■徐々に広がりを見せる「後席用サンシェード」とはどんな装備?
クルマには、「走る・曲がる・止まる」といった基本性能以外にさまざまな機能が備わり、とくに、最近では「煽り運転」や「逆走問題」、そして高齢者による「ペダルの踏み間違い」などが起きないようにする、予防安全や運転支援に関わる装備が注目を集めています。
そのなかで、普段の使い勝手を向上させる機能と移動時の車内を快適に過ごす機能を兼ね備えた「後席用サンシェード」という装備が、広まりつつあります。なぜ、最近になって普及しているのでしょうか。
クルマに備わる機能として、衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑止といった安全機能や、前走車との適切な車間距離を維持しながら追従する運転支援機能などは、運転手に関わるものとしていまや新型車の多くに採用されています。
一方で、車内で快適に過ごす快適にための装備も増えており、最近では「シートヒーター」や「ナノイー・プラズマクラスター」といった機能を全車または一部グレードに標準装備しているクルマも見かけます。このような装備は、基本的に高級モデルから装備化され、徐々に大衆モデルに広まっていくのです。
そんななか、高級モデルからではなく軽自動車のような低価格モデルから波及した装備が後席ドアに備え付けられている後席用サンシェードです。メーカーによってはロールサンシェードやリアドアウィンドーサンシェードと呼ばれ、後席窓の下部に収納されたシェードを窓上部に引っ掛けることで、日除けなどに効果を発揮する装備です。
この後席用サンシェードは、2013年にスズキから発売された初代「スペーシア」に軽自動車で初めて採用されたことから徐々に広まったといわれ、現在では、ホンダ「N-BOX」や「ステップワゴン」、トヨタのミニバンモデル、マツダの最上級SUV「CX-8」などに標準装備やオプションとして設定されています。
従来、高級モデルから標準装備され、その後大衆モデルに波及するクルマの装備ですが、なぜ軽自動車から採用が始まったのでしょうか。大手自動車メーカーの広報スタッフは次のように話します。
「基本的に、装備機能の多くは搭載コストが掛かるために、最初は高級モデルや上級グレードに採用されることが多いです。ただ、後席用サンシェードは高級モデルに需要が無いと考えられていたため採用されてなかったようです。
しかし、後席の同乗者に対するケアやサポートが商品力の強化に繋がることが徐々にわかったことから、ファミリー層をターゲットとするモデルに広がりを見せています」
後席用サンシェードは、従来の快適装備とは違い、多様化するライフスタイルの変化によって誕生した装備といえます。
■軽自動車「スペーシア」やマツダの最上級SUV「CX-8」に後席用サンシェードが備わる理由とは
スペーシアに後席用サンシェードが採用された理由について、スズキの販売店スタッフは次のように話します。
「スペーシアは、室内空間の広さや安全装備の充実、乗り降りの良さなどのパッケージの高さが人気です。また、ファミリー層のユーザーが多いことから同乗者の使い勝手に考慮した装備のひとつとして、ロールサンシェードを一部グレードで標準装備しています。
また、アウトドアなどアクティブなユーザーに人気の『スペーシア ギア』では、キャンプなどの際に窓を開けた状態でロールサンシェードを閉めことで、虫などの侵入を抑止できることなどが好評のようです」
※ ※ ※
後席用サンシェードが軽自動車から装備化が進んでいくなかで、マツダの最上級SUVモデル「CX-8」にはなぜ採用されたのでしょうか。マツダは次のように話します。
「CX-8は、上質で洗練された空間をイメージしています。そのため、後席の乗員に対しても日射しなどによる不快感を低減させる目的として、リアドアウィンドーサンシェードを採用しています。
また、ユーザーのライフスタイルをサポートする意味でも、『CX-8』はシーンを問わないさまざまなニーズに応えられるように、アクティブなシーンにおいても使える機能として、リアドアウィンドーサンシェードを『XD PROACTIVE』『XD L Package』の2グレードに標準装備しています」
また、トヨタの「アルファード」や「ノア」などのホームページには、「後席の方に快適なひとときを提供します」と説明するなど、利便性のみならず快適性にも適した装備のようです。
そうしたなかで、後席用サンシェードはファミリーユーザーをメインターゲットとした日常的な使い勝手から移動自体を重要視した快適な室内空間という幅広いニーズをカバーする、いまの人気ジャンルの軽自動車、ミニバン、SUVに無くてはならない装備といえるかもしれません。
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