現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > かつて人気の「ステーションワゴン」なぜ不人気に? 一時は「大ブーム」も今では“絶滅危惧種”に… 今後「人気再燃」の可能性はあるのか

ここから本文です

かつて人気の「ステーションワゴン」なぜ不人気に? 一時は「大ブーム」も今では“絶滅危惧種”に… 今後「人気再燃」の可能性はあるのか

掲載 更新 52
かつて人気の「ステーションワゴン」なぜ不人気に? 一時は「大ブーム」も今では“絶滅危惧種”に… 今後「人気再燃」の可能性はあるのか

■かつて人気だった「ステーションワゴン」 なぜ“絶滅危惧種”に?

 現在、多くのメーカーでSUVが主流になりつつある昨今、「ステーションワゴン」の存在感はすっかり薄れてしまっています。
 
 なぜステーションワゴンは廃れてしまったのでしょうか。また今後、ステーションワゴン人気が再燃することはあるのでしょうか。

いま復活すれば人気出る!? カッコ良すぎるステーションワゴン5選

 もう30年も前の話となりますが、日本でステーションワゴンのブームが起きたことがありました。きっかけとなったのは1989年のスバル「レガシィツーリングワゴン」の登場。

 それ以前の日本にもステーションワゴンが存在しなかったわけではありませんが、「バンの派生モデル」といったイメージが強く、一般的ではなかったのです。

 しかし、バン(商用モデル)をラインナップしなかった初代レガシィツーリングワゴンのデビューは、世間のツーリングワゴンに対するイメージを刷新。

 水平対向ターボエンジンに4WDを組み合わせた「ツーリングワゴンGT」が、“高性能ワゴン”という新たな路線を切り開きました。

 当時ブームだったスキーを楽しむ人々を中心に広まって「人生を楽しむ人のクルマ」という市場を開拓できたことも、ヒットの理由と言えます。

 そんな初代レガシィツーリングワゴンのブレイクをきっかけに、各社が続々ステーションワゴン市場へ本格参入。

 今では信じられませんが、トヨタ「カルディナ」や日産「ステージア」など、セダン派生ではなくステーションワゴン専用車種が多く登場したことも、当時のステーションワゴン市場がどれだけ盛り上がっていたかを端的に表すトピックと言えます。

 絶頂期は、ステーションワゴンのシェアが乗用車(登録車)全体の3割近くまで迫ったのだから驚くしかありません。

 しかし、今はどうでしょう。

 新車で買える国産ステーションワゴンはトヨタ「カローラ ツーリング」と「カローラ フィールダー」、マツダ「MAZDA6」(2024年4月中旬に生産終了予定)、そしてスバル「レヴォーグ」程度。

 あとは、メーカーは「SUV」としているスバル「レガシィ アウトバック」「レヴォーグ レイバック」も分類方法によってはステーションワゴンの仲間といってもいいかもしれません。

 そんなレガシィ アウトバックなどを含めて数えても、わずか6モデルしかないのですから、国産ステーションワゴンはもはや“絶滅”を危惧しなければならないほどのジャンルと言って差し支えないでしょう。

 なぜ、ステーションワゴンはここまで凋落したのでしょうか。

 それはステーションワゴンならではのメリットを考えるとヒントになるかもしれません。

■ステーションワゴンのメリットとは? 今後の復活はありえるのか

 ステーションワゴンのメリットとは、荷物をたくさん積めるパッケージングながら、セダン感覚の走りや乗り心地を実現していることにほかなりません。

 ステーションワゴンが大ブレイクした当時でも、荷物をたくさん積めるタイプのクルマは存在しました。「ミニバン」や「ワンボックス」、そしてSUVの先輩である「ヨンク」です。

 しかし当時のそれらは、重心が高いこともあってセダンに匹敵する走行性能や乗り心地は実現できていませんでした。

 また長時間の運転や移動はセダンに比べて、疲労度が大きく違ったのも事実です。積載性の高さと走り&快適性を両立するカテゴリーは、唯一ステーションワゴンだけだったのです。

