家族を運ぶ、仲間を運ぶなど多人数乗車が前提のミニバンにとって、シートの果たす役割はとても需要だ。
ドライバーの負担を軽減しつつ同乗者が快適に移動することができ、限られたスペースの中に3列シートを収める必要がる。
消えゆくミニバンの定番装備!? フルフラット&回転対座シートはなぜ廃れたのか
また停車中にフルフラットにできたり、荷物を多く運ぶときはたたむことができるなどアレンジも大事である。
今回は各シートの座り心地とシートアレンジ、そしてこれらの総合評価に優れたミニバンベスト3をご紹介しよう。ぜひ愛車選びの参考にしていただきたい!
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部、Honda
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■前席の比較&ランキング
前席の1位はアルファード&ヴェルファイア。前席の座り心地は高級セダンを思わせる
ミニバンは多人数で乗車できるクルマだから、2列目と3列目のシートに対する関心が高い。3列目を格納した時に得られる荷室の広さも注目される。
しかし安全性を考慮すると重要なのは運転席だ。ドライバーが最適な運転姿勢を得にくかったり、長時間の運転で疲れやすいと、安全性を妨げてしまう。
そしてミニバンは主に国内向けに開発され、価格競争も厳しいため、前席にコストを費やしにくい事情もある。
その点で運転席が優れているのは、欧州市場で販売される車種だ。欧州では日常的に高速走行の機会が多く、安全のために低価格車にも優れた運転席が求められる。内装の質や快適装備を下げても、運転席はしっかりと造り込む。
ミニバンでは2列目、3列目に注目が集まりがちだが、安全性を考慮すると運転席の座り心地は重要なのだ
この不利も踏まえてミニバンの前席を比較すると、最も優れている1位はアルファード&ヴェルファイアだ。シートのサイズに余裕があり、肩まわりのサポート性も良い。乗員の体が適度に沈んだところで、しっかりと支える。柔軟性が伴い、以前のクラウンを思わせるリラックス感覚のある座り心地だ。
前席の2位は僅差でオデッセイ。アルファード&ヴェルファイアに比べて柔軟性は下がるが、背もたれの下側を少し硬く造り込み、着座姿勢を安定させた。アルファード&ヴェルファイアは日本車らしい座り心地だが、オデッセイには欧州車の持ち味を盛り込んだ。
前席の3位はステップワゴンだ。ミドルサイズのミニバンながら、オデッセイに近い座り心地に仕上げた。
■後席(2/3列目シート)の比較&ランキング
後席の1位はトヨタ グランエースプレミアム(6人乗り)。簡素になりがちな3列目も、シートのサイズや座り心地は2列目と同じだ
ミニバンの特徴は、前述の通り多人数で乗車できることだ。2列目シートに加えて3列目も大切だが、後者の座り心地には不満を感じる車種が多い。3列目はコンパクトに格納して、自転車などの大きな荷物を積む機能も重視されるからだ。
2列目はミニバンの特等席だから、不満も生じにくいが、3列目は車種によって差が開く。3列目を使って5名以上で移動するユーザーは、3列目の頭上や足元の空間、着座姿勢、座り心地を確認したい。
その意味で後席の1位はグランエースプレミアム(6人乗り)だ。
2列目のエグゼクティブパワーシート。足元の広さこそ違うが、3列目にも同じシートを装備する。走るファーストクラスといった雰囲気だ
ほかのミニバンでは、例外なく3列目の座り心地が2列目に比べて劣るが、グランエースプレミアムでは、2/3列目の両方にアルファード&ヴェルファイアの2列目と同様のエグゼクティブパワーシートを装着した。シートのサイズや座り心地は、2/3列目ともに同じだ。
厳密にいえば、3列目は2列目に比べて頭上空間が少し足りないが、むしろセダンのような囲まれ感が生じて安心できる面もある。ほかのミニバンに大人が多人数で乗車して長距離を移動する場合、時々席替えをしないと不公平になるが、グランエースならその必要はない。
後席の2位はオデッセイの7人乗りだ。2列目にプレミアムクレードルシートが装着され、体をスッポリと包む座り心地に仕上げた。床と座面の間隔にも十分な余裕があるため、小柄な乗員は大腿部を押された印象になることもあるが、そこに違和感が生じなければ快適だ。
後席2位のホンダ オデッセイのシート。自然な着座姿勢はアルファード&ヴェルファイアにも負けてはいない
