セダンがまだ輝いていた時代が懐かしい!
地味だけどイイ
“カツカレー”のようなクルマの進化──新型BMW X6 xDrive 35d M Sport試乗記
今となっては信じられないが、1980~1990年代は、セダンの花盛りだった。
もちろん、セダンにはSUVに対して乗り心地がいい、ステーションワゴンに対して静かなど、いいところが色々あるので、本来は乗用車の王道だ。
1990年代には、日本の自動車メーカー各社が、開発者の信念のようなものをしっかり持ち、いいセダンづくりを追求していた。ただし、バブル崩壊に伴う経営状況悪化から、一部モデルはコストダウンを強いられた。
それでも好景気に開発された全輪駆動システムとかエアサスとか後輪操舵機構とかそれなりに“飛び道具”を使いつつ、核は、乗り心地と広さ。そして、乗ればしっくりくる……今も特にドイツメーカーが追求している、クオリティの高さが目指されていたのだった。
それゆえ、今のセダンとは異なる趣があったのが懐かしい。
(1) トヨタ「カムリ」(5代目)/「ビスタ」(4代目)1990年代のトヨタのラインナップには、セダンが多かった。サイズやエンジンなど微妙に違えて、トヨタが得意とする“縦並びピラミッド”を構成していたが、それだけでなく、走りのセダン、広いセダンなど、セダンの長所をひとつずつ拡張したようなモデルづくりも印象的だった。
パッケージングのいいセダンというと、1994年発売の「カムリ」と「ビスタ」だ。私はこのときのシリーズ、気に入っていた。ビスタとしては4代目、カムリとしては1980年の「セリカ・カムリ」を勘定に入れると5代目となる。通ウケのするセダンで、地味といえば地味。でもクオリティは高かった。
4650mmの全長に対して、2650mmのホイールベース。このホイールベース長は、「コロナ」シリーズ(2580mm)と「マークII」、「チェイサー」、「クレスタ」の3姉妹(2730mm)の中間。前輪駆動の利点を追求して、室内スペースは余裕があった。それに合成樹脂のパーツなどクオリティは高かった。
ボディは雨どいをもたないプレスドアを採用。キャビンまわりの造型は2代目セルシオを連想させた。先代にあったV6エンジンやスポーティツインカムがなくなったのも特徴といえば特徴。
エンジンは、2本のカムシャフトをチェーンとかベルトでなくギアで噛み合わせる効率的な「ハイメカツインカム」とディーゼルターボ。名より実をとるというか、定見である。車重は80kgも低減。このシリーズを開発したエンジニアは「わかっている」と、思ったものだ。
でも、地味なせいか、売れ行きはいまひとつパッとしなかった。カムリはこれが最後となってしまった。いまでもこういうセダン、乗りたい人いると思う。
(2)日産「セフィーロ」(2代目)スタイリングはわりと地味、でも、内容はけっこう凝っていた。1994年に日産が発売した2代目のセフィーロは、アッパーミドルクラスのセダンのマーケットを活気づけてくれたクルマである。
1988年登場の先代が、後輪駆動に直列6気筒エンジン(RB型なのでちょっと古かったけれど)、それに、後輪操舵システムやアクティブダンパーや電子制御ステアリングなど、バブル期らしく、凝りに凝ったモデルという印象が強かった。
モデルチェンジした2代目は、先代の市場を引き継ぐのでなく、前輪駆動方式で、パッケージング重視のセダンという、まっとうなありかたを追求したモデルになった。北米向けに開発されていた2代目「マキシマ」の日本国内向け仕様と、初代とはがらりと変わったのだ。
エンジンも当時日産が力を入れていたVQ型というV型6気筒を搭載。スペース効率にも優れる扱いやすいパワートレインだ。ホイールベースは2700mmとかなり余裕があり、室内は広かったのが印象的だ。
走りことバランスがとれていたものの、突出した特徴に欠けていたのが残念。1997年に追加されたワゴンはスタイリッシュで、2代目セフィーロといえば、個人的にはこちらのイメージが強い。
でも、いまだったら2.5リッターのVQ25エンジン搭載モデルなんて乗ってみたい。初代ほどのインパクトはないかもしれないけれど、まっとうに作られたセダンを、ここでもう一回評価するのは、けっして悪いことではないだろう。
(3)マツダ「カペラ」(7代目)1997年に7代目となって発売されたマツダ・カペラも、2代目セフィーロとちょっと似て、ステーションワゴンが話題になったモデルだ。でもセダンは骨太なスタイリングで、いまの目にもカッコよく映る。
1980年代後半からのマツダは、ユーノスやアンフィニやオートザムといった販売チャネル拡大にあわせて、冒険的なコンセプトのセダンを送り出していた。しかしバブル経済が崩壊して、販売チャネル縮小の決定がくだされ、カペラが復活したのが1994年のことだった。
1994年登場の6代目は、多極化した販売チャネルを手じまいするとともに、1991年から1994年までマツダ「クロノス」と化していたカペラを元の路線に引き戻したモデル。エンジニアがしっかり作りこんだのは、7代目なのだ。
4575mmの全長に対してホイールベースは2610mmを確保。外寸はいわゆる5ナンバーサイズを守りながら、前輪駆動方式によるパッケージングを活かし、室内空間は出来るだけ広くとっていた。しかも乗員のポジションは、まるでイスに座るように上体をできるだけ立てたもの。私はこのまっとうな設計思想が好きだった。
それまではラウンジチェアのようなシートとか、合成樹脂の可能性を追求したようなオーガニックシェイプのダッシュボードとか、実験的ともいえる造型に挑戦していたマツダのデザイン部が、いってみればトヨタ車と真っ向から勝負するような、まじめなデザインを追求したのは、とても嬉しかったのをおぼえている。
文・小川フミオ 編集・稲垣邦康(GQ)
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みんなのコメント
どのように書くかで記者の知識レベルが
すぐに分かる。
知識がある人の場合、
VQエンジン搭載第一号で2リッターには
MT車もあった。
スカイラインやローレルが
ビッグマイナーチェンジで手直しをする中で、
A32はそれをやらずに時代に合わせた装備を
見直して、安定した売れ方をしていた
実は当時の日産を支えたクルマなのに、
メディアはそれを隠したがる。
にわかの場合
すぐ初代の話しをする。
FFセダンというだけで地味扱いをする。
このVQエンジンは、VGエンジンのような
静粛性の高級化志向からエンジンをブン回して
エンジンサウンドが楽しめるようになった。
「本当の日産ユーザー」は走りだけではなく、
VG(VE)やVQエンジンなどそれぞれの良さを
ちゃんと知っている。それで地味扱いするとは、
当時の日産車の良さが何も分かってないね。
弱点が特に無いのが凄い。
全てに置いてバランスが取れてる。
日産は前輪駆動のサルーン作るの上手い。