90年代のレトロ旋風は一体何だったのか?
1990年代に軽自動車を中心にして巻き起こったのが、レトロ軽とも呼ばれた「クラシック顔」ブーム。記憶に残っている方も多いと思うが、クラシックっぽい雰囲気を持ったグレードが続々と追加された。クラシック顔と「顔」が付くのはフロントマスクを大きく変更していて、ほかの部分はそれほど手が入れられていなかったから。販売価格が高くては成り立たない軽だけに、あまり多くの部分を変更できなかったのだ。
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もちろんクラシックと言っても、具体的なモチーフのあるレプリカなどではなく、大ぶりのメッキグリルと丸目のライト。クルマによっては別体感のあるバンパーにするなど、架空のイメージだった。つまり「クラシック風」というわけだ。
その火付け役となったのがスバルで、多くのモデルをリリース。意外なモデルもあったりするので、今回改めて振り返ってみよう。
レトロ顔の先駆者「サンバーディアス クラシック」
スバルのみならず、クラシック軽全体の先駆車となったのが、サンバーディアス クラシックだ。セダンなどではなく、いわゆる箱ベースなのは注目だろう。もともと九州の長崎にあるハウステンボスで使用するために作られた特装車で、1993年の東京モーターショーに出品したところ大きな反響があったことから市販化に至った。
さらに後継車として2代目も2000年に登場していて、こちらは「ディアスワゴン クラシック」と呼ばれ、ベースもスバル製の後期となる。ちなみにトラックにもクラシックは設定され、初代、2代目ともにラインアップされていた。
クラシック顔ブーム火付け役「ヴィヴィオ ビストロ」
上記のサンバーはジャンル的にユーザーが限られていたのは事実。話題にはなったけど、花屋さんなど、こだわる業種に売れたものの、販売的にはそこそこだった。ただ、それでもビジネスになるのが、あくまでも簡易的なクラシック顔のいいところだ。
ブームの火付け役、その本丸となるのが、ヴィヴィオに設定されたビストロ(1995年)。ヴィヴィオといえば、当時のスバルを代表する軽セダン(ハッチバック)だけに、大ヒットに。なんと1年弱で5万台を超えたというから凄い。これにより、他メーカーからも続々とクラシック顔が登場することになる。
前後にメッキのバーパンパーを装着したり、テールランプもメッキリング付きなど、かなり手が加えられていた。
派生続々「ヴィヴィオ ビストロ シフォン/ビストロ スポーツ」
ビストロのヒットに気を良くして、派生型が誕生している。1996年に追加されたのが「シフォン」だ。グリルを2分割タイプにして差別化。内装もスエードになっていた。また同時期に、ビストロには革シートが用意され、豪華競争も始まった。車名はなんとなくオシャレという感じなのもクラシック系の特徴だ。
さらに1997年の追加グレードではあるのだが、その内容が凄いので紹介しておこう。「スポーツ」と付くだけに、当時最強だったスーパーチャージャー付き64psエンジンを搭載。CVTだけでなく、5速MTも用意されていた。しかも、ホイールはゴールドのBBSという贅沢な内容だった。こうなると、クラシックの意味がブレまくり。
トールスタイルでもレトロ顔は継続「プレオ ネスタ」
ヴィヴィオの後継車がプレオ。トールスタイルへと変更になったが、1999年にネスタというクラシックグレードが登場した。車高が高いこともあって、少々間延びした印象だったのと、ブームが去りつつあったのも関係したか、肝心のクラシック部分がかなり薄くなってしまった。ネスタのなかでもエンジン違いや装備違いで、細分化されていったのも注目である。
クラシック顔史上最大サイズ「インプレッサ カサブランカ」
最後は軽の枠を飛び出したクラシック顔を紹介しよう。ブームが拡大するにつれて、他社も含め軽自動車以外にもクラシック顔を設定する流れができたのは当然のこと。日産のマーチにはボレロ、トヨタのスターレットにはカラットが登場した。
スバルではさらに少々違う路線というか、クラシック史上最大サイズ&車格となるインプレッサに設定したのは、当時かなり驚かされた。それがカサブランカで、1997年の東京モーターショーに出品されて、翌年にそのまま市販化された。プレオとは真反対に、こちらは上下の幅が非常に狭く、ボンネットが長くてその先だけが、狭小的にクラシックな感じになっている印象で、正直無理くり感はあった。それでも、市販化してくれただけでも大歓迎ではあった。
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みんなのコメント
市販すればいいのに、と思っていたら、本当に市販されて驚いた。
ヴィヴィオビストロは秀逸でしたし、後追いの他メーカーの追随を許さなかった。
スバルのセンスはぴか一です