■ネオクラシックのなかでもスポーツカーの市場価値が高騰中
現代のクルマは環境性能の追求や新技術を搭載したり環境性能を追求したり、さらには洗練されたデザインが採用されるなど、最新モデルならではの魅力を備えています。
その一方で、誕生から20年以上も経過した過去の古いクルマを「旧車」と呼び、あえて現代で乗る楽しみ方も人気になっており、程度の良い人気モデルは異常なほど相場が高騰する事態になっているのです。
昔から「クラシックカー」と呼ばれるジャンルはありましたが、旧車はそれらとは異なり、とくに最近では1960年代や1970年代のモデルを指します。さらに時代が進んだ1980年代から1990年代、そして1990年代から2000年代のクルマが「ネオクラシック」と呼ばれ、価値が高まっています。
旧車に精通した業界関係者に、魅力や最近のトレンド、旧車のジャンルなどについて聞いてみました。
まず、旧車とはどんなクルマなのかということについてですが、旧車イベントなどにも参加した業界関係者Y氏によると、さまざまな団体で定義が異なるため一概にはいえないといいますが、大きく3つに分類できるそうです。
●クラシックカー
クラシックカーでの公道ラリーを主宰している欧州の団体「FIVA」では「生産から25年以上経過したクルマ」はクラシックカー扱いとなっていますが、日本では一例として、東京都が1945年までに製造された車両を「ヴィンテージカー」として定義し、納期限までに申請することにより自動車税種別割の重課分の減免を受けることができることから、このあたりの年代までがいわゆる「クラシックカー」と呼べます。
●旧車
主に1950年代後半から1970年代に販売された国産車が旧車に該当します。
当時生産されたトヨタ「クラウン」やプリンス時代の「スカイライン」などは、ほぼクラシックカーに近い扱いですが、いまだにレストアされる車両もあります。
このなかでも別格なのは、国産車唯一のボンドカーとしても有名なトヨタ「2000GT」で、1967年から1970年にわずか337台しか生産されなかった国産スポーツカーです。現在、市場価格は億を超える金額で取引される車両もあります。
●ネオクラシック
最近、注目度と希少性がグッと高まっているのが「ネオクラシック」と呼ばれる1980年代から2000年代までの国産車です。
当時はまだ280馬力の自主規制枠がありながらもハイパワー&新技術競争が激化。バブル景気の影響もあって、多額の費用をかけて開発された時代でした。
なかでも別格なのが日産「スカイラインGT-R」(R32)とホンダ「NSX」(初代)。また三菱「ランエボ」シリーズやスバル「インプレッサWRX STi ver.」シリーズなどもプレミア価格で取引されています。
「とくに、最近では1990年代から2000年代のモデルが新たにネオクラシック扱いとなってきており、中古車市場でも高騰しはじめています。
これは、中古車としては古過ぎたり、環境性能や燃費性能が重視されるようになって、パワーを求めていた時代の車両が軒並み淘汰され数を減らしたことも大きいでしょう。
しかも今後はアメリカの通称『25年ルール』によって海外への流出が危惧されており、ただでさえ流通量が減ったなかで程度のいい車両は、かなりのプレミアが付くと予想されています」(旧車の業界関係者 Y氏)
■今、旧車を購入することのメリットやデメリットは?
旧車やネオクラシックの魅力はどんなところにあるのか、前出の業界関係者Y氏に聞いてみました。ちなみにY氏自身も旧車を複数台所有しています。
「一番の理由はやはりデザインでしょう。現在のコンピュータで描かれた空力第一主義のラインとは違う、有機的なデザインを評価する声が多いです。また当時は若くて買えなかった人がそれなりの収入が得られるようになって、憧れのクルマを改めて手に入れるパターンも多いようです」
一度旧車を購入すると長期間保有するケースも多く、なかには10年以上取っておく人もいるそうです。
「何台かクルマを乗り継いでいる人のなかには、新車が出るたびに新技術が投入されてついていけない気持ちになる人もいます。
その点ネオクラシックになると、もう価値が下がらない、モデルチェンジを気にしなくていいという安心感もあるようです」(旧車の業界関係者 Y氏)
旧車のメリットとしては、希少性もあってクルマの価値が下がらないことです。
また、ネオクラッシックのクルマでは現代に通じるような技術が使われていることも多々あり、現在のクルマに遜色ない走りが楽しめるモデルもあります。
さらに、現代のクルマほど電子制御されておらず自分でメンテナンスできる部分が多いことも魅力のひとつとされています。
社外品のパーツが豊富な車種であれば、カスタムしやすいこともありますし、ほかにもノスタルジックな気分を存分に楽しめるということも人気を集める理由です。
一方でデメリットもあります。それは古いクルマの場合、重課された税金を支払わなければいけないことや部品が入手しにくくなってくることです。
「エンジンなどの機関部品はほかのクルマから流用できるケースもあり、それほど心配はいらないのですが、問題はそれ以外の部品です。
ドアのウェザーストリップやサンバイザー、モール類といった車種専用の部品が入手しにくくなってくるんです」(旧車の業界関係者 Y氏)
実際、メーカーが車種専用の部品を保有しているのは生産終了してから10年足らず。問い合わせても中古パーツですらも見つからないケースも増えてくるため、ネオクラシックを購入するのと同時に部品も一式購入するオーナーもいるそうです。
「メーカーに問い合わせて欠品していても再生産されるパーツもあります。しかし、ある程度のロット数(注文数)が揃わないと生産されないケースが多く、パーツが入手困難になってしまいます。
機械加工で作れるパーツは社外品でもまかなえるのであまり問題ありませんが、樹脂製で成形型が必要なパーツは、個人で作るのはほぼ絶望的です。
そういったデメリットを超えても、乗りたいと思わせるのが旧車です。
現在のモデルと比べればスペックは劣りますが、時代背景も込みの魅力なら色褪せることがありません。
それでいて快適装備もほとんどついていますし、価格が高騰する前に乗ってみてほしいです」(旧車の業界関係者 Y氏)
近年は、トヨタや日産、マツダ、ホンダなど、旧車・ネオクラッシックのパーツを再販しており、ユーザーサポートが充実してきました。
しかし、現状では車種が限られていてパーツの価格も高額なので、注意が必要です。
また、旧車のクラブに入会するのもクルマを維持するには非常に有効で、部員同士でパーツを融通したり、小ロットでパーツを作れることもあり、さらに故障箇所も熟知しているなど情報が得られやすいことが挙げられます。
※ ※ ※
最近では1980年代の「昭和ポップス」が若者を中心にリバイバルヒットするなど、古い邦楽が流行していますが、これもすでに名曲と認定された曲ならではの安心感が幅広い層にウケているのです。
クルマも同じで、あのとき憧れだったクルマがネオクラシックになったとしても、色褪せない存在感が魅力的に映るということなのでしょう。
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みんなのコメント
2000年代までは今となっては規制が緩かったので魅力的にみえるのでしょう。
車を移動の為の道具と捉えるか趣味を含めたものとみるかは個人の問題だ。