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モーターショーを飾った「狂気じみた」自動車会社 奇抜なコンセプトの数々 歴史アーカイブ

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モーターショーを飾った「狂気じみた」自動車会社 奇抜なコンセプトの数々 歴史アーカイブ

笑顔を誘う2社の作品 当時のニュース振り返り

例年この時期になると、自動車業界各社は大規模な国際モーターショーのためにジュネーブに集結する。しかし、残念なことに、昨年のイベントが最後の開催となった。

【画像】発想が自由過ぎる! 既成概念を超えたクルマたち【記事内で紹介したスバッロとリンスピードの作品を写真で見る】 全6枚

悲しいことに、スイスのデザイン会社(あるいは、マッドハウスと言うべきか?)、スバルロ(Sbarro)とリンスピード(Rinspeed)が発表するコンセプトカーを、わたし達は楽しむことができなくなった。

イタリア生まれのフランコ・スバッロ氏は、メカニックとしてキャリアをスタートさせ、1968年に自身の名を冠した会社を設立した。型にはまったやり方には一切興味がなかった。

AUTOCAR英国編集部が初めてスバッロに注目したのは1973年のジュネーブショーのことで、NSU、ポルシェフォルクスワーゲンの部品で作られた魅力的なスポーツクーペ『SV1』に目を引かれた。後部座席の後ろに並んだNSU Ro80由来の2基のロータリーエンジンが特徴的だった。

1978年には、「前衛的なクロスカントリー車」のボディにフィアットの四輪駆動システムとBMWのエンジンを組み合わせた。さらにその2年後には、この形式を極端にワイルドなものへと進化させ、Gクラスのシャシーに450 SEのV8エンジンを搭載し、第3の車軸を追加した。

この『ウィンド・ホーク(Wind Hawk)』は当然ながら中東向けのモデルであった。ちょうど35年後にメルセデス・ベンツが生産することになるAMG G 63 6×6と同じように。

1980年のショーでは、AUTOCARはフランク・リンダーネヒト氏のリンスピード社も記事に取り上げた。車椅子を高く持ち上げ、ルーフマウントのボックスに収納する機構を備えた、身体障害者向けの小型車を発表したのだ。

1982年のショーで最もクールだったのは、スバッロの『スーパートゥエルブ(Super Twelve)』、すなわち直列12気筒のホットハッチだった。エンジンはカワサキのオートバイ用6気筒エンジンを2つ連結したもので、最高出力240psを発生する。チューブラーシャシーとグラスファイバーボディで、車両重量800kgと、ランボルギーニカウンタックよりも優れたパワーウェイトレシオを実現していた。

それから2年後、フェラーリ308 GTBのシャシーとV8エンジンを搭載した進化版『スーパーエイト(Super Eight)』が作られた。このワンオフ車は2024年にオークションに出品されたが、16万ドル(約2400万円)の最低落札価格には届かなかった。

スバッロの次の目玉は、1985年の『チャレンジ(Challenge)』というモデルで、四輪駆動、ミドマウントのメルセデス製5.0L V8エンジン、格納式フロントガラス、そして……空気圧調整シートクッションを備えた、実に奇妙なプロポーションのスーパーカーであった。

10年後、AUTOCAR英国編集部は実際にナンバープレートを取得した6台のうちの1台を試乗した。見た目のインパクトは変わらなかったが、シリンダーが2本失われており、当然ながら「運転するとがっかりする。直線でも期待に応えてくれない」クルマだと評価されている。

1987年発表のオフロード車『モンスター(Monster)』は、さらに大きな6.9Lのメルセデス製V8エンジンを搭載し、なんとボーイング747の巨大な車輪を装着していた。転がり抵抗など知ったことではない。

リンスピードは1980年代、ポルシェなどをベースとする(比較的)真っ当なチューニングカーを製作していたが、1997年にはスバッロと同じ道を歩み始め、「違法薬物を摂取した1960年代のフロントエンジン・インディカー」のようなクルマを世に送り出した。

搭載されたエンジンはヒョンデ製のV8で、スーパーチャージャーにより410psという強大な出力を生み出す。この『モノ・エゴ(Mono Ego)』というモデルの車両重量は1トン以下であった。

1998年のショーでは、『ロケット(Rocket)』と名付けられた同様のコンセプトカーを製作した。またしても韓国製のV8エンジンを採用したが、スタイリングは戦前のアウトウニオンのグランプリレーサーに似ている。ただし、「出展ブースに近づきすぎないように。こうしたクルマは近づくとがっかりすることが多いから」と当時のAUTOCAR誌は忠告している。

型破りな存在であったスバッロとリンスピードだが、2000年代に入るとその自由奔放ぶりはさらにシフトアップした。特にリンスピードが製作した、クレーン付きのレトロなホットロッド・ピックアップトラック『タトゥー・ドットコム(Tatooo.com)』と、B級ハリウッドSF映画に出てきそうな奇妙な水中スクーター、『ブリージング・オブザベーション・バブル(Breathing Observation Bubble)』がその好例である。

2004年の『スプラッシュ(Splash)』を見てわかるように、リンスピードにとって水陸両用車が1つの主要テーマとなった。このずんぐりしたロードスターは、油圧機構によりクルマから水中翼船に変形し、水面から60cmの高さまで浮かび上がる。そして、燃料は圧縮天然ガスである。

AUTOCAR誌は2003年に「ブラック魔王(海外アニメ『チキチキマシン猛レース』の主人公)の新しいクルマ」を制作したスバッロについて、「フランコさんは相変わらず薬をやっているようだ」と冗談を書いた。2007年には、スバッロはシトロエンCクロッサーに電気駆動の第3車軸を追加した6輪ピックアップトラックを製作している。

2009年には、リンスピードが『iチェンジ(iChange)』を発表した。当時は新しいものに「i」をつけるのが流行っていた。このクルマは、乗車人数に応じて形状を変えることができるが、面白いことに「その形状変化能力を一般の人々から隠すために、高い台の上に載せて展示されていた」のだ。

その後、AUTOCAR英国編集部はこのダイナミックな2社の取材を諦めた。なぜなら、彼らの作品は公道とはまったく関係のないものだったからだ。しかし、彼らの存在はいつも笑顔を誘ってくれた。

1999年に、サンヨンのデザイナーであるケン・グリーンリー氏が語った言葉が最も的を射ているかもしれない。「わたしはここに並ぶクルマのどれも好きではないが、スバッロがいないジュネーブなどジュネーブではない。スバッロのブースは興味をそそり、考えさせられるものなので、10点満点中4点を与えたい」

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