することができる。
ランドローバーは現在、パワートレインとして4気筒、6気筒、8気筒のエンジンを用意しているが、プラグインハイブリッドのP400eが唯一の4気筒モデルとなり、ディーゼルはすべて直列6気筒に変更された。D300ディーゼルは、トルクフルで燃費がよく、ドライバビリティと洗練性を兼ね備えており、他のモデルほど高価ではないので、英国編集部のイチオシだ。
もちろん、街中に暮らす人にとっては、P400e(電気航続距離は43kmとされている)もそれなりの魅力があるだろう。
ディフェンダーには、3ドアの90と5ドアの110、ロングボディの130といった3種類のボディスタイル(130はリアオーバーハングが長く、デパーチャーアングルがわずかに損なわれる)、そして商用仕様のハードトップが用意されている。
いずれのタイプを選んでも、ボディは広く、高く、重いため、狭いコースや林道には向いていない。しかし、実力は疑う余地がなく、オフロードでの働きぶりは、オフロードが苦手な人のために作られたクルマとさえ思えるほどだ。
そのうえで、舗装道路での乗り心地やハンドリングがとても良いのだから、ライバルに大きな差をつけることができる。かつて「The best 4×4 by far(圧倒的に優れた4×4)」と謳われたランドローバー・ディフェンダーは、まったく新しい命を吹き込まれたのだ。
2. ジープ・ラングラー
ジープはラングラーを根底から作り直すようなことはあまりしていないが、最新世代は街中でこれまで以上に使いやすくなっただけでなく、オフロードでの性能も向上している。
円形のヘッドライト、有名な7スロットグリル、厳格なジオメトリーは、第二次世界大戦で連合国に配備されたオリジナルのウィリスMBジープから今も変わらず受け継がれている。ジープは多くの人に愛されるデザインを慎重に保存しているのだ。インテリアは広いが、やや安っぽくて大雑把な仕上がりになっている。(何事にもトレードオフがつきものだ)。
ラダーフレーム、ロック式ディファレンシャル、溝の深いタイヤ、特殊なアクスル・アーティキュレーション、アンダーボディブレース、優れたアプローチアングルおよびデパーチャーアングルなど、特に3ドアのルビコン仕様はオフロードの王者たるにふさわしい存在だ。
ただ、ランドローバー・ディフェンダーほど毎日乗り回すには適していないため、今回は2位とした。理由の1つは、舗装道路での乗り心地がディフェンダーに比べて大きく劣ることだ。ハンドリングの精度が低く、乗り心地はやや過敏で、走行中のノイズも耳に厳しい。しかし、工具の扱いが得意な人なら、ルーフを取り外して、髪の毛に風を当てるスリルを味わうことができる。
現在、英国で正規販売されているラングラーは、4気筒のガソリン仕様のみで、4気筒ディーゼルは廃止され、その他の仕様は並行輸入でのみ入手可能である。その中には、ダッジ・チャレンジャーの6.4L V8エンジンを積む特別仕様車、ジープ・ラングラー・ルビコン392もある。これは、ジープの中で最もワイルドでアンストッパブルなオフロード車である。
3. トヨタ・ランドクルーザー
上記の2台に並ぶオフロードの象徴、トヨタ・ランドクルーザー(プラド)は、故障が許されないオーストラリアのアウトバックで、歴史的に選ばれてきたワークホースである。ボディ・オン・フレーム構造の古典的なオフロード車で、牽引、渡河、そして人里離れた土地を走り抜ける低レシオでの走行性能など、あらゆる領域において非常に高い評価を得ている。
スチールホイールを装備したベーシックなユーティリティ仕様(英国向けに設定)は純粋に手頃で、3ドアの乗用車仕様もそれほど高価ではなく、5ドアのインヴィンシブル仕様には充実装備と3列7人乗りのシートが用意されている。
しかし、エアサスペンションやレザーシートといった高級志向の装備も指定できるが、アウディやメルセデス・ベンツのモノコックSUVのような乗り心地やハンドリングは期待しないほうがいいだろう。高速道路での走りはそれほど洗練されていないが、実際にオフロード車が求められる場所では別格で、機械的な信頼性と壊れないタフさは、どのライバル車からも羨望のまなざしで見られている。
4. メルセデス・ベンツGクラス
優れたオフロード車は、長く愛される傾向にある。ラングラーもランドクルーザーも、何十年も我々とともに生きてきたし、Gクラス(Gワーゲン)も同じだ。
このGクラスは、唯一公式な「生産終了日」が定められていないモデルだが、最近、40年の歴史の中で初めて実質的なモデルチェンジが行われた。ラダーフレーム・シャシーはそのままに、フロントサスペンションは完全独立懸架となり、そのセットアップの一部はAMGによって開発された。その結果、3つのロック式ディファレンシャルを備え、地上高も改善され、従来と同様にオフロードで高い能力を発揮する一方、舗装道路では予想通りの、時には非常に楽しいハンドリングを実現するクルマとなったのだ。
