王者Nボックス 今年度も独走
執筆:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
【画像】今売れている軽は?【2021年上半期の上位5台はこのクルマ】 全202枚
編集:Taro Ueno(上野太朗)
ホンダ「Nボックス」の勢いが止まらない。
2021年上半期(1月~6月)の販売台数は11万551台。文句なしに国産乗用車の人気ナンバー1である。
というと「トヨタ・ヤリスの同時期の販売台数は11万9112台だから、ヤリスのほうが売れているではないか」という人もいるかもしれない。
しかし、公表されているヤリスの販売台数はハッチバックの「ヤリス」とSUVの「ヤリス・クロス」、そしてプラットフォームからしてハッチバックとは別設計のスポーツモデルである「GRヤリス」まで3つのボディを合算したもの。
いわば「ヤリス・ファミリー」としての数字で、単独車種の販売を示すものではない(内訳はハッチバックのヤリスとSUVのヤリス・クロスがほぼ半分ずつ)。
つまり、いわゆる販売ランキングとして公表されているヤリスの販売台数は、ホンダの軽自動車に例えるならば「Nボックス」と「Nワゴン」に「Nワン」、そして「Nバン」まで合計した「Nシリーズ」の数字といっていいだろう。
そう考えると、単独で毎月約2万台も販売しているNボックスの勢いはとんでもないということが理解できる。
では、Nボックスに続く軽自動車販売ランキングはどうなっているのだろうか。
台数伸び悩むタント その一方で……
2021年上半期の上位5台をみてみよう。カッコ内は一般的な分類でのジャンルだ。
1位 ホンダNボックス:11万551台(スーパーハイトワゴン)
2位 スズキ・スペーシア:7万8698台(スーパーハイトワゴン)
3位 ダイハツ・タント:6万9262台(スーパーハイトワゴン)
4位 ダイハツ・ムーヴ:5万7761台(ハイトワゴン)
5位 スズキ・ハスラー:4万8221台(ハイトワゴン)
Nボックスがダントツだということが分かるのと同時に、売れ筋上位はスーパーハイトワゴンが独占していることも理解できる。
一方で興味深いのが、タントが3位の座に甘んじていることだ。
初代モデルが2003年にデビューしたタントは、スーパーハイトワゴンというジャンルを切り開いたパイオニアである。
Nボックスもスペーシアもそんなタントの成功を受けて登場したフォロワーであり、もしタントがなければ世に出てこなかっただろう。
そんな関係性であり、しかもこの3台のなかでタントがもっとも新しい(昨年フルモデルチェンジしたばかり)にもかかわらず、タントが3位の座にとどまっているのだから意外なものだ。
もっと売れてもおかしくはない。
それとは別に、ランキング上位5台を見て興味深いことがある。
スーパーハイトワゴンではライバルにリードを許しているダイハツながら、「ムーヴ」が4位とハイトワゴンではトップにつけているのだ。
ハイトワゴンはスーパーハイトワゴンに比べると背が低く、各社の定番モデルはホンダだとNワゴン、スズキは「ワゴンR」となる。
タントの販売が伸びないことのヒント。
そのカギを握っているのはムーヴの好調にあると考えられないだろうか。
「標準」ではない ムーヴ好調の立役者?
いったんタントから離れ、なぜムーヴが売れているかを考えてみよう。
そのヒントとなるのは、ムーヴの販売内訳だ。
実は、ムーヴの中で売れているのは標準タイプのムーヴではない。
ムーヴ標準車とはボディそのものが違う(けれど冒頭のヤリスのように車名に「ムーヴ」とつくのでムーヴに合算で販売台数にカウントされている)「ムーヴ・キャンバス」が主力となっているのである。
2021年上半期のムーヴ(全体)の販売台数は5万7761台だが、そのうち3万5799台と6割以上が「キャンバス」なのだから勢いがある。
ちなみに同時期のワゴンRの販売台数は3万236台、Nワゴンは2万7695台。その上をいくのは日産「デイズ」で3万1558台だが、いずれもムーヴ・キャンバスの台数よりは少ない。
ムーヴ・キャンバスの上をいくハイトワゴンは、SUVテイストの「ハスラー」のみである。
ムーヴ・キャンバスのデビューは2019年9月。丸みを帯びた親しみのあるデザインが特徴的で、そのデザインも売れている理由の1つだろう。
しかし、それだけではない。ムーヴ・キャンバス以外のハイトワゴンとは一線を画する特徴を持っているのだ。
それはドア。後席に、スライドドアを組み合わせているのだ。
この記事を書いている2021年8月20日時点では、ライバルにあたるNワゴンやワゴンRには、スライドドア車は存在しない。
そこに「選ばれる理由」があると考えられるのは、標準ムーヴとキャンバスの販売台数比率からも明らかだろう。
ムーヴ売れるとタントが売れない?
では、ムーヴ・キャンバスが売れると、なぜタントが売れなくなるのか?
ある販売店のスタッフに尋ねてみたところ、「タントなどスーパーハイトワゴンを選ぶ理由は、背の高さよりもスライドドアを魅力とするお客さまが多いと感じています」
「ムーヴ・キャンバスは電動スライドドアやオートエアコンを全車標準装備するなど内容を考えるとタントよりも割安感があり、スライドドアを希望するお客さまにキャンバスを提案すると『スライドドアが付いているならタントじゃなくてこっち(ムーヴ・キャンバス)でいい』とムーヴ・キャンバスを選ぶお客さまも多い」という。
その結果、ダイハツという枠のなかでムーヴ・キャンバスがタントの顧客を奪っているのだ。
いわゆるカニバリゼーションである。
もちろん、メーカーとしてはタントとムーヴ・キャンバスを足して「1+1=2」とまではいかなくても「1+1=1.5」くらいになればいいという考えもあるだろう。
そういう意味では、ダイハツがスライドドア車のツートップ体制を展開しているのも、カニバっているとはいえ失敗とはいえないかもしれない。
それに、ユーザー視点としては選択肢が多いのはいいことだ。
それにしても、日本のスライドドア人気には驚くばかりだ。そしてその人気が、軽自動車の勢力分布図に大きな影響を与えているのである。
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みんなのコメント
小さな子供がいるので、駐車場での昇降の際に隣の車にドアをぶつけなくて済むというのが一番理由です。
こういった理由でスライドドア車を選ばれる方も多いのではないでしょうか?
キャンバスで穴埋めしてると思えば問題ない
それよりワゴンRクラスの苦戦の方が業界的には問題でしょ