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超大事? 見せかけもあり?? 大事な理由があるはずだ!!!! クルマの「穴」大全

掲載 更新 7
超大事? 見せかけもあり?? 大事な理由があるはずだ!!!! クルマの「穴」大全

 全国3億人の「ベストカー」ファンの皆様。突然ですが、「穴」はお好きですか?

 私たちの生活環境や身の回りを見渡すと、何気ないところに穴がいっぱい。お財布の中を見れば5円玉、50円玉にも穴があり、道を歩けばマンホールも。このように、身の回りには意味があって設けられた「穴」で満ち溢れています。

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 それはクルマでも同じこと。それこそ穴が開くほどクルマを見れば、一見無意味そうで実は面白い穴が。今回はそんな不思議なクルマの「穴」の世界をご紹介。とくとご覧あれ。

※本稿は2021年5月のものです
文/ベストカー編集部 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2021年6月26日号

【画像ギャラリー】意外と重要な「穴」ばかり…!!? クルマにまつわる「穴」をギャラリーでチェック!

■知っているようで知らない、よく見るけど実は重要な「穴」たち

●エンジンの呼吸に不可欠! エンジン吸気口

 混合気を作るうえで必要な酸素、つまり空気の吸い口となるのがこの穴。クルマによって位置はまちまちだけど、だいたい人の腰くらいの高さにあるのが一般的。

エンジン吸気口

●実はただホイールがあるだけじゃないんです ホイールハウス

 一見穴じゃないが空気のことを考えるとそうとも言えない。クルマは走行中にタイヤとホイールが高速回転するが、そうすることでタービンと同じ効果を発揮しホイールハウス内の風を外に吸い出してくれるのだ。考え方次第でここも一種のエア抜き穴とも?

ホイールハウス

●エンジンルームの“換気”を促す フロントフェンダー・アウトレット

 エンジンの熱気を外に追いやる穴で、前から入った新たな空気と換気された熱気が外へと出てくる。フェンダーダクトというとGRスープラを思い出すがアレ自体はダミーで蓋がされている(蓋を外すと機能するらしいが)。社外のフロントフェンダーでも、より換気を促す狙いでダクトを新設したり、カッコよさを求めて後付けする人も多い穴。

フロントフェンダー・アウトレット

●取り込んだ空気を外へ出す エアアウトレット

 中に入れた空気を外に出し、排出先で空気の流れを阻害しない方向や位置に配置している穴がこれ。このほかにもスポーツカーやレーシングカーになると、ラジエターやオイルクーラーを通過した熱気を車外へ出す穴など、乗用車じゃ見られない穴がドンドン増えていく。

エアアウトレット

●ルーパー

 4と同じフェンダー上にある穴だが狙いが異なり、ホイールハウス内の内圧を逃がす。レースによっては穴開けを義務とするカテゴリーも。

エアアウトレット

●バンパーダクト

 バンパーサイドも整流やブレーキ冷却のための通路として穴が開いている例がある。前者の場合、穴はホイールハウスへ貫通している。

新型86/BRZではバンパーサイドも穴が開く。覗きたい!

新型86/BRZのリアバンパーも、パラシュート効果を嫌って写真のような穴が設けられた。

●ルーフベンチレーター

 ラリーカーのルーフに備わるこの穴、これは外気を車内へ取り込むための穴。かつてGD型インプレッサでも、形は違うがルーフベンチレーターを設けた限定車が存在した。

ルーフベンチレーター

●“潜望鏡”型ダクト

 SGTマシンでも装備した潜望鏡のように伸びる穴は本来なら吸気インレット。あのNSX-R GTでも採用されたが、こちらは吸気に導かず、ダミーである。

“潜望鏡”型ダクト ※「シュノーケル」や「ちょんまげ」とも呼ばれる

●ブレーキダクト

 最近だとGRヤリスのフロントグリルを思い浮かべてもらうとわかりやすいが、ハードブレーキングを繰り返して、熱を帯びたブレーキに走行風を導き、当てるための穴がこれ。スポーツカーやレーシングカーではよく目にすることが多い穴だ。

