■90年代の日本車がアメリカで人気 盗難時に解体される理由とは
少し古い日本車、とくに1990年代の国産スポーツカーが盗まれて解体され、部品としてアメリカの「JDM」専門店で販売されている例が相次いで見つかっています。狙われやすいクルマを持っている人は、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
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JDMとは「Japanese Domestic Market」の頭文字で、右ハンドル、オレンジ色のウィンカー(米国は赤が基本)やドアバイザー、車検ステッカーに至るまで、日本独特の装備や仕様を総称した言葉です。
また、古いクルマへの優遇措置である「25年ルール」で、アメリカでの販売や登録が解禁となった日本車のことを指す言葉でもあります。
盗難された車両は日本国内のヤードで解体され、パーツとしてコンテナに積まれて船で海外に送られます。クルマの形をしていると盗難車であることが発覚しやすくなり、関税の点でも不利になるたるため、部品という形にして送るのです。
フロント部分は「フロントクリップ」という形で販売されます。ラジエーターサポート、フロントフェンダー、フード、バンパー、スポイラー、ライトなどのパーツで構成される部分で、ハンドルやダッシュボードまでを含んで販売される車種もあります。
いずれにしても、じつに痛々しい姿で心が痛みます。
盗難の被害を受けたオーナーがJ-Spec(JDM専門店)のウェブサイトで変わり果てた愛車を見つけ、オーナーしか知らない特徴やエンジン番号などの照合によって、自分のクルマであるということを確認しています。
ブームの発端になったクルマは、1989年8月に発売された日産のR32型「スカイラインGT-R」で、こちらは2014年8月に25年ルールが解禁となりました。
2020年に入ってからは、R33型スカイラインGT-Rが解禁となり、ホンダのEK型「シビック」、DC2型「インテグラタイプR」、三菱「ランサーエボリューションIII」などの人気車種が、2020年のうちに解禁となる予定です。
とくに人気なのはスカイラインで、第二世代と呼ばれるR32型、R33型、R34型のいずれもアメリカで販売されたことがないことが理由です。
「グランツーリスモ」などのゲームや、映画「ワイルド・スピード」シリーズへの登場で人気は急拡大し、熱狂的なファンが非常に増えています。
なお、これらの25年ルールは車両本体に関わってくるものなので、解体したパーツにはほぼ影響が無いのです。
エンジンについては25年ルールとは別に排ガステスト(EPA)の規制がありますが米国で販売されているクルマに搭載されたエンジンは影響を受けません。
また、製造から21年経過しているエンジンはEPAテストが不要なので、エンジンを載せ替えることも合法となります(ほかに独自のルールを設けている州もあります)。
2016年にスタートし、これまで約1500台の盗難車が登録されてきた国内最大の自動車盗難情報サイト「自動車盗難情報局」を運営する撹上(かくあげ)氏によると、近年、これら1990年代の日本車が盗難される事例が急増しているそうです。
「スカイラインGT-RやスバルのGDB型『インプレッサ』、シビック 、インテグラタイプR、ホンダ『S2000』、トヨタの100系『チェイサー』、『マークII』などの盗難報告が増えています」とのこと。これらのクルマのオーナーは要注意です。
■1990年代の人気車オーナーが注意すべきことは
ここで注目したいのは、100系のチェイサーやマークIIなどのセダン系車種の盗難が増えていることです。
実際、アメリカでのチェイサーやマークIIの人気はいかほどでしょうか。
JDMを海外に輸出している業者「Pinku Style」(青森県三沢市)を経営するドナルド・ジャクソン氏に聞いてみました。ドナルド氏は、日本でプロのドリフトドライバーとしても活躍しています。
「2024年に解禁となるR34型スカイラインはすでに価格が高騰し、争奪戦が繰り広げられています。このほか、直近では2021年に25年ルールで解禁となる100系チェイサーです。
JZX100系チェイサーは、ドリフトだけでなくクルージングにも使用できる4ドア車であり、ターボ付きのパワフルなエンジンで、FRであることでも非常に人気がありますが、なんといってもスタイルがカッコいいですね。
なお、JZX90系になると人気順は、マークII、チェイサー、『クレスタ』(3台はそれぞれ兄弟車)になります。90系マークIIは、前後のライトの形がアグレッシブでカッコいいです」
R34型スカイラインはもちろんのこと、90系マークII、100系チェイサーをお持ちの人は、盗難に十分注意してください。
※ ※ ※
窃盗団はグーグルストリートビューなどを使って、「獲物」となるクルマとその場所を探しています。
また、ユーザーイベントや大黒PAなどで獲物を探すことも珍しくありません。このとき、ボンネットを開けたままでクルマから離れることはやめましょう。車体番号とナンバーで所有者の住所などがわかることから、車体番号を盗撮される恐れがあります。
なお、セキュリティ強化も重要ですが、ハンドルロックどころか、ハンドルを外していても5分で盗まれたクルマもあります。
プロの窃盗団は、狙った獲物はどんな手段を使ってでも盗んでいくので、セキュリティを強化する場合は、複数の装備をつけること、信頼できる専門店でセキュリティを組んでもらうことをお勧めします。
また、車体番号やエンジン番号、ミッション番号など、クルマに固有の番号は写真に撮っておくことをお勧めします。
解体されると多くの車種で車体番号がわからなくなるので、その場合はエンジン番号がもっとも有効になってきます。
盗難された後で調べることはとても大変で、ディーラーで教えてもらえる場合もありますが、警察を通さないと教えてもらえないメーカーもあります。
結局、エンジン番号を入手できず、泣き寝入りになるケースも実際には発生しています。
さらに、車両保険に入っておくこともおススメします。通販型の自動車保険は古いクルマ(車齢15年以上など保険会社によって多少異なる)での契約ができない場合もありますが、代理店型であればほぼ付けられるはずです。
盗難の場合、保険金が下りるまでにさまざまな調査、審査などがありますが、盗難されたことが確実になれば保険金は出ます。
アメリカをはじめ海外で人気の車種は日本での中古車価格も高騰します。そのようなクルマはとくに注意をしてください。
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みんなのコメント
○ 車台番号 です。
ここ間違えると素人丸出し記事ですよ。