ハイブリッドとは違う技術革新を狙い日産だけがEV戦略をとった
日本でEV(電気自動車)と言えば、日産。そんなイメージがすっかり定着している。ほかの日系自動車メーカーはいまだに大量生産型のEVを発売していない。
ハイブリッド車はガソリン代が安いからお得という大いなる勘違い
たとえばトヨタは数年前、iQをベースとしたeQの量産化を凍結してからは、EV専用車ではなくEVモードが充実したプラグインハイブリッド車へ開発戦略をシフトした。
ホンダはフィットEVやクラリティーのEVバージョンがあるが、これらは米カリフォルニア州のZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)への対応策に過ぎず、日産リーフのような大量生産を念頭に置いていない。
リーフと同じ2010年にi-MiEVの量産を始めた三菱は、日産との経営統合で電動化戦略は日産主導型へとシフトしており、三菱自工によるモーターやリチウムイオン二次電池の独自開発は事実上、凍結されている状況だ。
また2017年には、トヨタが主導してマツダ、スズキ、スバルなどトヨタと資本提携や技術提携をしている各社が共同でEVを開発する企業「EV C.A.スピリット」が設立されたが、量産が開始されるのは2020年代に入ってからになるだろう。このように、日系自動車メーカー各社でのEVシフトはまだまだ先になりそうだ。
総額5000億円に上る初期投資の回収は必須
では、なぜ日産はほかの日系メーカーに先んじて、EV開発を推し進めているのか? 最大の理由は、2000年代中盤からの経営方針にある。
当時、日産は次世代車開発の中長期ビジョンを作成する際、トヨタのハイブリッド車とは一線を介するような技術革新を狙っていた。さまざまな選択肢のなかから浮上したのが、EVだった。それまでも日産は、実験車両やコンセプトモデルとして、小型EVのハイパーミニを量産化した経験があったが、それらはあくまでも事業の主流ではなく、テストマーケティングの領域にとどまっていた。
そうした中で、日産の経営陣が財界人や政治家との日頃のつながりの中で、EVに対する大規模な投資を決めた。こうした舞台裏での交渉について関わった重要な人物らから筆者は直接、交渉の模様について話を聞いている。結果的に、日産が下したEV関連への投資金額は、一説には5000億円規模と言われている。そして、リーフを中核として商用車やクーペなどEVフルラインアップ構想の実現に向けた開発がスタートした。
ところが、日産の目論見に反して、リーフを起点とする世界市場でのEVシフトは起こらなかった。充電インフラ、航続距離、さらには再販価格などで課題となり、EVが一気に普及するまでには至っていない。そのため、当初予定されていたEVフルラインアップ化計画は縮小され、リーフとe-NV200、さらに新型リーフのみが量産されることになった。
一方で、2016年から独フォルクスワーゲングループが主導する世界的なEVシフトが始まっている。その背景には、中国が2019年から施行する新エネルギー車政策がある。日産としては、こうしたEVシフトの動きに、ほかの日系メーカーに先んじて新型EVの量産化を始める予定だ。2010年に仕掛けたEV戦略がいま、花開こうとしている。
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