最新ハイパーカー トップ10
絶大なパワーとパフォーマンス、美しさと猛々しさ、そして最高の走りを備えたハイパーカーは、誰もが夢見るクルマだろう。
【画像】自動車の限界に挑む現代最高のハイパーカー【アストン マーティン・ヴァルキリーを写真で見る】 全27枚
ハイパーカーは莫大な予算と最先端のエンジニアリングによって、ドライバーに究極のスリルを提供する。性能をとことん追求し、ひたすらに頂点を目指す1台だ。
その起源は比較的新しい。1960年代のランボルギーニ・ミウラが世界初の「スーパーカー」だとすれば、「ハイパーカー」の原型はおそらく2005年のブガッティ・ヴェイロンであろう。16気筒、4基のターボ、そして最高速度400km/hを超える性能により、新しい次元に踏み込んだといえる。
ヴェイロンがセンセーショナルなデビューを飾ってから20年、ハイパーカーの数は急速に増えた。純粋なガソリンエンジン車から、パワフルなプラグインハイブリッド車、新世代のEVまで、バリエーションはかなり豊かになった。
ここでは、パフォーマンスの追求において可能性の限界を押し広げる、最新ハイパーカーのトップ10を紹介しよう。どれも自動車の殿堂に名を刻むべく、妥協なく作られたスリル満点の乗り物だ。
1. アストン マーティン・ヴァルキリー
長所:素晴らしいパフォーマンス。史上最も過激な量産車。
短所:非常にうるさい。ハードなドライビングでは快適性は皆無。
アストン マーティン・ヴァルキリーの設計思想については、「妥協を許さない」と表現するのが一番だろう。
レッドブルF1のテクニカル・ディレクターであり、空力の天才とも言われるエイドリアン・ニューウェイ氏(2025年よりアストン マーティンF1に移籍)が開発に携わったハイパーカーで、究極のパフォーマンスを発揮するために生まれた。目標はラップタイムを塗り替えること、ただ1つ。
ナンバープレート、ヘッドランプ、ウィンカーなどを装着しているが、中身は純血のレーシングカーであり、たまたま車検に通るだけなのだ。
軽量なカーボンファイバー製シャシーは高強度で、非常に低いボディは風洞実験を基に形作られ、アクティブ・エアロを備えている。サスペンションも同様で、走行中に姿勢を一定に保ち、安定させようとする。
ハイライトは自然吸気(ただし、マイルドハイブリッド)の6.5L V12エンジンで、最大回転数は1万1000rpm、最高出力1155ps、0-100km/h加速2.5秒、最高速度350km/hを達成する。
インテリアには必要最低限のものしか与えられておらず、身体を動かせるスペースはほとんどない。また、コスワース製エンジンが発する耳をつんざくような咆哮から耳を守るために、ノイズキャンセリング・ヘッドフォンが必要である。
クルマとの一体感は高く、勇気があれば、サーキットでこれほど速く走れるクルマはそうそうない。確かに、アクティブ・サスペンションは重要なフィードバックを削ぎ落とし、標準装備のミシュラン・タイヤは驚異的な出力に対応しきれていないが、直感的な運転体験として、ヴァルキリーに匹敵するものはほとんどない。
2. メルセデスAMGワン
長所:画期的な技術。メルセデスAMG史上最速のモデル。
短所:すべて売約済み。価格が高すぎる。
AMG史上、最もパワフルな1台を紹介しよう。メルセデスAMGワンは、ハードコアでありながらエレガントなクーペだ。F1向けの1.6L V6エンジンに4基の電気モーターを組み合わせ、合計出力は1063ps。
F1チームの技術者たちによって英国で設計されたAMGワン。今から25年前に発売された最高速度344km/hのメルセデス・ベンツCLK GTRを抜き、ブランド史上最速の量産車となった。
エンジン単体の最高出力は574ps/9000rpm(レッドラインまで2000rpm)、最高速度は352km/h、0-100km/h加速は2.9秒とされる。
