現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > キューブキュービックは名車だったのではないか?

ここから本文です

キューブキュービックは名車だったのではないか?

掲載 更新 12
キューブキュービックは名車だったのではないか?

 キューブの販売終了が近づいている。

 現状、すでに全国の日産販売店には生産終了が通達され、在庫のみの販売となっており、一部の仕様・グレード・カラーについては、用意できない段階だという。

【失ってから気づく名車の価値】絶版後に人気となった国産車10選

 2003年から2004年にかけ、年間で約14万台も売れていたキューブ。日産の一時代を築いたモデルだけに、その終焉を名残惜しく感じる方も多いことだろう。

 ところで、2代目キューブ(2002年-2008年)が大いに売れていた当時、ホイールベースを伸ばした派生車種として、「キューブキュービック」という3列シートのコンパクトミニバンがあった (表記は「キューブ3」)。

 3列シートのコンパクトミニバンといえば、トヨタのシエンタは2019年登録車販売台数で3位、フリードは2019年ホンダで最も売れた登録車であり、2019年登録車全体では第9位にランクインするなど、超人気カテゴリだ。

 あれだけ人気だったキューブの3列シート車である。このキューブキュービックも、もし続いていれば、シエンタやフリードに負けない「名車」と言われる存在になれたのではないだろうか。

文:吉川賢一、写真:日産、ホンダ

【画像ギャラリー】キューブらグッドデザイン賞を受賞した日産車たち

キューブキュービックはどうして誕生した?

 国内市場で3列シートのミニバンが流行し始めたのが、ちょうど2000年頃。

 トヨタ、ホンダ、日産からミドルサイズミニバンが乱立する中において、「ミドルサイズミニバンでは少々大きすぎる」という顧客をターゲットにした3列シートのコンパクトミニバンが注目され始めた。

 そうしたなか、2001年にホンダモビリオが登場、コンパクトミニバンとして初の3列シート7人乗りを実現し、話題となった。

初代モビリオ

 そんななか、2002年10月に、2列シート5ドアコンパクトミニバンの2代目「キューブ」がデビュー。

 初代キューブのデザインから、より「キューブ(四角)」らしいデザインへとブラッシュアップされ、大人気となった。

 この2代目キューブの発売から遅れること11ヵ月の2003年9月、キューブに対しホイールベースを170ミリ延長し、折り畳みできる3列シートを装備した5ドアコンパクトミニバン「キューブキュービック」が誕生する。

キューブキュービック

 おそらく、売れ筋のキューブと合わせ、「キューブ」ブランドを強固なものにしようとしたというのが日産の思惑であろう。

3列目シートは劣悪環境だったが、「存在すること」が正義だった?

 ただし3列目は、緊急時の使用ですら我慢できないほど窮屈なシートで、膝が2列目の後ろに常についてしまうような有様。

 おそらく、殆どの人が3列目を折りたたんだまま使用していたであろう。3列目に座るには、2列目も最前へずらさねばならず、そのため、2列目も膝がつっかえる状況であった。

キューブキュービック 車内

 「そんなことなら、ホイールベースをもっと伸ばせばよかったじゃないか」と思うかもしれない。

 筆者の予想ではあるが、ホイールベースをもっと伸ばすことはできただろうが、完璧なまでに完成された(と日産が認識した)「四角いデザイン」の2代目キューブから、縦横比といったデザインバランスを、崩したくなかったのではないだろうか。

 当時の日産は、中村史郎氏を先頭にデザイン改革の真っ最中だ。

2代目キューブと同時期に発売された3代目マーチ
2002年グッドデザイン賞受賞

 もしキューブキュービックがホイールベースをあと100ミリ伸ばして2700ミリ(シエンタが2700ミリ、モビリオが2740ミリ)まで伸ばしていたら、もうちょっと売れていたかもしれない。

 しかし、あのデザインバランスを保つためには、キューブキュービックの伸ばし具合が、ぎりぎりだったのだろう。

 決して悪いことではないのだが、日産デザイナー達の強いこだわりが働いたと考えられる。

 それでも日産は、「3列シートのコンパクトミニバン」を作りたかった。キューブの3列シート車です! とカタログに書きたかったのだ。

 どんなに窮屈だったとしても、キューブキュービックには「3列目があることに」意味があったのだ。

どうして今、日産は3列シートのコンパクトミニバンを作らないのか?

 キューブキュービックではなくても、3列シートのコンパクトミニバンをラインアップに加えればよく、日産も、需要のある有望ジャンルに割って入るくらいは、今でもできるであろう。

 しかし日産はこの20年間、海外で需要がないクルマはつくろうとしない。

まとめ

 キューブキュービックは「名車」というよりも「迷車」だったが、それが分かりつつもブラッシュアップをせず、3代目キューブではモデルを消滅させて「迷車」のままで居続けさせたのは自身であると、日産は認識すべきだ。

 筆者は、キューブこそが日産を救う救世主になると考えている。世界中を見渡してもあれほど仕上がった「四角いクルマ」はないと思う。

e-POWERを搭載している日産ノート
2018年販売台数1位

 もしそのキューブに、e-POWERが搭載されていたら? もしくはEV化されていたら? プロパイロットが搭載されていたら? 今流行のSUV風「キューブクロス(仮)」があったら? 

