テスラ モデル3 「テスラの実質的な普及モデル」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

テスラの実質的な普及モデル

2023.2.19

年式

2019年5月〜モデル

総評

表向きBEV（電気自動車）専売メーカーのテスラ。その中核にして販売実績の上からドル箱的存在なのが、世界的にこのモデル3だ。全長4694mmなので5ナンバーサイズ。全幅1849mm／全高1443mmだから立体駐車場に対しても制約がほぼない。乗ってもスマホ・ガジェット的なHMIと、とっつきやすい運転特性はドライバーを選ばない。

満足している点

BEVを身近な存在にした点だ。アプリをインストールしたスマホ片手に近づけばドアが解除され、乗り込みブレーキペダルを踏めば走行可能状態へと移る。Dレンジにシフトし走り出せば、回生ブレーキとの連動で気負うことなく運転できる。最小回転半径5.8mなのでそれなりに気を使うが、なにより余計なことを考えず乗れる気軽さはいい。

不満な点

欲しい情報がすぐに入手できない点。アプリがあるが求める情報へのアクセスには深いディレクトリを探る必要がある。HMIにしてもタッチパネル操作でほとんど完結するものの、構成要素を理解するまでにやはり時間がかかる。OTAでアップデートされるとスマホアプリのように機能や表示が変化。音声対話ロジックは良好だが独特の間合いがある。

デザイン

4

初見では捉えどころがないデザインに感じたが、見慣れてくるとシンプルで日本の街並みにもマッチすると思えてきた。ヘッドライトが目立つのでカエルのような可愛らしさもある。が、空力はしっかり考えられ車内も広い。15インチタッチスクリーンのみという潔さも広さの演出に一役買っている。そして視界が広くて運転しやすい。道路がとても近くて驚いた。

走行性能

4

BEVらしく速さをウリにした広報戦略を取るテスラだが、このモデル3からは安全性を積極的にアピールする。よって、格上のモデルSなどが披露する衝撃的な速さは少しなりを潜めた。試乗したロングレンジは前後ツインモーター仕様で100km/hまでの加速は4.4秒と示されている。ただ、アクセルを全開にしなければ非常に扱いやすく、運転しやすい。

乗り心地

3

大きくて重量のかさむリチウムイオンバッテリーを床下全面にしきつめている。容量は90kWhほどだろうから補機類まで含めると600〜700kgほどの重量物がボディ下部に集中する。ゆえに横転リスクは少なく公的機関のテストでも実証されている。が、乗り味はハードだ。路面状況が悪くなるとBEV特有の上下に細かく揺さぶられる感が強い。

積載性

5

リヤトランク（561L）とフロントトランク（88L）と十分な容量を持つ。リヤトランクはリッドが大きく開くから大きな荷物が積み込みやすい。フロントトランクはそれほど深さがないから手荷物などの収納に向いている。定員乗車5名で合計649Lの大容量ストレージ。十分な実用性だ。

燃費

5

燃費に代わる電費数値がBEVの評価軸。試乗したモデル3では434km走らせ使用した電力は61kWhだったので7.11km/kWhだった。カタログのWLTC総合値で7.63km/kWhだから約93％の達成率。ただ、試乗は真冬（夜間駐車時−17度！）で電費数値が悪化する郊外路が35％、高速道路45％の割合だったので掛け値なしの実力だ。

価格

3

執筆時現在、後輪駆動のRWDが536万9000円、4輪駆動のロングレンジAWDが642万4600円（筆者の試乗グレード）、パフォーマンスが718万4600円。ここから65万円の補助金制度が活用できる。テスラはモデル3に限らず、市場動向に合わせて価格を頻繁に上下させる。最新価格はテスラのWeb上で確認可能だ。