4基の電気モーターは、最近のメルセデスAMGのF1マシンに由来するものだ。2基はターボチャージャーと電動コンプレッサーの間に配置され、残りの2基はフロントアクスルに組み込まれている。
残念ながら、世界275台限定で、すでに生産枠は完売している。
3. ブガッティ・シロン・スーパースポーツ
長所:世界最速の1台。驚異的なトラクション。
短所:硬い乗り心地。期待外れのハンドリング。
ブガッティ・シロンが発売されたとき、巨大なフォルクスワーゲン・グループの最高峰に立つ至宝であった。その後、ブガッティはリマックに引き継がれたが、その歴史は変わらない。
ブガッティは2005年、世界最速の市販車を世に送り出し、歴史にその名を刻んだ。W16エンジンで最高出力1000psを発生するヴェイロンは、最高速度400km/hの壁を突破した。しかし、いつまでも究極のパフォーマンスカーとして評価されることはなかった。
2016年、シロンが登場した。ヴェイロンがアルミニウム製スペースフレーム構造を採用していたのに対し、シロンはさらに軽量なカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用。また、ヴェイロンは最終形態で最高出力1200psにとどまったものの、シロンでは1500ps近くまで向上した。
そして、1600psのスーパースポーツ仕様でヴェイロンの最高速度記録431km/hを乗り越え、480km/h以上を記録。現在は490km/hに到達している。
圧倒的なパワーと速さを誇るハイパーカーをお探しであれば、シロンが最適だ。ブガッティの16気筒エンジンは、ターボラグが多少あり、エンジンサウンドも甘美なものではない。自動車というよりはホバークラフトや特急列車に近い。しかし、いざ加速し始めると、シロンは容赦というものを捨てる。
乗り心地は硬く、ハンドリングは少し物足りないかもしれない。しかし、自動車史に名を残す驚異的なスピードを味わえるというのは、この上ない体験だ。シロンが実現したことは、依然として偉大な功績である。
4. パガーニ・ユートピア
長所:崇高なエンジンとトランスミッションの組み合わせ。軽量。
短所:完売済み。非常に高価。
スペック表を見ただけでも、パガーニ・ユートピアが偉大なる特徴をすべて持っていることがわかる。
メルセデスAMGから調達した6.0L自然吸気V12エンジンを搭載し、最高出力858ps、最大トルク111.8kg-mを発生する。これは前身のウアイラよりも約60ps高い出力だ。
すべてのパワーとトルクは7速MTによって制御される。それでいて車重は1280kgと、マツダMX-5(日本名:ロードスター)より100kgほど重いだけだ。
インテリアは華やかでグラマラスだ。高品質のアナログ・ダイヤル、削り出しのスイッチ類、人間工学に基づいたデザインに加え、1つのアルミニウムブロックから削り出されたモダンなステアリングホイールを備えている。
ユートピアは多くの人にとって夢のようなクルマだが、たとえ億万長者であっても簡単に手に入れられるものではない。
これまでのパガーニ同様、ユートピアは超高級車だ。クーペ仕様はわずか99台しか生産されず、そのすべてが完売している。しかし、コンバーチブル仕様やサーキット走行専用のバリエーションならまだチャンスがあるかもしれない……。
5. ピニンファリーナ・バッティスタ
長所:甘美なステアリングフィール。非常にパワフル。
短所:高価なので幸運を祈るしかない。20分の1の値段で買えるサーキット専用車ほど楽しくない可能性あり。
最高出力1900psを誇るピニンファリーナ・バッティスタなら、その速さについては説明不要だろう。カーボンファイバーを多用しながら、車重2200kgとかなり重いことを考慮してもだ。
バッティスタは、内燃機関が廃止される未来を見据えた、まったく新しい世代の高性能EVである。リマック・ネヴァーラと基本構造を共有し、0-100km/h加速2秒以下、0-300km/h加速わずか12秒という笑えるほどの加速性能を持つ。