 しかし、昨今は事情が違います。

 技術の進歩もあって、ホンダ「オデッセイ」やマツダ「プレマシー」のように(3列目を畳んで)、広い荷室とセダンに近い走りと快適性を両立するミニバンが現れました。

 さらに、もっと重心の高いSUVでも、技術の進化とクルマ作りのノウハウの向上によりセダンに匹敵する水準の走りと快適性を両立できるようになったのです。

 長時間運転し続けても、セダンに対して明確に疲れるようなことはありません。

 いうまでもありませんが、ある程度車体の大きなSUVはステーションワゴンと同様の広いラゲッジスペースを確保しています。そうなるとますます「ステーションワゴンでなければならない理由」が薄まってくるのです。

 SUVとステーションワゴンの違いは車高の高さといえますが、昨今は一般的な消費者からすればあえて「低いタイプ」を選ぶ理由が見当たらなくなったといってもいいでしょう。

 逆に、乗り降りのしやすさや見晴らしの良さ、そして高い最低地上高より段差を気にしなくていいことなど、ステーションワゴンにはないSUVのメリットも多く存在。そこに魅力が感じる人が増えてきたのです。

 それが、ステーションワゴンではなくSUVがここまで支持されるようになった理由と考えられます。

 現在、新車販売におけるボディタイプ別シェアでみるとSUVは「もっとも支持されているボディ形状」となりました。

 SUVとステーションワゴンを分けるポイントは、実質的に背の高さとタイヤの大きさ程度になったといえます。

 すなわち考え方を変えると、今のSUVブームは「形を変えたステーションワゴンブームの復活」といってもいいのではないでしょうか。

 いっぽうで、従来のような背が低くコンベンショナルなステーションワゴンの復権はあるのか。

 筆者(工藤貴宏)は「ない」と考えます。

 一般ユーザーの視点でいえば、ステーションワゴンのメリットは「背の高いクルマに対応していない機械式立体駐車場を利用できる」程度しかありません。

 もちろん、それを求める人や、走行感覚を突き詰めてステーションワゴンを選ぶ人もいるでしょう。

 実際にはそんな人は多くなく、大多数の人はいちどSUVの便利さを知ってしまうと、再びステーションワゴンに戻ることは考えにくいのではないでしょうか。

 その反面、メルセデス・ベンツ、BMW、そしてアウディといったドイツメーカーをはじめ、欧州にはステーションワゴンを複数車種用意するブランドも少なくありません。

 しかし、それらのブランドにおいてもかつてに比べると“SUV化”が進んでいるのが現実。

「輸入車のステーションワゴンは日本で多く見かける」と感じている人もいるかもしれませんが、それは国産車でワゴンを選べなくなった人や(SUVを選択せず)こだわりを貫く人が愛用しているケースが多いためで、新車市場における絶対数としてはそう多くはないのです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(後編) ジャンクヤード探訪記
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(後編) ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
福住仁嶺がシーズン全勝でチャンピオン獲得。最終戦は牧野任祐が一矢報いるも福住が逆転【インタープロト最終戦】
福住仁嶺がシーズン全勝でチャンピオン獲得。最終戦は牧野任祐が一矢報いるも福住が逆転【インタープロト最終戦】
AUTOSPORT web
オートサロンで展示決定!ミズノの新作ドライビングシューズ「BARECLUTCH L」天然皮革を採用し運転の快適さと日常使いをさらに進化させた1足
オートサロンで展示決定!ミズノの新作ドライビングシューズ「BARECLUTCH L」天然皮革を採用し運転の快適さと日常使いをさらに進化させた1足
くるまのニュース
ホンダから“大型ストリートファイター”新型「CB1000ホーネット」シリーズ登場! 市街地もワインディングも楽しめるリッターモデルです
ホンダから“大型ストリートファイター”新型「CB1000ホーネット」シリーズ登場! 市街地もワインディングも楽しめるリッターモデルです
VAGUE
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(前編) ジャンクヤード探訪記
レア車も発掘 「風の丘」に残された廃車 40選(前編) ジャンクヤード探訪記
AUTOCAR JAPAN
ウインタースポーツもランボルギーニで! 200台限定の業界初ハイテク素材を使用した「スノーボード」と「バインディング」でゲレンデのヒーローに
ウインタースポーツもランボルギーニで! 200台限定の業界初ハイテク素材を使用した「スノーボード」と「バインディング」でゲレンデのヒーローに