ラック&ピニオン式ステアリングへの移行は、最大の変更点である。しかし、メルセデスは時代性を感じさせるディテールにもこだわり、ドアハンドルに従来のプッシュボタン式のロックを採用し、キャッチも同様。つまりドアはレトロな「ガチャッ」という音とともに閉まる。
編集部が選ぶのは、クリーミーな直6ディーゼルのG 400dだが、プレミアリーグのサッカー選手並みの予算があり、注目を浴びても構わないのであれば、600ps近い出力のV8ツインターボを搭載したメルセデスAMG G 63を手に入れてもいいだろう(全方位でポジティブというわけではない)。とはいえ、どちらのモデルも安くはなく、「エントリーレベル」のディーゼルでさえ、13万1095ポンド(約2000万円)という途方もない値段がつけられている。
5. ランドローバー・ディスカバリー
第5世代のランドローバー・ディスカバリーは、もっと上位にランクインしてもいいと思われる人もいるかもしれない。オフロードの走破性はもちろん、舗装道路での乗り心地も素晴らしく、他のクルマには真似できないオールラウンドな1台だ。ディスカバリーはどこに行っても、安心感をもって走ることができる。
しかし、本当に厳しい状況に陥ったとき、他のオフロード車ほどの強靭さ、グリップ力、粘り強さはないのだ。とはいえ、荒れた路面での運転がこれほど簡単でストレスフリーなクルマはなかなか見られない。ランドローバーの先進的なテレイン・レスポンス・システムがハードワークを的確にこなしてくれるため、ドライバーはディスカバリーを現地に誘導するだけでいいのだ。
プログレッシブ・コントロールが作動していれば、あとはハンドルを切るだけ。このシステムはオフロードにおけるクルーズ・コントロールのようなもので、急峻な坂道などでも車速を維持することができる。
2021年のフェイスリフトでは、ガソリンとディーゼル両方の新しい6気筒エンジンが搭載され、サスペンションやインテリアも一新された。発売時の出足が遅かったディスカバリーだが、高級感、洗練された居住空間、そして卓越したオフロード性能が評価され、飛ぶように売れ始めている。
6. イネオス・グレナディア
今のところトップ5圏外に置いているが、それは英国編集部がまだオフロードでしか試乗できていないためだ。しかし、荒野を征服することにかけては、グレナディアは最高の能力を持っている。内側に秘めたる才能は、デザインに明らかに影響を与えたランドローバー・ディフェンダーと同じものだ。
伝統的な4×4の思想に基づき、グレナディアはラダーフレーム・シャシーとライブアクスルを使用。これにBMW製エンジン(3.0L直6気筒ガソリンとディーゼルから選択可能)、ZF製8速AT、Tremac製デュアルレンジトランスファーケースが加わる。260mmに迫る地上高、3つのディファレンシャルロック、35.9度のアプローチアングルおよびデパーチャーアングルを持ち、オフロードでは無敵の性能を誇る。厳しい地形を乗り越えてもほとんど汗をかくことはない。
オフロード性能と無骨さがこのクルマのキャラクターを支えているが、実はもっとソフトな一面も持ち合わせている。インテリアは広々としていて、使い勝手のよさと、高級車らしい質感を兼ね備えているのだ。また、舗装道路での限られた試乗では、最新のディフェンダーというよりメルセデスのGクラスに近い精神を持ったマシンであることもわかった。
イネオス・グレナディアの実力を完全に理解するためには、英国の道路でもっとじっくり試乗する機会を待たなければならない。だが、第一印象は魅力に溢れ、オフロードの才能に長けているように思われた。
7. フォード・レンジャー・ラプター
初期のレンジャー・ラプターは、いわば玉石混交の存在で、弱々しい2.0Lディーゼルはシャシーの性能に見合うものではなかった。新型は、先代の高速オフロード性能はそのままに、最高出力292psの3.0L V6ターボを搭載し、パワフルになった。
路上を素早く駆け抜けるようなクルマではないが、まどろんでいるスポーツセダンを驚かせるに十分なパンチがあり、その荒々しいエンジン音も耳に心地よい。オフロードタイヤとロングトラベルのサスペンションを装備しているため、フォードの高性能モデルに期待されるような正確さ、落ち着き、ターマックでのグリップには欠け、さらに10速ATの制御も少し優柔不断に感じられることがある。
最も輝いているのはアップグレードされたサスペンションである。電子制御のフォックス製アダプティブダンパー「ライブバルブ」は、どんな地形もスムーズにこなしていく。舗装道路ではコントロールされたしなやかな乗り心地を実現し、荒れた路面では従来の4×4を置いてきぼりにするようなスピードで走破することが可能だ。
レンジャー・ラプターの真のポテンシャルを引き出すには、人気のない採石場やグラベル・ラリーのステージに乗り込む必要がある。それでもラプターが欲しくなるのは変わらない。
8. スズキ・ジムニー
