■映画『007』の劇中車は価値があるのかを検証
英国に本拠を持ち、クラシックカー保険の提供や60万人の会員を擁するドライバーズクラブの運営、出版などをおこなっている「Hagerty investigates(ヘガティ社)」が、興味深い調査をおこなった。
『女王陛下の007』ボンドガールの愛車マーキュリー「クーガー」とは
その調査とは、映画『007シリーズ』に登場するボンドカーが、ベースとなったクルマの標準的な中古市場価格に比して、どのくらいのプレミアムを得ているのかというものだ。
ヘガティ社はクラシックカー愛好者のために、毎年数千件にわたってオークションやディーラー、さらには個人売買での販売価格をモニターし、追跡調査をおこなっている。そこから得られた標準的な価格と、映画製作で使われた後に販売された個体の価格を、当時の為替レートも加味し、どれほどのプレミア率なのかということを算出している。そのプレミア率をランキング形式で発表していこう。
●第10位:1971年式フォード「マスタング・マッハ1」
標準価格:9万2000ポンド(約138万円)
ボンドカー価格:1万2650ポンド(約190万円)
プレミア率:37.5%
1971年に公開された『007/ダイヤモンドは永遠に』に登場した真っ赤なマスタング・マッハ1は、2004年にオークションに出品された。そのときの最高入札額が1万2650ポンドだったのだが、リザーブに達せず、流札となっている。そのため、プレミア率は高かったのだが、今回のランキングでは最下位となった。
●第9位:1991年式メルセデス・ベンツ「190E」
標準価格:6500ポンド(約98万円)
ボンドカー価値:8991ポンド(約135万円)
プレミア率:38%
先日ロードショーが始まった『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』に登場しているメルセデス・ベンツ190Eだが、その個体はまだオークション等には出品されていない。そのためこのクルマの価格に関しては、ヘガティ社が評価資料などから価値を算出している。予告編には登場せず、本編で大きな役割もしていないが、おそらくこのくらいの価値となるはずだ。
●第8位:1937年式ベントレー「4 1/4リットル ガーニーナッティング3ポジションDHC」
標準価格:13万3300ポンド(約2000万円)
ボンドカー価格:22万1500ポンド(約3333万円)
プレミア率:66%
1983年に公開された『ネバーセイ・ネバーアゲイン』。ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じた作品だが、ユナイテッド・アーティスツやMGMの配給ではなく、ワーナー・ブラザース配給のため、タイトルに007の文字はない。ここに登場したベントレーは、2004年のボナムズ・オークションにおいて、18万8500ポンド(約2800万円)で落札され、その後2010年に22万1500ポンド(約3333万円)で落札されている。
●第7位:1969年式アストンマーティン「DBS-6」
標準価格:3050ポンド(約122万円)
ボンドカー価格:8991ポンド(約360万円)
プレミア率:182%
1969年の『女王陛下の007』でのボンドカー、アストンマーティンDBS-6は、1978年に現在のオーナーであるSigi Zidziunas氏が、8991ポンドで購入した。当時の標準価格は3050ポンド。当時の対ポンドの為替相場は、360円から470円程度。そのため1ポンドを約400円と想定して計算すると、標準価格は約122万円、ボンドカー価格は約360万円となる。そのころの日本の大衆車、たとえばカローラの新車販売価格は、100万円以下。そう考えると高価ではあるのだが、しかし昨今のクラシックカーの値上がりを考えると、夢のようなプライスといえよう。
●第6位:2008年式アストンマーティン「DBS」
標準価格:7万ポンド(約1050万円)
ボンドカー価格:24万1250ポンド(約3630万円)
プレミア率:245%
日本では2009年に公開された『007/慰めの報酬』に登場したアストンマーチンDBS。撮影に使用された7台のうちの1台が、2012年に開催されたクリスティーズのオークションに出品された。エスティメートは15万ポンド(約2250万円)だったのだが、落札価格はそれを大幅に上回る24万1250ポンド(約3630万円)となった。
■プレミア率49倍のボンドカーは、あの潜水するクルマだった!
