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過熱する中国のEVブーム はたして中国の電力は本当に足りるのか?

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過熱する中国のEVブーム はたして中国の電力は本当に足りるのか?

■中国メーカーは猫も杓子もEV

電気自動車(以下:EV)がラインナップされているのは“当たり前”、これが中国の自動車メーカーの常識です。販売台数も大幅に増加傾向で、日本では考えられないような状況になっているのです。しかしEVがこのまま増え続けた場合、中国の電力は足りるのでしょうか。

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日本でのEVといえば、日産リーフ」が徐々に増えてきて、また高級車ではアメリカのテスラを東京や大阪などの都市部でたまに見かける程度です。正直なところ、日本でのEVはまだマイナーな存在です。

一方で、中国ではこの2年ほどでEVの販売台数がウナギ上りになっているのです。

一般公開に先立って2019年4月16日から報道陣向けに開催されている、中国で最大規模を誇る上海モーターショーでも、自動車メーカー各社はこぞって最新EVを出展しています。

たとえば、トヨタは日本でも人気の高い小型SUVC-HR」のEVを発表しました。ホンダも小型SUVのEVコンセプトを公開。また、日系ではEV戦略でリードする日産は、小型セダンシルフィ」に「リーフ」の電動コンポーネンツを応用した「シルフィEV」をすでに発売しています。

中国の富裕層から絶大なる支持を得ているドイツメーカーからもEVの出展が相次ぎました。メルセデスベンツやBMWはもとより、注目されたのはフォルクスワーゲンです。

ボディサイズがかなり大きなSUVのEV「ID.ROOMZZ」を発表しました。フォルクスワーゲングループは2016年に企業方針として「EVシフト」を掲げています。そのため、グループ内のすべてのブランドで一気にEVを量産する計画なのです。

つまり、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェベントレーランボルギーニの他、日本では馴染みが薄いですがスペイン拠点のセアトとチェコ拠点のシュコダを含みます。

こうした海外メーカーのEV戦略に対抗しようと、中国地場メーカーからも続々とEVが登場しています。大手メーカーでは、第一汽車、東風汽車、広州汽車、北京汽車、長安汽車など、中堅メーカーでは奇瑞汽車、長城汽車など。

さらに、最近目立っているのが中国EVベンチャーの存在です。今回の上海ショーでもさまざまなEVベンチャーが出展しました。

そうした中で、もっとも大きな展示ブースを構えたのが、NIOです。EVのF1と称される世界フォーミュラe選手権にも参加している、ネクストEVが立ち上げたEV専用ブランドです。

■中国政府の肝いり政策「NEV」

では、どうしていま中国でEVが急増しているのでしょうか。

その背景にあるのが、NEV規制です。NEVとは、ニュー・エネルギー・ヴィークル(新エネルギー車)の意味で、EV、プラグインハイブリッド車、そして燃料電池車などの電動車を指します。

NEV規制は、中国でクルマを製造・販売する中堅や大手の自動車メーカーに課せられた義務で、販売台数の一定割合をNEVにしなければなりません。そのため、2018年のNEV規制の施行に合わせて、自動車メーカー各社が一斉にEVを発表しているのです。

現時点では、中国でのEV年間発売台数は100数十万台ほど。中国全ての自動車年間販売台数では20分の1程度ですが、NEV規制は今後、段階的に厳しさを増していきます。そうなると、中国ではEVの数が必然的に増えていくことになります。

中国政府としては、EVを足掛かりに燃料電池車を含めた次世代自動車の技術開発で世界をリードしていくとの方針を明確に示しています。すでに中国はEVの製造・販売数で世界一なのですが、国の肝煎り政策によって中国でのEVの需要は確実に増えそうです。

ただし、そうなると大きな問題が生じてきます。「電力は足りるのでしょうか?」

中国の電力需要は90年代からの始まった、経済の民主化政策によって増え続けてきました。2000年代初頭では、90年代に比べて一気に2倍に跳ね上がり、その後も電力需要は伸び続けてきました。

そうした電力需要の約8割は、工場や商用施設など工業向けの需要です。それがEVの需要拡大によって、工業向け以外の分野で一気に増える可能性があります。

現時点でのEV需要は、フリートと呼ばれるレンタカーやタクシーなどの公共交通向けが主流ですが、今後はNEV規制が厳しさを増すなか、個人需要が拡大しそうです。

そうなっても、EVに対して十分な電力供給が行えるかどうかは、民間企業の一存では解決が難しいと思います。中国政府がNEV規制の動向を見据えながら、電力需要をコントロールしなければなりません。

中国での発電所は、石炭による火力発電が全体の約6割、水力発電が約2割、残りが風力発電、太陽光発電などで、原子力発電は1%程度を少なくなっています。中国は石炭の採掘量が多いのですが、国の政策としては近年、大気汚染の低減に向けて石炭火力発電の比率を下げる傾向にあります。

そうなると、今後は風力発電や太陽光発電など、自然エネルギーによる発電を強化することでEV需要に対応する可能性が高いと考えられます。

ただし、過去にも中国は自然エネルギー発電をベースとした町づくりとして、いわゆるスマートグリッド構想を進めたのですが、計画が継続的に実施されている事例はけして多くないという状況です。

NEV規制導入によって、中国政府が新規スマートグリッド構想をどのように描くのか。それによって、中国でのEV需要拡大の道筋が見えてくるでしょう。

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