同時に、クルマとの一体感もある。3基のモーターのうち、リアに搭載された2基から最偉大1222psを発生させるため、後輪駆動車のようなハンドリングを持ち、サーキットでは自由自在なコーナリングが可能だ。
ステアリングはスムーズかつ正確で、公道では「GT」の名に恥じないパフォーマンスを発揮する。航続距離は最長500kmと謳われ、アダプティブ・ダンパーが乗り心地を改善してくれる。ただし、カーボンファイバー構造がサスペンションからの「ゴツン、ゴツン」という音と衝撃を伝えるため、少々うるさい。
しかし、全体的に見れば、バティスタは不思議なほど魅力が深いクルマである。気に入る点はたくさんあるが、価格を考えればそれも当然だろう。
6. ロータス・エヴァイヤ
長所:他の電動ハイパーカーより軽量。驚異的なパフォーマンス。
短所:まだ試作段階。航続距離が短い。
高性能車がこれからどこへ向かおうとしているのか。今回3台のEVを取り上げたように、その羅針盤はもう定まっているのかもしれない。
筆者はうるさくて、速くて、どこまでも回せるドラマチックな内燃機関マシンが大好きだが、強烈かつ緻密にコントロールされたトルクを瞬時に発生させるEVの魅力も否定できない。ロータス・エヴァイヤでは、その美点がはっきりと描かれている。
量産車の実力は、まだ定かではない。今のところ、AUTOCARの英国記者がロータスの社内テストコースでプロトタイプに試乗しただけだ。それでも、十分に期待させるものだった。
電気であろうとなかろうと、エヴァイヤの性能値に疑いの余地はない。70kWhのバッテリーと4基の電気モーターを搭載し、車重は約1700kgと重いが、ピーク時の合計出力は約2000psに達し、ピレリPゼロ・トロフェオRタイヤを履き、0-300km/h加速わずか9秒と謳われている(ブガッティ・シロンより4秒以上速い)。
プロトタイプの試乗では、低速からの発進加速はあまり印象的ではなかったものの、160km/hを超えたあたりでは容赦ない力強さでぐんぐんスピードを上げていき、四輪駆動でありながらロータスらしいハンドリングが感じられた。
量産車ではさらに完成度が高まっていることを期待したい。
7. フェラーリSF90 XXストラダーレ
長所:とんでもなく速い。ダウンフォースによるブレーキング時の圧倒的な安定性。
短所:他の「XX」モデルほど希少な存在ではない。公道走行可能なXXは、本当にXXなのか?
フェラーリの「XX」のバッジは、特別なシリーズモデル、つまりトップ・オブ・トップのモデルにのみ与えられる。その数は非常に限られ、フェラーリがこれまで生産したのは合計で100台にも満たないと言われている。それも、最も優遇された顧客向けだったという。
フェラーリのハイブリッド・ハイパーカーであるSF90は、このXXバッジを取得した最新モデルであるが、今回は少し趣が異なる。
史上初の公道走行可能なXXモデルであり、フェラーリは1400台を生産する予定だ。既存車両のおよそ15倍にあたる台数である。
では、標準車と比べて何が変わったのか? SF90 XXはまず、ハンドリングを強化するエアロダイナミクス強化が施されている。
パワートレインもアップグレードされている。4.0L V8ツインターボエンジンに3基の電気モーターが組み合わされ、合計出力は30psアップの1030psとなる。
歴史的に知られているXXモデルとは少し違うかもしれないが、SF90 XXは優れた快適性、目を見張るようなパフォーマンス、そしてよりアグレッシブなルックスを備えた素晴らしいロードカーである。
8. リマック・ネヴェーラ
長所:地球上で最も速いクルマの1つ。驚くべきパフォーマンス。
短所:とにかく高価。
