2000年以前のクルマには、インパネなどの見やすい位置にアナログ時計が付いているのをよく見かけましたが、最近は一部の高級車を除いて装備されなくなりました。いまは、ナビ画面や多くの機能を集約したセンターディスプレイの片隅に、時刻をディジタル表示するのが一般的です。
なぜクルマのインパネからアナログ時計は消えたのでしょうか。ディジタル化が進む中でアナログ時計は絶滅するのでしょうか。車載用アナログ時計が激減した理由と今後について考察します。
なぜ昔のクルマは、目立つところにアナログ時計をつけていたのか?
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Adobe Stock_ Best Auto Photo
写真:LEXUS、NISSAN
ディジタル時代の到来とともに激減した車載用アナログ時計
1970年代から1980年代には、高級車だけでなく大衆車にもアナログ時計が標準的に装備されていました。まだディジタル化(一般的には「デジタル」と表記されますが、JIS(日本産業規格)では「ディジタル」とされています)が進む前なので、カーナビもなく、インパネ中央のカーラジオやカセットデッキの隣に、円形や楕円形など様々な形のアナログ時計が配置されていたのです。
ところが、1980年代後半に迎えたバブル景気の頃から、インパネのスピードメーターやタコメーターなどのディジタルメーター化が進み、1990年代にはGPS機能付きのカーナビ、2000年に入るとスマホやWi-Fiが普及するに至り、クルマのコックピットやインパネに大変革が起こりました。これらによって、カーナビやオーディオ、エアコン操作などのパネル表示と操作を集約した、液晶パネルが装備されるようになり、時刻もその片隅でディジタル表示されるようになったのです。
こうなると、それまで装備されていたアナログ時計は、実用上不要となります。また、誰もがスマホを携帯するようになることで、アナログであれディジタルであれ、クルマに時計を装備すること自体の意味が薄れてきたという背景もあるでしょう。
ただ、車載のアナログ時計が完全に廃れたかというと、そうではありません。最高級車の一部では、いまもステイタスを誇示する装備品として活用されています。
2021年に登場した「レクサスNX」の最新コックピット。大型化/高解像度化した14インチタッチワイドディスプレイのマルチメディアシステムに多くの機能を集約
超高級車のアナログ時計は、ステイタス向上のため
高級車メーカーは、古くから高級時計メーカーとコラボしてアナログ時計を積極的に採用していました。有名なところでは、メルセデス・ベンツはスイスの高級時計メーカー「IWC」、ベントレーも同じくスイスの高級時計メーカー「ブライトリング」、キャデラックはイタリアの高級宝飾ブランド「ブルガリ」などとタイアップして、高級なアナログ時計を装備していました。
ディジタル化の流れの中で、多くのモデルでアナログ時計が廃止されましたが、まだ一部の高級車では採用されており、アナログ時計は高級車にとって、クルマのブランドイメージやステイタスをさらに高めてくれるアイテムなのです。
国産車でも、いまもアナログ時計を採用しているモデルがあります。レクサスでは、フラッグシップの「LS」はもちろん、「RC」 「ES」 「IS」などにもGPS時刻補正機能付アナログ時計が装備されています。日産でも、2022年に生産終了となった「シーマ」と「フーガ」には、アナログ時計が採用されていました。
2021年登場の「レクサスRC」のコックピット。マルチメディア液晶パネルの下、左右のエアコン吹き出し口の間にアナログ時計を設置
クルマ好きの人には、時計好きが多い!??
腕時計に関しても、昨今はアナログ時計が減ってきていますね。2000年以前の腕時計はほとんどアナログ時計でしたが、その後デジタルウォッチが登場し、最近は多くの人がスマートウォッチをつけるようになりました。また、スマホがあれば腕時計は不要と、腕時計を付けない若者も増えています。
クルマ好きの人には、時計好きの人が多いといわれます。これが本当かどうかは定かではありませんが、高級車と高級腕時計には、成功者の証という面もありますよね。また、最近のクルマは少し違いますが、元々はクルマも時計も機械の塊であり、その精巧さや造形の美しさが人々を魅了するという共通点があります。車載用のアナログ時計もアナログ腕時計も、時を刻む機能ではなく、高級感を演出する装飾品なのです。
2004年に登場した「フーガ(Y50型)」のコックピット。シーマと同様に、センタークラスターのCDプレーヤーの上部にアナログ時計を設置
◆ ◆ ◆
アナログであれ、ディジタルであれ、クルマに時計がないと困るかというと、いまは必ずしもそうではありません。特に必要ないけど値は張る、それこそがスタイタスなのです。車載用アナログ時計は、まさにそんな贅沢品として今後も存続するに違いありません。
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