Auto Messe Web
角田裕毅のファンミーティングが相模原で開催。1100人のファン集まる……一部は12月25日からDAZNで配信予定
角田裕毅のファンミーティングが相模原で開催。1100人のファン集まる……一部は12月25日からDAZNで配信予定
motorsport.com 日本版
ホンダ、自己株式の取得上限を1兆1000億円に引き上げ 株価低迷に対応 自己資本を適正化
ホンダ、自己株式の取得上限を1兆1000億円に引き上げ 株価低迷に対応 自己資本を適正化
日刊自動車新聞
斎藤愛未が自身初タイトル獲得。二冠の夫、坪井翔と世界初の同シーズン夫婦王者に輝く【KYOJO CUP最終戦】
斎藤愛未が自身初タイトル獲得。二冠の夫、坪井翔と世界初の同シーズン夫婦王者に輝く【KYOJO CUP最終戦】
AUTOSPORT web
「ミツビシ愛」は冷めてない! ランサー/ギャランの英国上陸から半世紀(1) 品質と技術の高評価
「ミツビシ愛」は冷めてない! ランサー/ギャランの英国上陸から半世紀(1) 品質と技術の高評価
AUTOCAR JAPAN
スタリオンにショーグン ランエボまで 50周年イベントに集結 ランサー/ギャランの英国上陸から半世紀(2)
スタリオンにショーグン ランエボまで 50周年イベントに集結 ランサー/ギャランの英国上陸から半世紀(2)
AUTOCAR JAPAN
シボレーのミッドシップスポーツカー「コルベット」&「コルベット Z06」が新たな次元に! 気になるアップデートの中身とは?
シボレーのミッドシップスポーツカー「コルベット」&「コルベット Z06」が新たな次元に! 気になるアップデートの中身とは?
VAGUE
【米国】マツダの「小さな高級スポーツカー」コンセプトが凄かった! 全長4m×6速MTに「クラス超え豪華内装」採用! 若者に提案した「MX-Micro Sport」とは何だったのか
【米国】マツダの「小さな高級スポーツカー」コンセプトが凄かった! 全長4m×6速MTに「クラス超え豪華内装」採用! 若者に提案した「MX-Micro Sport」とは何だったのか
くるまのニュース
ダムドのパーツで愛車が大変身! お洒落すぎるジムニー、N-VAN、エブリイ、ハスラー、タフト9選…DAMD PARTY 2024
ダムドのパーツで愛車が大変身! お洒落すぎるジムニー、N-VAN、エブリイ、ハスラー、タフト9選…DAMD PARTY 2024
レスポンス
ド派手な飾りも箱絵もないけど「デコトラ」! 令和のトラック野郎たちは「造りボディ」で楽しんでいた!!
ド派手な飾りも箱絵もないけど「デコトラ」! 令和のトラック野郎たちは「造りボディ」で楽しんでいた!!
WEB CARTOP
『ハイエース』にワンコの専用席!? ペットとドライブできる「DOGコンソール」がカラバリ拡充
『ハイエース』にワンコの専用席!? ペットとドライブできる「DOGコンソール」がカラバリ拡充
レスポンス
もっともBMWらしい1台を買うならラストチャンス──M8 コンペティション試乗記
もっともBMWらしい1台を買うならラストチャンス──M8 コンペティション試乗記
GQ JAPAN
蓋を開けたらポイントも計画も開発も無い……アウディF1新主任が見た“凍結”チーム。2026年全集中で灯台下暗し状態に
蓋を開けたらポイントも計画も開発も無い……アウディF1新主任が見た“凍結”チーム。2026年全集中で灯台下暗し状態に
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

52件
  • hide_redcomet
    ミニバンとSUVと軽四しか売れないだけ。
    ステーションワゴンだけの人気が無くなった訳じゃない。
  • kot********
    SUVって定着してるん?
    記事ではメリット多いみたいに書いてあったけど
    図体のわりに車内は狭く
    タイヤがデカいぶん取り回しは悪くなるし
    当然走行安定性は低くなるし、
    なんちゃって四駆は、悪路に強いわけでもない
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

259.2374.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

3.0470.0万円

中古車を検索
レガシィツーリングワゴンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

259.2374.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

3.0470.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村