さらにオデッセイは低床設計だから、3列目の床と座面の間隔にも余裕を持たせた。着座姿勢が自然で、Lサイズミニバンだから3列目の足元空間も広い。座面の長さにも余裕があるので、アルファード&ヴェルファイアよりも快適に座れる。
3位はアルファード&ヴェルファイアだ。国産ミニバンでは、車内の広さはグランエースの次に広く、2列目はシートの造りも優れているから座り心地も快適だ。
ただし3列目は、コンパクトに格納することを重視したからシートの造りが薄い。床と座面の間隔も不足気味で、座面の角度が水平に近いため、足を前方へ投げ出す座り方になりやすい。頭上と足元の空間は広いが、座り心地は安楽な2列目に比べて見劣りする。それでも頭上と足元の空間はタップリしている。
■荷室&シートアレンジの比較&ランキング
日産 セレナは多彩なシートアレンジがウリだ。S(スマートシンプル)ハイブリッドは2列目シートの中央部分を前席の間までスライドさせると収納設備として使える
ミニバンにとって、荷室とシートアレンジも大切だ。3列目を格納すると、4名で乗車して、自転車のような大きな荷物も積める。
ほかのカテゴリーで自転車を積むと、後席を格納するから2名乗車になることが多いが、ミニバンなら4名乗車時の荷室も大容量だ。また広い室内を生かして、多彩なシートアレンジが得られることもミニバンの特徴になる。
荷室&シートアレンジの1位は、セレナのS(スマートシンプル)ハイブリッドだ。シートアレンジは多彩で、2列目シートの中央部分を前席の間までスライドさせると、収納設備として使える。この時には2列目の中央に空間ができるため、車内の移動もしやすい。
2列目には左右方向のスライド機能も備わり、スライドドア付近のスペースを広げられる。開発者は「お客様はいろいろと工夫して、使いやすいシート配置を見つけている」という。
セレナe-POWERはハイブリッドユニットを収納するため、2列目中央のロングスライド機能などを省いてある。購入の際はグレードごとの違いをよく確認しよう
ただし同じセレナでもe-POWERは、ハイブリッドのユニットを収納するため、2列目中央のロングスライド機能などを省いたから注意したい。
荷室&シートアレンジの2位はシエンタだ。薄型燃料タンクを使うので荷室の床が低い。路面から荷室床面までの地上高は505mmだから、荷物を高い位置まで持ち上げる必要がない。
しかも3列目シートは2列目の下側に収まるから、スッキリと広い荷室になる。3列目を取りはずしたように見える。コンパクトミニバンでも荷室の使い勝手は良好だ。
3位はヴォクシー。3列目を左右に格納する一般的な方式だが、レバー操作だけで跳ね上がり、重いシートを持ち上げる必要はない。2列目のロングスライド機能も使いやすく、トヨタ車らしいキメの細かな配慮が見られる。
■総合評価
総合評価1位のホンダ オデッセイ。3列目シートの快適性が優れている
総合評価の1位はオデッセイだ。最も注目される点は、グランエースプレミアムを除くと、6名乗車時の快適性が最も優れていること。アルファード&ヴェルファイアに比べると、3列目シートの快適性で差を付けた。
またオデッセイの3列目は、床下に格納されるからスッキリした荷室になり、荷物を積む時も都合が良い。ちなみにグランエースプレミアムは、3列目の快適性は輸入車まで含めてミニバンの圧倒的1位だが、3列目を格納できない。
オデッセイは機能が多彩で、低床設計により乗降性も優れているから総合評価で1位になった。
多彩な機能と、低床設計による乗降性も総合評価1位の理由だ
総合評価の2位はアルファード&ヴェルファイアだ。前述の通り3列目の快適性はベストではないが、1/2列目は内装の質感も含めて優秀だ。3列目を左右に持ち上げると、大容量の荷室になるから積載性も優れている。4名以内で乗車して、多量の荷物を積むユーザーにとっては選ぶ価値が高い。
総合評価の3位はセレナだ。標準ボディを5ナンバーサイズに抑えたミニバンでは、3列目の居住性が最も広くて快適だ。シートアレンジも多彩で、ミニバンのメリットを満喫できる。運転もしやすいため、好調に売れて当然だ。
●シートで選ぶミニバンベスト3
1位オデッセイ 2位アルファード&ヴェルファイア 3位セレナ
シートで選ぶミニバンベスト3 順位表
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みんなのコメント
すっごい読みづらい
ちなみにオデッセイの3列目は一番、乗り心地悪いですよ。
いやこれ本当に。