ホンダ ヴェゼルハイブリッド 「2024年4月の初MCでe:HEVシステムのソフトウェアが進化」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

2024年4月の初MCでe:HEVシステムのソフトウェアが進化

2024.7.27

年式

2021年4月〜モデル

総評

2021年4月に登場したホンダを代表するSUVの一台。2代目の現行型となってシャープなデザインとなり、広大なラゲッジルームはそのまま継承された。2024年4月には初のマイナーチェンジを実施し、デザイン、走行性能、そしてグレード構成を見直して商品性の強化を図っている。e:HEVシステムもエネ・マネをはじめとしたソフトウェア側の変更が加わった。

満足している点

都会的なデザイン、手頃なボディサイズと価格帯、ハイブリッドモデルのe:HEVとガソリンモデルをラインアップ、プロペラシャフトでつながった4WDシステムなど、このクラスに求められる性能をギュッと詰め込んだところが多くのユーザーから支持されている理由。先進安全技術群であるHonda SENSINGの機能向上も図られた。

不満な点

都市部の立体駐車場では全高1550mmにひとつの境があるためヴェゼルの1580〜1590mmがポイントになるが、そこさえ気にならなければ使い勝手の良いSUVとして受け入れられる。ただ、その全高、あと30〜40mm下げれば良いわけで、シャークフィンアンテナをやめて10mm程度のローダウンサスを組めば理屈の上では解決するはず。悩ましい。

デザイン

5

クーペのようなシルエットが与えられたSUVボディ。ヘッドライトやテールレンズ形状を薄型にデザイン処理することでボディサイズ以上に立派に見える点も秀逸な点。当初、インテリアは左右対称デザインで登場したが、マイナーチェンジでは最近のホンダ流である左右対称の水平基調デザインに変更されスッキリとした。

走行性能

4

ホンダお得意の2モーターハイブリッドシステムe:HEVはエネルギーマネージメント制御の変更を受け、エンジンの始動／停止の頻度を大きく減少させた。これはバッテリーの使用領域のうち上限値と下限値を拡げたことで実現した。アクセルレスポンスも向上し、シリーズハイブリッド走行モードでのキビキビ感が増している。CVTとの組み合わせとなるガソリンモデルも活発に走る。

乗り心地

3

上質な走りというよりも、軽快な印象。これはどのグレードでも同様だ。ただし、マイナーチェンジでe:HEVのFFモデルはダンパーの減衰力が変更され荒れた路面でもフラットな乗り味が感じられるようになった。またe:HEVモデルは全グレードで遮音／吸音材の厚みや配置を変更することでエンジン透過音やタイヤのパターンノイズなどを低減させている。

積載性

5

相変わらず広大だ。こちらもホンダ独自のセンタータンクレイアウトによるものだが、ヴェゼルの場合はラゲッジルームのボディサイドが高めにとられているため実質的な有効ラゲッジ体積が大きい。6:4分割可倒式リヤシートを倒すと本当にフラットな床面が出現。助手席を倒せば長尺物も楽に積載可能だ。リヤゲートにはハンズフリーの電動開閉機構が装備できる。

燃費

4

e:HEVのFFモデルがWLTC値で25.3〜26.0km/L、4WDモデルが21.2〜21.5km/Lと十分な数値。e:HEVは日産e-POWERにはないエンジン直結モードがあるため高速道路での実用燃費も良好だ。FF、4WDともに20km/Lオーバーは何なく達成する。ガソリンモデルは4WDのみでWLTC値は15.0km/Lだが、こちらも高速道路では17km/L台に。

価格

4

ベースモデルはガソリン（4WDのみの設定）で264万8800円。e:HEVはFFが288万8600〜355万6300円、4WDが310万8600〜377万6300円。競合他車と比較すると確かに高いが、ヴェゼルの装備類はボトムグレードでも充実しているので装備を横並びにすると競合各車並に落ち着く。筆者のおすすめはe:HEV Xの4WD（310万8600円）。