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クルマは「見た目」良ければすべて良し! アゲたりサゲたりハの字にしたりと「ドレスアップ」のディープすぎる世界

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クルマは「見た目」良ければすべて良し! アゲたりサゲたりハの字にしたりと「ドレスアップ」のディープすぎる世界

クルマの見た目をかっこよくするカスタム

 よく「クルマをドレスアップする」というが、これはクルマをカスタムすることを意味する。カスタムに詳しくない人にとっては、「クルマを着飾るってどういうこと?」と思うだろうが、カーカスタムの業界では普通に使っている、いわば業界用語のひとつだ。

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 では、具体的にクルマをどうカスタムすることを“ドレスアップ”というのだろう。

大きく分けてジャンルは2つ

 まず、日本で人気があるクルマのカスタムには、大きく分けて「チューニング系」と「ドレスアップ系」と呼ばれる2つのジャンルがある。

 チューニング系とは、エンジンや足まわりなどに手を加え、サーキットなどでスピードを楽しんだりするために行うカスタムのことだ。また、空力効果が高いエアロパーツなどで外装を改造したり、グリップ力が高いタイヤ、軽量のホイールに変更するなど、様々な手法がある。

 一方、ドレスアップ系とは、主にクルマをかっこよくするために行うカスタムだ。やはり外装にエアロパーツを装着したり、タイヤやホイールを変更、内装をよりオシャレな仕様にするなど、こちらも様々なパーツや手法がある。

 両者の違いは、チューニング系がどちらかといえば「機能を重視する」のに対し、ドレスアップ系は比較的「見た目を重視する」傾向にあることだ。

 だからといって、チューング系のパーツやクルマがかっこ悪いわけではない。機能美を追求したものも多く、最も求められるのは「速くてかっこいい」クルマだ。また、一般公道を走るクルマの場合は、当然ながら違法にならない範囲内の改造であったり、車検にパスできることも必須となる。

 対するドレスアップ系も、走行性能や安全性に支障がないことが前提だから、ただ見た目がいいだけのパーツやカスタムではお話しにならない。違法改造や車検に関しても同様だ。

 そういった意味では、どちらも求める要素や目的こそ違えど、実用性などがうまくバランスしているパーツや手法が必要となってくる。

手法にはどんなものがあるか?

 具体的に、ドレスアップ系の手法にはどんなものがあるか。それこそ多種多様のものがあるが、最も手軽にできることのひとつがホイールの交換だ。

 ホイールは、クルマのスタイル、特に足元に大きく影響を与えるパーツだ。それだけに、ドレスアップ系のホイールには様々なデザインがある。例えば、5本スポークでスポーティさを演出したり、ディッシュタイプのようにディスク面を1枚の皿のような形状にすることでホイールを大きく見せるなど、ノーマルから変更するだけでイメージがガラリと変わるものも多い。

 また、ホイールの存在感やインパクトを増すために、外径を純正サイズより大きくするインチアップも人気だ。だが、ハンドルを切ったときにフロントフェンダーにタイヤが当たると走れないため、大径化にも限界があるので念のため。

 さらに、ホイール変更と合わせて車高を変える手法もあるが、セダンやミニバン、軽自動車など、一般的に人気があるのは下げること(ローダウンという)。そのために、サスペンションには、全長を変えることで車高を下げる「車高調」を使ったり、ユニット内の空気量で高さを調整する「エアサスペンション」、油圧制御の「ハイドロリクス」などが用いられる。 一方、ジムニーなどをベースとするオフロード系カスタムの場合は、悪路走破性の向上とワイルドな印象を持たせるため、逆に車高を上げる(リフトアップという)方が好まれる傾向だ。こちらの場合も、主にサスペンションを変更するのが主流で、全長を長くするタイプなどが用いられる。ただし、あまり上げすぎるとブレーキホースを延長するなど、より大がかりな加工が必要となる。

外装にはエアロパーツが一般的

 外装は、前述の通り、エアロパーツを装着することが人気だ。前後バンパーを変更したり、スポーティにする場合はリヤトランクやルーフ後端にウイングを付けることも多い。

 また、フェンダーを加工してワイドにしたり、オーバーフェンダーに交換する手法もある。

 ほかにも、塗装を好みの色に変更したり、ラッピングといってシートを貼るケースもある。特に、ラッピングはカーボン柄やラメ色など、塗装では手間がかかる特別なカラーも貼るだけでできる。また、飽きたら剥がして元に戻せるなどの理由で、最近人気が高い手法のひとつだ。

 ただし、ラッピングのシートは、接着材でボディに貼り付けるため、注意点もある。長い年月貼ったままだったり、野外の駐車場に駐めて紫外線の影響を受けてしまうと、接着材が劣化してしまうことがあるのだ。そうなると、シートが剥がれにくくなったり、最悪の場合は地の塗装まで剥がれてしまうケースもある。

小物からシートまで内装パーツも豊富

 内装のドレスアップも、多様なパーツやカスタムが存在する。LEDを使ったイルミネーション系の小物から、ハンドルやメーター、シフトノブなど、内装は運転する際に目に付く箇所が多いため、ドレスアップ用パーツも豊富だ。

