この記事をまとめると
■電動化による重量増加はライトウェイトスポーツカーにはNG!?
日本には主要8メーカーもあるのに輸入車の勢いヤバくない? 輸入車へのハードルが「BEV」で崩壊する可能性
■ランクルが電動化すると自身のコンセプトに反する?
■電動化=無音は五感を刺激しなくなる!?
ライトウエイトスポーツカーの電動化はデメリット多い!?
地球規模で問題視されている「環境悪化」を解決すべく、各国のクルマメーカーと世界中のクルマファンが導き出した答えのひとつがBEVです。電気を使ってモーターを駆動して走るBEVは、走行中にCO2を一切排出さず、そもそも枯渇が心配される化石燃料を使用しないことも併せて、極めて地球環境に配慮した乗り物だからです。
また、そうした環境性のメリットばかりでなく、BEVは “運転する歓び”もちゃんと持ち合わせているのです。アクセルを踏み込んだ瞬間から強力なトルクが立ち上がるというモーターならではの特性のおかげで、加速がすこぶるパワフルかつスムース! しかも、バッテリーを車体中央床下に搭載するBEVは重心が低くなるため、コーナーリング性能も素晴らしい!
……う~む。地球環境を考えれば「BEVは絶対有り!」だとは思うんですが、もうひとつのBEVの魅力である「運転する歓び」という点においては素直に賛成できないのは、筆者だけでなく読者のなかにもたくさんいらっしゃるんじゃないでしょうか。
というのも、運転する歓び=スポーツカーとしての評価って加速性能とかコーナーリングの速さとかって数値で表せることばかりではなく、ドライバーが運転しているときに感じる心地良さとかクルマとの一体感とか、いわゆる概念的かつ心理的な要素も重要だと思うからです。
この概念的・心理的なクルマの評価って、多くのモータージャーナリストや専門誌が「味」あるいは「フィーリング」という表現で40年以上も喧々諤々と語ってきましたし、アマチュアドライバーだってドライブ中に「うん、キビキビと走って気持ちいいね」とか「あらっ、エンジンの音が素敵」とかって言葉にしますもんね。つまり、それくらい人は運転している最中には「感覚」を大事にしているもんですし、その感覚はクルマの評価にとって大切なんです。
そこでマツダ・ロードスターに注目。1989年にデビューしたマツダが製造・販売するオープンタイプのライトウエイトスポーツカーですが、発売初年時はたった半年で国内で1万台近くも売れ、翌年には全世界で9万台以上も売り上げた大ヒットカーでもあります。
その人気の理由は、ロードスターがドライバーにもたらすドライビングプレジャーにほかなりません。その多大なドライビングプレジャーを生み出すのが、ロードスターの車重の軽さ! なにしろ初代モデルは3970×1675×1235mmというサイズ、940kg~という車両重量なんですから、コンパクトな4気筒エンジンが発揮する必要にして十分なパワー(130馬力)でも楽しく走ることができたんです。
現行モデルの4代目になってもサイズはあまり拡大せず、車両重量も1000kg前後をキープしています。だからこそ、ロードスターはキビキビと走り、その気持ちいいドライブフィールが操る人の感性を刺激。その刺激を全世界のスポーツカーファンが共鳴したからこそ、発売直後から爆発的な売り上げを果たしたのです。
ところが、脱酸素に力を入れているマツダは、2025年にデビューが予定されている新型ロードスターも電動化するようです。すると、ロードスターの車体には思いバッテリーやモーターが搭載され、車重は一気に増大し、重くなったぶんを補強するためにボディは肥大し、さらに重くなってしまうことが懸念されます。
ということは、まるで俊敏な野生動物が大地を駆けるが如く、あるいは鳥が自由に空を飛ぶようなロードスターのドライブフィールが、電動化によってあたかも家畜動物のようなダルくて鈍重な走りに変わってしまうかもしれません(泣)。重くてダルくて小気味良くない電動化ロードスターなんて、乗る人の五感を刺激しなくなりそうで心配です。
同様なことがトヨタ86&スバルBRZにも起こり得ます。トヨタとスバルが共同開発したこの2台のスポーツカーは、低重心の水平対向4気筒エンジンをフロントに低く搭載したことによるダイナミックかつスムースなコーナーリングが魅力。ところが、デビュー当初からパワー不足が問われており、その改善策としてエンジンを2.4リットルに拡大して236馬力までパワーアップを敢行したのです。
ライバル車が軒並み300馬力をオーバーしている昨今、86もBRZもさらなるパワーアップをしようとしても、エンジンルームのスペースに余裕がないためにターボを装着することもままならず、またパッケージングの都合上、直4エンジンやV6エンジンに載せ変えることも難しいことが判明……。そうなると、電動化=モーターのパワーに頼るしかない!? とトヨタとスバルは判断(したとかしないとか)。
リヤタイヤの軸上にインバーター直結のモーターを、リチウムイオンバッテリーを車体中央の最下部に設置すれば電動化は可能らしく、そうしたパッケージングは低重心を売りにしていた86&BRZの走りのコンセプトを損なうことはないのですが……(重いバッテリーをボディ中央に低く搭載しているので)。いかんせん、バッテリーとモーターのせいで大幅な重量アップを避けることはできません。
アメリカの機関のテスト結果によると、エンジン車が電動化することで生じる車両重量は、平均して2~3割になるとか。ここ5年の電動化車種の重量アップは、平均500kgに及ぶとか。ということは、直4エンジンを積んだ約1300kgの86&BRZが仮に電動化したとすると、車両重量は一気に2トン近くになってしまうことも予想されます。
