■復活していたトヨタ アリオン、一体どんなクルマ?
トヨタのセダン「アリオン」は、日本で2021年にその販売を終えました。
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実は中国では新型「アリオン」が販売されています。いったいどのようなクルマなのでしょうか。
アリオンは2001年に日本で誕生しました。
「コロナ(およびコロナプレミオ)」の後継モデル「プレミオ」に対する姉妹車。
そして「カリーナ」の後継モデルとなるアリオンは5ナンバーサイズを堅持したことで、主に50代から60代の消費者層からの支持を集めます。
また、プレミオでは保守的なエクステリアを有したのに対し、アリオンではよりスポーティさを押し出した印象となっており、このキャラクター性の違いも「コロナ/カリーナ」より引き継いでいました。
その後、2007年にはプレミオとともに2代目へとフルモデルチェンジ。
ボディサイズは全長4565 mm x 全幅1695 mm x 全高1475 mmと初代より全高が5 mm高くなっただけですが、室内はより広く設計し直され、より快適性を重視したモデルとなります。
2代目アリオンは数回のマイナーチェンジが施され、世の中のニーズがセダンからSUVへ移行していく中でも、減りゆく「小さなプレミアムセダン」としてひっそりと販売され続けました。
ですが、2021年に生産・販売を終了、約20年にもおよぶその歴史に幕を下ろしました。
日本では歴史の一部となったアリオンですが、実は中国では現在も「アリオン」の名を冠するクルマが販売されているのはあまり知られていません。
中国向けアリオンは2020年11月に開催された広州モーターショー2020にて発表されました。
新たに生まれ変わったアリオンはカローラのロングホイールベースモデルで、全長は+85 mmの4720 mm、ホイールベースは+50 mmの2750 mm(※カローラは日本仕様で2640 mm、海外仕様で2700 mm)となります。
アリオンの登場により、中国の車種ラインナップにおけるカローラとアバロンの間が埋められました。
トヨタやホンダなどの中国に複数の合弁会社を持っている自動車メーカーは、ひとつのモデルに異なるデザインと車名を与え、姉妹車としてそれぞれの合弁会社からリリースすることが一般的です。
アリオンは第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が製造・販売を担当していますが、ベースとするカローラに姉妹車「レビン」が存在するように、アリオンにも「レビンGT」という姉妹車が広州汽車との「広汽トヨタ」から展開されています。
「カローラ/レビン」「アリオン/レビンGT」以外に、トヨタは中国で「イゾア/C-HR」、「クロス/フロントランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」。
「ハリアー/ヴェンザ」、「クラウンクルーガー/ハイランダー」、「クラウンヴェルファイア/アルファード」「グランビア/シエナ」などの車種を、それぞれ一汽トヨタと広汽トヨタで販売しています。
アリオンは一汽トヨタで販売しているカローラをベースとしているものの、ホイールベース以外に多くの点で異なります。
フロントマスクはボンネット先端のメッキ加飾とバンパー下部のインテークを繋ぐ大きめのグリルが追加され、より存在感を発揮しています。
また、リアではメッキ加飾が抑えられ、ナンバー上部に「ALLION」のエンブレムを装着することで落ち着いた高級感が感じ取れます。
ホイールベース延長につき、サイドビューは日本では見慣れない長さになっているのも特徴のひとつと言えるでしょう。
また、カローラのパワートレインは8NR-FTS型1.2リッター直列4気筒ターボエンジン、M15A-FKS型1.5リッター直列3気筒エンジン、そして2ZR-FXE型1.8リッター直列4気筒エンジンを搭載するハイブリッドモデルの3種類で展開されています。
それに対し、アリオンはM20A型2.0リッター直列4気筒エンジンを搭載する純ガソリン(M20A-FKS)とハイブリッド(M20A-FXS)に集約されており、排気量もパワーも車格にふさわしいものとなっています。
中国ではセダンやSUVのロングホイールベースモデルが人気で、例えばメルセデスベンツではAクラス・Cクラス・Eクラス・Sクラスに、アウディではA3・A4・A6・A7・A8・Q2・Q5・S8などに設定されています。
これらはモデル名末尾に「L」が付くことで区別されており、通常モデルよりも見栄を張れるという理由でも選ばれている存在です。
アリオンもカローラのロングホイールベースとして登場、発売当初は毎月2000台から3000台を販売していました。
ですが、2023年ごろからは月間販売台数1000台以下の月が目立つようになり、現在では200台から300台と全盛期の1/10にまで減少。
ベースとなるカローラは依然として1万台前後を販売しているため、アリオンの販売戦略が上手く行っていないと解釈できます。
中国のコンパクトセダン市場ではBYD製PHEVを筆頭とする安価な中国勢が台頭してきており、これまで上位で目立っていた日本勢やドイツ勢は窮地に立たされている状況です。
例えば、BYDの売れ筋である「秦PLUS」は7.98万元(約172.8万円)という驚異的な価格からスタートし、毎月4万台から5万台前後を販売しています。
一方でカローラは11.68万元(約252.9万円)から、アリオンは14.18万元(約307.1万円)からとメーカー希望小売価格は高く、ディーラー独自の値引き策でようやく秦PLUSよりも安い価格となります。
中国メーカー車種が猛威を振るう中、外国メーカーはいかに販売を持続させるか頭を悩ませています。
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