レクサス NX PHEV 「道路に張り付くような走りが魅力」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
3
燃費
5
価格
4

道路に張り付くような走りが魅力

2023.11.30

年式
2021年11月〜モデル
総評
激戦区であるこのクラスのSUVの中でも、トータルバランスに最も優れたモデル。加えて、クラストップレベルの燃費性能や、プラグインハイブリッド車を含む多彩なパワートレインはNXの大きな魅力だ。その一方で、走りに関してはややクセがある。このクセを「スポーティ」と捉えられるならメリットになるが、場合によっては違和感を覚える人もいるかもしれない。この点については、唯一乗り手を選ぶ部分と言えそうだ。
満足している点
優れたデザインとちょうどいいサイズ感、多彩なパワートレインと手の届きやすい価格など、すべての要素が高いレベルでバランスされている「間違いのないクルマ」。インテリアの質感や機能装備もRXなどの上位モデルと大きな違いはないため、取り回しや燃費性能のよさを重視する人ならNXを選んだほうが満足度は高いかもしれない。
不満な点
鋭いアクセルレスポンスやクイックなハンドリングが魅力的ではあるものの、やや主張しすぎている感がある。それらは「走りのいいクルマ」の要素のひとつであるが、それらを持っていればすなわち「走りのいいクルマ」というわけではない。強力なライバルが多いこのカテゴリーでは、無難であることだけではユーザーの興味を惹けないのも事実であるが…。もちろん、それが気にならない人にとってはデメリットとは言えないため、まずは試乗してみることをおすすめしたい。
デザイン

4

先代のNXは全高に対して全幅が短いためやや面長な印象があったが、現行モデルではクルマのデザインの理想形とされる「ワイド&ロー」により近いデザインになるなど、さらに洗練されたように感じる。どの方向から見ても抑揚のあるレクサスらしいデザインは、欧州プレミアムブランドのSUVと比べても高いレベルにあると言える。インテリアはエクステリアに比べると無難ではあるものの、ネガティブな印象はなく仕立ての良さを感じる。ただし、e-ラッチシステムについてはやや慣れが必要なので、しばらくは戸惑うかもしれない。
走行性能

3

多彩なパワートレインがNXの魅力であるが、いずれもアクセルレスポンスやハンドリングはシャープで、サスペンションも硬い印象。スポーティと言えば聞こえはいいが、手応えがありすぎて中には疲れてしまう人もいるかもしれない。プラグインハイブリッド車の「NX450h」は、車体が重い分、道路に張り付くような走りが魅力。反対に、ガソリン車の「NX300」や「NX250」は軽快なハンドリングが強みと言えそう。動力性能としてはどのパワートレインも必要十分以上ではあるが、燃費性能や価格のバランスを考えると、まずは「NX350h」を検討するのがいいかもしれない。
乗り心地

4

どのグレードも全体的に硬めではあるものの、基本的にはサスペンションがしっかりといなしてくれる印象。そういった意味でも、あくまで「高級車」であると言えそうだ。比較的コンパクトなイメージのあるNXだが実際にはそれなりのサイズなので、後部座席も含めて室内空間が狭いということはない。強いて言えば、後部座席はもう少しシートの厚みがほしいところ。
積載性

3

最大1387mmというワイドなラゲッジスペースは使い勝手もよく、一般的な利用であれば不満に感じることはほとんどなさそう。完全なフルフラットにはならないものの、後部座席を倒すことで1411Lもの広大なスペースを作り出すことができるのもうれしいポイント。それ以外の車内収納については過不足なしといった印象だが、決して充実しているわけでもないので過度な期待はしないほうが無難かもしれない。
燃費

5

再量販グレードの「NX350h」の燃費性能はクラストップレベルであり、さすがレクサス(トヨタ)といったところ。ガソリンモデルの「NX300」や「NX250」も同クラスのSUVの中では高いレベルにあり、NXの大きな強みと言える。一方「NX450h」は、プラグインハイブリッド車の中でも平均的なレベル。ただ、プラグインハイブリッド車は使い方次第で燃費性能が大きく変わるため、カタログ上の数値はそれほど参考にならないかもしれない。
価格

4

欧州プレミアムブランドと比べるとやや割安な印象だが、トヨタ・ハリアーやクラウンスポーツといった「身内」の競合モデルと比べると、リセールバリューの面で劣る部分があるかもしれない。とはいえ、NXはレクサスの中ではリセールバリューもトップクラスであることに加え、レクサスというプレミアムブランドのクルマを得ることで満たされる所有欲なども含めると、トータルのコストパフォーマンスは決して悪くはないだろう。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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