う~む、こんなに重くなってしまっては、せっかく低重心であっても気持ちいい走りを感じることはできそうにありません。
まだまだある!? 断じてBEV化反対のクルマ
さて、「電動化による車両重量の増大」を理由にマツダ・ロードスターとトヨタ86、スバルBRZなどのライトウエイトスポーツカーは“断じてBEVになって欲しくない”と訴求してみました。じつはさらに、「このクルマをBEVにしちゃうのはマズいだろ!?」という1台が有ります。
それはズバリ、1951年からトヨタが製造・販売しているランドクルーザーです。通称“ランクル”と呼ばれる大型クロスカントリー車は、当初トヨタが警察予備隊(現・陸上自衛隊)への納入を狙い、ジープBJ型として開発されました。
トラックのシャシーを流用し、梯子型ラダーフレームを補強・改良したうえで、さらに二~四駆の切り替えが可能なトランスファーを採用。エンジンはトラックや大型バスに用いられた3.4リットルの直列6気筒OHVを搭載した、まさしく実用本位・質実剛健なクルマでした。
その後、マイナーチェンジ&フルモデルチェンジを何度も繰り返しつつ、多くの人が「ジープ!」と勘違い……じゃなかったイメージしているスタイリングとタフでヘビーデューティな走行性能により、20系から40系が1980年まで人気を博します。
で、多くの人がランクルのイメージを抱いている60系がデビュー。それまでの機能優先からラグジュアリー路線を加味した60系は、その後どんどん豪華かつ大型化していきます。が、エクステリアとインテリアがどんなに豪華絢爛になってもその機能性と走破性は衰えず、日本はもちろんアフリカや中近東の人達がベタ惚れ! 生産が間に合わず、盗難→転売がもっとも頻発したクルマとしても有名になっています。
また、1984年にデビューした、スクエアなボディを継承しながら進化を続ける70系も、ランクルファミリーのなかでは見逃せないモデルです。2023年の冬に約8年ぶりに日本で発売予定の新型は3ナンバーになり、ちょっぴりラグジュアリーさが加わって、前席と後席の居住性がいくらか快適になったとか。
えっ? 「クロカン四駆が電動化したら、電気モーターのおかげで四輪へのパワー配分がリニアになるし、そのうえゼロ発進から大トルクが得られるから、悪路走破性がグンとアップするじゃないか!」って!? なになに? 「それに峠道をカッ飛ぶわけじゃないから、車両重量が増大したってそんなにデメリットじゃないだろ!」って!? はいはい、おっしゃるとおりです。
ランクルのBEV化反対の理由は、まさにその電動化によって生じる悪路走破性の向上にあるんです。走破性がアップしたことで、ランクルがさらに過酷な環境で使用されたり、もっと未知なるフィールドへと走り込んで行ったりした際、バッテリーが切れてしまったらもうおしまいですから! ガソリン&ディーゼルのエンジン車だったら予備の燃料を入れれば走って帰って来ることができますが、BEVには“予備の電気”なんてないですから、電池が切れたらそこで立ち往生するしか有りません(そもそも市街地や郊外でさえも、充電スタンドなどのインフラが整備されきれていないというのが、BEVが抱える大問題です)。
ランクルを売っているトヨタ自身が「どこへでも行き、生きて帰る」というコンセプトを謳っているくらいですから、「もしかしたら生きて帰ってこれない!?」のではランクルのレゾンデートル(=存在理由)が成り立ちません。
……かように、BEV化による重量増加によってライトウエイトスポーツカーの存在理由が、BEV化による走破性向上によってクロカン四駆の存在理由が否定されてしまうのです。
そのほかにも、BEV化による静寂性の向上も、あるジャンルのエンジン車の存在理由を否定してしまう例があります。それはエンジンサウンドが魅力的なクルマのこと! たとえば官能的とさえ表現されるエンジン音を奏でるフェラーリや、あるいは硬派かつ躍動的なポルシェです。この象徴的なスーパーカーブランドでさえもV12エンジンやフラット6を捨て、電気モーターに切り替えようとしているのです。
ほぼ無音の電気モーターの走りは、それはそれは静かでリラックスできるかもしれませんが、聴力から得るスポーツドライビングの魅力は失われてしまいました。心をワクワクドキドキウキウキさせるサウンドも、スポーツカーの醍醐味のひとつだったんじゃありませんでしたっけ!?
BEVの作り手側もそのへんのトコロは気にしているようで、その証拠にポルシェはBEVのタイカンに「ポルシェ エレクトリック スポーツ サウンド」というオプション機能を設定していて、加速とともにフォォォ~~ンというエモーショナルなサウンドを発生。
ダッジに至っては、2024年デビュー予定のチャージャーのBEVを示唆したコンセプトモデルで、126dB(飛行機のエンジン音が120dBですからかなりの爆音)の“架空エキゾーストノート”を搭載してみたり……。ドライバーのみならず街行く人々の感性を刺激しようと試みています。
……というわけで、「ライトウエイトスポーツカーでピュアなスポーツドライビングが味わえない」「フィールドから帰ってこれない」「五感を刺激するサウンドがない」という“3ない”で、筆者はクルマのBEV化を杞憂するのです。昭和生まれのオヤジの取り越し苦労だといいのですが……。
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