今回は、標準的な中古市場価格と比べてのプレミアムで、ボンドカーのランキングをつけている。そのため、価格の高低ではなくプレミア率がポイント。この観点からボンドカーの価値を見てみると、非常に興味深い結果が分かった。
●第5位:1969年式マーキュリー「クーガーXR7」
標準価格:5万5500ポンド(約835万円)
ボンドカー価格:36万5500ポンド(約5500万円)
プレミア率:559%
1969年の『女王陛下の007』では、4台のマーキュリー・クーガーが撮影に使われている。その中の1台が2020年12月のボナムズ・オークションに、10万ポンド(約1500万円)というエスティメートで出品されだ。ところが落札価格は、36万5500ポンド(約5500万円)という高額なもの。ボンドカーであるということに加え、クラシックカーの価格が高騰しているということも、この高額の要因と思われる。
●第4位:1965年式アストンマーティン「DB5」
標準価格:61万6550ポンド(約9277万円)
ボンドカー価格:467万7850ポンド(約7億385万円)
プレミア率:759%
1964年の『007/ゴールドフィンガー』や、1965年の『007/サンダーボール作戦』に登場した、ボンドカーの象徴ともいうべきアストンマーティンDB5。この個体は製作会社であるイーオン・プロダクションズがサンダーボール作戦の打ち上げのために購入した2台のうちの1台で、その後ゴールドフィンガーのために『Qブランチ』仕様として改造された本物で2019年に落札された。ちなみに、1995年の『ゴールデンアイ』で、撮影用スタントカーとして使用されたDB5は、2019年に196万ポンド(約2億9340万円)で落札されている。
●第3位:2014年式ランドローバー「ディフェンダー110ダブルキャブSVX」
標準価格:3万5200ポンド(約530万円)
ボンドカー価格:36万5000ポンド(約5500万円)
プレミア率:937%
2015年に公開された『007スペクター』。2017年にRMサザビーズオークションに出品されたときのこのディフェンダー110の落札価格は、23万ポンド(約3460万円)だったのだが、翌年のボナムズオークションに出品されたときの落札価格は、36万5500ポンド(約5500万円)となった。
●第2位:1974年式AMC「ホーネット」
標準価格:5200ポンド(約78万円)
ボンドカー価格:8万9150ポンド(約1340万円)
プレミア率:1614%
1974年の『007/黄金銃を持つ男』で、アストロ・スパイラルジャンプを披露したAMCホーネット。アメリカでは平凡、といっていいクルマだが、撮影に使用されたこの個体は現在まで、撮影時と同じ状態を維持していた。RMサザビーズオークションに出品されたのは2017年。落札価格は8万9105ポンド(約1340万円)だった。
●第1位:1977年式ロータス「エスプリS1」
標準価格:1万2300ポンド(約185万円)
ボンドカー価格:61万6000ポンド(約9250万円)
プレミア率:4908%
1977年に公開された『007/私を愛したスパイ』。それに登場したロータス・エスプリS1は、水中に潜航することもできるスーパーマシンで『ウェット・ネリー』と呼ばれている。撮影に使われたこのクルマは、クランクアップ後、所在不明となっていたのだが、1989年にアメリカ・ニューヨークの倉庫で発見され、ブラインドオークションで、わずか100ドル(約1万1000円)という価格で売り渡された。その後、2013年に開催されたRMサザビーズの、ロンドンオークションに出品されたのだが、そこでの落札価格は61万6000ポンド(約9250万円)という高額なものとなった。ちなみに、落札したのは、テスラやスペースXで知られる、イーロン・マスク氏だった。が、このエスプリは、厳密にいうとクルマではなく、撮影用小道具の、車輪のない潜水艦。作品を観た人は憶えていると思うが、車輪の部分に潜航用のフィンを持つものである。
* * *
さて、10台のボンドカーの現在の価値をランキング形式で紹介したが、クルマが重要な役割をはたしている007シリーズにおいては、『本物』のクルマに、大きな価値を感じている人が多いことが分かる結果となった。
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みんなのコメント
大人になって冷静に見ると、どうやっても不可能な変形なのが分かってチョット残念