 シートの変更も人気カスタムのひとつ。体をホールドしやすいバケットタイプに変えたり、純正のモケット地をレザーに張り替えて高級感を出すなど、好みのスタイルに応じた手法やパーツがある。

 特に、最近はシートカバーでも質感が高いものが多く、シートの上から被せるだけでグッとイメージが変わったり、上質感をアップさせる商品も多い。そのため、手軽で効果が高いカスタムとして、多くのユーザーから支持を得ている。

 ほかにも、車載できる空気清浄機や、スマホ用のホルダーやSUBソケットなどにも、おしゃれな製品が増えてきている。これらも、実用性を向上させると共に、気軽なドレスアップが楽しめるアイテムだといえるだろう。

スタイルも多種多様だ

 ドレスアップには、スタイルも数多い。例えば、スポーツ志向なら前述のチューニング系で使用されるパーツ、もしくはそれをイメージしたパーツを付けることで、愛車をよりスポーティなフォルムに変更する手法が多い。

 ベース車は、トヨタの86やスバル・BRZ、マツダのロードスターからスズキのスイフトスポーツなど、主に走りが楽しめるクルマが主流だ。

 1990年代から2000年前半に一斉を風靡し、今でも多くの支持を受けているのが「VIPカー」と呼ばれるジャンルだ。日産のシーマやトヨタのセルシオ、クラウンといった高級セダンをベースに、エアロやホイールの変更、車高を落とすスタイルが定番。また、内装には、“ふさ”と呼ばれる、お守りのような形状の組紐をフロントウインドウ内側などにぶら下げるドレスアップも人気だった。

 当時のVIPカーは、そのあまりの人気ぶりに、セダンだけでなく、ミニバンや軽自動車など、多くの車種に波及したほどだ。

「USDM」というスタイルは、かなりマニアックだが、基本的には国産車のパーツを、北米仕様に改造する手法。ホンダ・シビックのEK型(1995年発売)など、古いモデルなどをベースとすることが多く、前後バンパーやヘッドライト、テールランプ、フェンダーマーカーなどを北米仕様に変えることが一般的だ。

 アメリカのヒスパニック系や黒人が行っていたカスタム手法が元祖である、「ローライダー」というスタイルもかつて大きな人気を博した。ベース車は、基本的には1970年代頃のアメ車が主流だが、中には(北米で販売されていた)国産車でカスタムするクルマも存在した。

 主なカスタムは、ボディカラーをラメ入りやキャンディ系の色に変更したり、ピンストライプを入れたりすること。また、油圧で車高を上下させるハイドロリクスを装備し、ローダウンした状態から一気に前輪の車高だけを上げて車体を跳ねさせる、「ホッピング」という技も人気だった。

 アメリカから輸入されたカスタムには、ほかにも「ホットロッド」や「キャルルック」といった手法もある。ホットロッドは、元々ドラッグレースなどに出場するレース用マシンをイメージしたもの。エンジンチューニングなどを行うほか、フレイムスという炎のような塗装をするクルマも多い。

 また、キャルルックは、1960年代~1970年代にアメリカ西海岸で人気だったカスタム。フォルクスワーゲンのタイプ1(ビートル)などをベースに、車高をローダウンしてボディをパステル系の派手なカラーにペイント。また、サイドウォールに白いラインが入ったホワイトリボンタイヤなども人気アイテムだ。

 ほかにも、例えばミニバンなどの荷室に、大型のスピーカーを積んでリアゲートを開いて大音響を流す「音圧系」など、カスタムスタイルには、まだまだ多くの種類がある。

 最近では、それらが複数融合したスタイルも存在するため、一概にこのクルマがのこのスタイルだとは言い切れない車両もあるほど、バリエーションは豊富になっている。

ディーラーで買えるドレスアップ車

 ドレスアップしたクルマは、カーディーラーでも購入することが可能だ。例えば、トヨタのモデリスタ、日産のオーテックやニスモ、ホンダのモデューロ、スバルのSTIなど、メーカー直系のカスタムブランドが作ったコンプリートカーなどがそれにあたる。

 それらは、主にエアロパーツや外装色、シートなどの内装パーツなどが専用になっていて、ベース車とひと味違う雰囲気が楽しめるのが魅力だ。また、ドレスアップではないが、ブランドや車種によっては、エンジンやサスペンション、車体などにチューニングを施し、走りが楽しめるモデルもある。

 いずれも、保証がちゃんと付いていて、車検や点検などもディーラーで受けられるのも特徴だ。近年、多くのユーザーが、こういったワークスカスタムのドレスアップ車を選ぶ背景には、そういった高い安心感もあるのだ。

 一言にクルマのドレスアップといっても、その種類やスタイル、手法は様々であることがお分かり頂けただろうか。

 クルマの場合は、服のようにTPOに応じて選ぶことはできないが、自分の好みや休日のライフスタイルなどに合わせ、愛車をもっと豪華にしたり、好みの仕様に変えるだけで、さらに愛車に愛着が湧くだろう(あくまでも法規を守る範囲での話だが)。

「ノーマルで乗るのが一番」という人もいるだろうが、試しに、DIYで内装を少しだけイジってみるだけでも、その楽しさは分かる。より充実したカーライフを送るための手段のひとつが、ドレスアップなのだ。

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