やや中途半端か
ケイマンはちょうど911とボクスターの中間にあたるMRのエントリーモデルです。
パーツやメカニズムの多くをボクスターから流用していて、
2007.12.7
- 総評
- やや中途半端か
ケイマンはちょうど911とボクスターの中間にあたるMRのエントリーモデルです。
パーツやメカニズムの多くをボクスターから流用していて、細かい違いはありますがボクスターのクーペだと言ってもいいでしょう。
必要十分な性能ですが、逆に言えば「エントリーモデルだからこれぐらいでいいや」という設計者の妥協を感じてしまいます。
ポテンシャルはRRの911より高いのですが、敢えてパワーを抑えて足回りのセッティングを弱くすることでフラッグシップの911を超えないように造られています。
端的に言えば、手抜きです。
もちろん技術的には最高ですし、エントリーモデルとして必要な要素は満たしています。
乗ってみればとても楽しく、コーナリングも優秀でそれなりに高水準な車だとは思います。
ただ、「最高の車を造ろう」という熱意が感じられません。
徹底的に煮詰められた911と違い、「それなりに速くて高性能にしとけばいいや」といった手抜きが随所に見受けられます。
メーカーは「911よりお手頃なクーペが欲しい」というニーズを見抜き、ケイマンの販売に至ったのでしょう。
見事な販売戦略です。
流用パーツと高価なオプションで採算を取ろうとする姿勢にもポルシェの戦略が見え隠れします。
ボクスターと比べて割高な感じがしますし、カレラと比べると満足感は低いです。
良くも悪くも現在のポルシェのラインナップの中では中途半端なモデルです。
購入資金に余裕があるなら911カレラ、余裕が無ければボクスターをおすすめします。
資金に余裕が無く、オープンは絶対嫌!という方にはケイマンが最適です。
メーカーの思う壺ですが、買って損はしないと思います。
ポルシェが大好きでいつかは乗りたいと思っている方は、あと500万払って911を買った方が幸せになれるのではないでしょうか。
ケイマンはスポーツカーとしては優秀ですが、ポルシェとしては・・・
- 満足している点
- ・ドライバーの操作がダイレクトに挙動に反映されるので楽しいです。上手い人が乗ればキビキビ動きます。運転の楽しさを教えてくれます。
・よくまわるエンジン。
・トランクの広さ。実用性はあります。
・MRならではの鋭いコーナリング。
・1000万以内でポルシェの新車が買えるというお買い得感(いろいろついてお買い得!というのとは正反対ですが)。
・911は日本の公道では明らかにオーバースペックなので、コーナリングが良くてそこそこの速さを持ったケイマンは公道で性能を引き出せるという点では911よりも優れていると言えます。
- 不満な点
- ・911への劣等感は否めない。並んでしまうと惨めに感じる方が多いでしょう。見た目が似ている分、余計にそう感じると思います。
・直線での刺激的な加速は感じられないです。そういう車ではないので。
・膨大な数のオプション。ノーマルだと装備があまりにも少なく、必要なオプションを次々と足していくと・・・TTやZ4のように本体価格+αだけでは済まないと思ってください。
・味気ないインテリア。オプション無しではスパルタンを通り越して貧相です。
・高速でコーナーを曲がると若干リアがフワフワするような気がします。公道ならば気にするほど
ではないです。
・ブレーキが若干弱い。これもそこまで気にしなくても良いでしょう。
・デザインの好みは人それぞれですが、個人的には美しくないと思います。前後のフォルムのバランスが悪く、テールランプは目を瞑ったカエルのよう。911とボクスターの二番煎じで新鮮味がなく、インパクトに欠けるような気がします。
価格もスペックも911とボクスターのちょうど真ん中です。
これは偶然ではなく、戦略として中間になるように計算して造られたからです。
総評で述べた通り、最高の車を造ろうとする熱意は感じられません。
恐らく、カレラと同じエンジンを積んで足回りを強化すればカレラより速い車になったと思います。
それは避けたかったのでしょう。
911の存在がケイマンの完成度に影響したのは確かです。
しかし、現状では911以外のクーペはこれしかありません。
高額なオプションを我慢できて、911に劣等感を持たず、安価なボクスターを見ても損した気分にはならない、単に「乗って楽しい上に実用性の高いスポーツカー」を求める方にはこれほど最適な車はないと思います。
個人的には好きになれない車です。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験