スズキはジムニーを世界で唯一の軽量オフローダーとして売り出しているが、まったくもってその通りだ。車重は1100kg強(英国仕様)だが、ラダーフレーム・シャシーの前後にリジッドアクスル式サスペンションを備え、低レシオの四輪駆動システムを採用している。残念ながらロック式ディファレンシャルはないが、価格が2万ポンド(約320万円)以下からなので、それを期待するのはお門違いだろう。
以前、英国編集部によるトヨタ・ランドクルーザーとのツインテストで実証されたように、ジムニーはオフロードでも実によく走る。実際、オーバーハングが小さいので、アプローチ、ブレークオーバー、デパーチャーアングルのすべてがラングラーより優れている。また、非常に小さく軽いため、泥や砂利の上でも驚くほど軽やかで扱いやすい。
ルックスにも惹かれることだろう。しかし、自然吸気の1.5Lガソリンエンジンは経済的ではなく、トランクは小さく、舗装道路における走り心地もよろしくない。特に、急ブレーキを踏むような場面では心配になる。
英国に限った話だが、デメリットとして、スズキUKが2020年にジムニーの販売を取りやめたことが挙げられる。排出ガス規制の強化に対応できないためで、代わりに商用車仕様が導入された。つまり、2人乗りとなり(トランクは大幅に拡大したが)、装備も簡素化されるためファミリー層には合わないということだ。
しかし、ジムニーを購入しているのは楽しさを追い求める人がほとんどだという事情を考えると、乗用車から商用車への分類変更もそれほど大きな問題ではないはずだ。市街地から離れた顧客のところへ行く配管工、電気技師、配達ドライバーは今、何を買うべきかわかっているだろう。
9. サンヨン・レクストン
これは、価格に敏感な人のためのフルサイズ・オフローダーである。サンヨン・レクストンは、最新モデルでようやくまともな外観のクルマになったが、4×4としての素質は以前からきちんと備えていた。
最新のレクストンは、ラダーフレーム構造、ローレンジ付きのロック可能な機械式四輪駆動、電子ヒル・ディセント・コントロール、そして最高出力204psの2.2Lディーゼルエンジンを備えた7人乗りSUVで、3万ポンド(約470万円)台から購入できる。
乗り心地よりもハンドリングとパフォーマンスが優れており、ラダーフレーム・シャシーによって少し路面の粗さを感じるが、ハンドリングは大型車としては許容範囲内だ。エンジンとトランスミッションもそれなりの性能を備えている。
本格的なオフロードでは、車高の変わらないスチールコイルサスペンションと、20度をわずかに超える程度のクリアランスアングルが仇となり、世界一とは言い難い。しかし、メインで走るのが舗装道路や砂利道で、大きくてコストパフォーマンスの高いクルマを求めているなら、レクストンを検討する価値はあるかもしれない。
10. ダチア・ダスター
限られた予算で人里離れた場所に行くなら、ダチア・ダスターがちょうどいい。以前ほど安くはないが、Expression dCi 115 4×4が2万1000ポンド(約330万円)弱というのは、クラスを問わず破格の値段だ(昨今、同じような仕様の小型車をこの値段で手に入れるのは困難だろう)。
オフロードに向けた装備に関しては、包括的に整っているわけではないが、自信を持って荒野に挑むのに十分だ。通常時は前輪で走行し、ホイールスピンを検知すると素早く後輪を駆動させる「オート」モードのほか、オフロードでトラクションを最大化させるためにトルク配分を前後50:50に設定する「ロック」モードが用意されている。
また、急な坂を登るときにはトルクフルな1速を、下るときにはヒル・ディセント・コントロールを活用できる。さらに、インフォテインメント・システムにはコンパスと高度計が搭載されているため、自分がどこに向かっているのかがわかる。
何よりも、ダスターのオフロード性能の高さは、適度な地上高と比較的軽い車両重量によるものであり、重量級のライバルが沈むような障害物でもつま先で乗り越えることができる。
ランキング上位のモデルと同様、舗装道路では堂々と走れる。現行モデルはダスターとしては2代目にあたり、先代よりもはるかにモダンで落ち着いた印象を受ける。ステアリングは正確かつ適度に精密で、ボディコントロールは良好、グリップも十分にある。乗り心地は良く、ソフトでロングトラベルのサスペンションとハイプロファイルタイヤの組み合わせにより、スピードバンプやポットホールにも身構える必要はない。
ほとんどのオフロード車は、オフロードを走る時間よりも、舗装された道路で過ごす時間の方が長い。それを考えると、街中でもくつろげるダチア・ダスターの存在はありがたい。的確なハンドリングと快適な乗り心地、そしてパンチの効いたディーゼルエンジン、充実した装備と広々とした室内空間も嬉しいポイントである。
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ランドローバーのパクリすぎる件