 デザイン、安全装備、燃費、明確なキャラクタを磨き、今でも「キューブ」ブランドを大事に育てていれば、今ごろ確固たる地位を築いていたかもしれない。

【画像ギャラリー】キューブらグッドデザイン賞を受賞した日産車たち

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「120万円」以上安い! トヨタ新「“8人乗り”アルファード」に大反響! 「最上級モデルの“半額以下”はオトク」「カッコイイ」「黒内装ステキ」の声! 最廉価の「Xグレード」に熱視線!
「120万円」以上安い! トヨタ新「“8人乗り”アルファード」に大反響! 「最上級モデルの“半額以下”はオトク」「カッコイイ」「黒内装ステキ」の声! 最廉価の「Xグレード」に熱視線!
くるまのニュース
BMW「アートカー」をペイントした職人が手掛けたスペシャルな「M1」が存在した! オークションで約7700万円で落札された特別な1台を紹介します
BMW「アートカー」をペイントした職人が手掛けたスペシャルな「M1」が存在した! オークションで約7700万円で落札された特別な1台を紹介します
Auto Messe Web
2025年躍進の吉兆か? 鈴鹿テストで好タイム連発のスリーボンド三宅淳詞、かつてない感触に高揚「これぞスーパーフォーミュラだ」
2025年躍進の吉兆か? 鈴鹿テストで好タイム連発のスリーボンド三宅淳詞、かつてない感触に高揚「これぞスーパーフォーミュラだ」
motorsport.com 日本版
【このエリーゼなんぼ?】ロータスらしい軽量+俊敏なサスペンション+ミッドシップの「ロータス エリーゼ クラブレーサー」販売中!
【このエリーゼなんぼ?】ロータスらしい軽量+俊敏なサスペンション+ミッドシップの「ロータス エリーゼ クラブレーサー」販売中!
AutoBild Japan
【5年ぶりの開催】苗場スキー場のゲレンデをスバル車で駆け上がる体験 「スバル・ゲレンデタクシー2025」
【5年ぶりの開催】苗場スキー場のゲレンデをスバル車で駆け上がる体験 「スバル・ゲレンデタクシー2025」
AUTOCAR JAPAN
あの“スズキ”がアフターパーツのイベントへ初出展!「ユーザーの声を直接聞きたい」理由…DAMD PARTY 2024
あの“スズキ”がアフターパーツのイベントへ初出展!「ユーザーの声を直接聞きたい」理由…DAMD PARTY 2024
レスポンス
GM キャデラックリリックの発売に先駆け、先行情報が得られる事前情報希望者登録を募集
GM キャデラックリリックの発売に先駆け、先行情報が得られる事前情報希望者登録を募集
Auto Prove
シボレー コルベット2025モデルはさまざまな選択肢の拡大で特別な一台を作る
シボレー コルベット2025モデルはさまざまな選択肢の拡大で特別な一台を作る
Auto Prove
まだ装着してないの? 「雪降り始めたよ?」 覚えておきたい「冬タイヤ」の違い! イマ「履くべきタイヤ」とは
まだ装着してないの? 「雪降り始めたよ?」 覚えておきたい「冬タイヤ」の違い! イマ「履くべきタイヤ」とは
くるまのニュース
新型バッテリー電気コンパクトSUV! トヨタが新型アーバンクルーザーを世界初公開
新型バッテリー電気コンパクトSUV! トヨタが新型アーバンクルーザーを世界初公開
バイクのニュース
マジで「その要求」は無理っす……レンタカー店スタッフが実際に遭遇した迷惑客3選
マジで「その要求」は無理っす……レンタカー店スタッフが実際に遭遇した迷惑客3選
ベストカーWeb
われわれが楽しくモノづくりをすることで良い製品ができ、使う人の生活に楽しみと豊かさを提供できると思っています【株式会社 昭和トラスト 取締役 副社長 飯岡智恵子氏:TOP interview】
われわれが楽しくモノづくりをすることで良い製品ができ、使う人の生活に楽しみと豊かさを提供できると思っています【株式会社 昭和トラスト 取締役 副社長 飯岡智恵子氏:TOP interview】
Auto Messe Web
2025最新版《アルファード&ヴェルファイア》ズバリ! “買い”のポイント
2025最新版《アルファード&ヴェルファイア》ズバリ! “買い”のポイント
グーネット
ヴィンテージ・デニムの風合いで個性をアピール!日産の人気6モデルに特別仕様「ビームスエディション」が誕生
ヴィンテージ・デニムの風合いで個性をアピール!日産の人気6モデルに特別仕様「ビームスエディション」が誕生
Webモーターマガジン
12/28(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
12/28(土)THE MOTOR WEEKLY 放送予告!
Auto Prove
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
レスポンス
「えっ…!」この道「ウインカー」出す? 出さない? 真っ直ぐも行ける「道なりカーブ」どうする!? 「正解」の曲がり方とは
「えっ…!」この道「ウインカー」出す? 出さない? 真っ直ぐも行ける「道なりカーブ」どうする!? 「正解」の曲がり方とは
くるまのニュース
ベン・キーティングがWEC復帰、小泉洋史は外れる。コルベットZ06 GT3.Rのラインアップ確定
ベン・キーティングがWEC復帰、小泉洋史は外れる。コルベットZ06 GT3.Rのラインアップ確定
AUTOSPORT web

みんなのコメント

12件
  • 3列シートの居住性で文句を言ったところで、
    そんなのこのサイズを見れば分かるじゃんw
    だったらセレナやエルグランドを買いなさいっての。

    結局そういうのがいるからキューブキュービックは
    終わっちゃったんだよ。
  • キューブに取って付けたように三列目追加して「はいコンパクトミニバン出来上がり!」ってやっつけ仕事のように感じたのを覚えてます。
    トヨタのパッソセッテも似たようなもので、大して売れなかった。でもシエンタは大ヒット。消費者は手抜感を感じて敬遠しちやったのでは?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

152.3181.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.047.0万円

中古車を検索
キューブキュービックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

152.3181.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.047.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村