●給油口

 クルマに乗るなら知らないはずがない「穴」。この給油口、道路運送車両法で「排気管の開口方向になく、開口部から300mm離れていること」「露出した電気端子などから200mm離れていること」など、実は法律で厳密に定められている。

●ボンネットダクト

 スバルのターボ車といえばこれ。上置きI/Cに空気を入れるための穴で、スバル車らしい穴(先代型フォレスターを除く)。

ボンネットダクト

■知る人ぞ知る、マニアックな「穴」たち。

●新車輸送の時のみに使う「謎の穴」

 この穴はレヴォーグのフロアにあり、ゴム製の蓋がされている。実はこれ、新車輸送時の固縛用に使う穴で、新車納整の際にゴム蓋をして隠すというもの。

謎の穴

●砂抜きのための「ウェルチプラグ」

 エンジンを見るとシリンダーブロックに蓋が? ここには鋳造時の砂抜き用の穴があり、中子となる砂型を抜く時のみ使う。整備士でなければ縁のない穴だ。

ウェルチプラグ

●スターティングハンドル差し込み用の「穴」

 スターターモーターが普及するより前の時代はエンジン始動自体が命懸けだった。その時代のクルマはエンジン始動にハンドルをクランクへ差して回す必要があった。その差込穴がこれ。

スターティングハンドル差し込み用の「穴」

●外車で見かけるジャッキアップ専用の「穴」

 出先でタイヤがパンクした時は交換するためジャッキアップをするが、国産車がパンタグラフで持ち上げる一方、BMWやベンツなどの外車はサイドシルに専用の穴がある。その穴に専用のT字型スタンドを差し込み、ハンドルを回せばジャッキアップできる。

●そんな場所にも? 燃料給油口のエア抜き「穴」

 給油口をよく覗き込むと、差し込み口の脇に小さな穴がある。これも意味がある穴で、給油時にタンク内に溜まったエアを外へ抜く為のもの。タンク上部と繋がっているのだが、これがないと給油した途端、エアとともにガソリンが逆流してしまいとても危険。とても重要な穴である。

■車内も意外と穴だらけ?

 クルマの外観をあらゆる角度で見渡せば、数多くの穴があることに気がつくが、実は車内にも穴は存在する。しかしそれは、普段は見えないように隠したり、塞いでいたりする。ここではそんな車内の「穴」について、いくつかご紹介しよう。

●サービスホール…もし自分のクルマをDIYで修理をしたことがある人なら、見覚えのある穴のはず。左の写真はドアの内張りを剥がした時のもので、このなかにポッカリと穴が三か所開いている。これがサービスホールである。

 サービスホールとは、整備や修理をする際に、各部品へのアクセスをよくするために開けられた穴で、ドアの場合はウィンドウレギュレーターやモーターの整備のため最初から開けられている。

ドアの内張りを外せばサービスホールが見える。手前にはサービスホールカバーが備わる

 そのほか、日産NV350キャラバンのオイルフィルターなど、定期交換部品なのに普通じゃ取れないような場所にある時は、別途で車内にサービスホールを設け、脱着しやすくしている場合もある。

●水抜き孔…もし万が一車内に水が浸入した場合、入った水を外へ抜くための穴も室内には存在する。普段はゴム製の蓋で穴を塞いでいるもの。できればお世話になりたくない……。

【番外コラム】スポーツカーでよく見る「しゃもじ状」のインテーク、「NACAダクト」とは?

 NACAダクトとは、1940年代にアメリカ航空諮問委員会(NACA)によって開発された、空気抵抗を増やさず効率的に空気を導入できる窪んだ形状のインレットのこと。なお「NASAダクト」というのは実は誤り。

 もともと航空機用として開発されたもので、実際にジェット戦闘機の試作機でもエンジン吸気口にNACAダクトが採用されていたほか、現代の航空機でも時折見ることができる。

「NACAダクト」

 ではいつ、クルマに転用されたのか? その時期は定かではないが、企画担当が調べたところ、1955年のF1に参戦したコノートがすでに導入しており、市販車では1958年製ロータスエリートがボンネットに設けていた。

 その後も数多くのメーカーがレーシングカー・市販車に採用するなど、今なおよく見る「穴」なのだ。

その後クルマでも広まっていき、1987年登場のF40は特にNACAダクトだらけである

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