リマックほど短期間で大きな印象を残した自動車メーカーも珍しい。創業者マテ・リマック氏のクロアチアの小さなガレージから始まり、10年あまりでポルシェが一部を所有するようになり、ブガッティの未来を計画する会社に成長した。稀に見る急成長である。
若きリマック帝国の頂点に君臨するのが、「コンセプト・ワン」と「C_Two」に続いて登場したネヴェーラだ。2017年にデビューした際、間違いなく電動ハイパーカーのトレンドの火付け役となった。
ネヴェーラはわずか150台しか生産されないが、最高速度412km/hを記録するなど、さまざまな記録で人々の注目を集めている。
複合素材のシャシーを中心に、各車輪にモーターが内蔵され、合計出力1914ps、最大トルク234kg-mを発生。0-100km/h加速はわずか1.95秒とされる。120kWhの大容量バッテリーにより、航続距離は最長547kmを謳う。
その他、ダブルウィッシュボーン・サスペンション、トルクベクタリング、レベル4自動運転への対応能力など、まさに可能性の塊だ。
9. ゼンヴォTSR-S
長所:世界で最も過激なハイパーカーの1つ。ゼンヴォの初期の製品よりもはるかに説得力がある。
短所:ライバルのハイパーカーよりも重い。非常に高価。
ワイルドなルックスと合計出力1193psという驚異的なパワーを持つゼンヴォTSR-Sは、ハイパーカーと呼ぶにふさわしい素性を備えている。デンマークがこのようなハイパーカーを生んだこと自体が驚きである。
話題を呼んでいるのは、実にユニークな「左右に傾斜するリアウィング」だ。コーナリング時に左右の高さを調整し、ダウンフォースによってボディロールの抑制とグリップの向上を図るというものだ。
ツインスーパーチャージャー付きの5.8L V8エンジンを搭載し、0-200km/h加速を6.8秒(マクラーレン・セナと同程度)で駆け抜けるなど、性能も申し分ない。
また、レーシングカーのようなストレートカットギア(動力伝達ロスを減らすために歯を斜めではなく直線状にカットしたもの)を採用した7速シーケンシャル・トランスミッションを備えている。パワーロスの低減には有効だが、快適性には劣る。
いまのところ、AUTOCARはサーキットでのみ試乗したが、その速さは折り紙付きである。しかし、性能を最大限に引き出すにはかなりの練習と慣れが必要で、ステアリングがかなり鈍いのも気になった。
ただ、リアウィングが効果を発揮しているのか、限界域付近でも驚くほどフレンドリーで扱いやすいと感じられた。コーナリングスピードもかなり速い。その反面、乗り心地は非常に荒々しく騒々しいため、長距離移動では腰と耳を痛めてしまいそうな気がする。インテリアの仕上りは美しい。
ほぼ無名のブランドで、エンジンもゼネラルモーターズ製でありながら、価格はかなり高い。しかし、年間5台しか生産されないため希少性が高い。質感、性能、そして人目を引くスタイルはまさにハイパーカーそのものである。
10. GMA T.50
長所:4.0LのコスワースV12。見事な走り。
短所:100台しか生産されない。実用的ではない。
1992年に登場したマクラーレンF1のデザイナーとして知られるゴードン・マレー氏が、自らの会社を立ち上げて開発したハイパーカーである。GMAとは社名のゴードン・マレー・オートモーティブ社の略。
T.50は、世界中の自動車愛好家が夢中になりそうな1台だ。まず、電気モーターを使わず、代わりに最高出力663ps、最大回転数1万2000rpmの4.0L自然吸気V12エンジンを採用している。
さらに、マクラーレンF1と同様に、厳格な軽量設計とエンジニアリング、そしてコンパクトさを踏襲している。キャビンは3人乗りで、運転席は中央に配置されている。マクラーレンF1の現代版と言っても過言ではないだろう。
そして、T.50の特別感と希少性を大きく高めているのが、他の市販車にはないアクティブ・エアロダイナミクス「ファンカー」だ。巨大なファンの回転によってボディを強制的に地面に押さえつけるというもので、これもゴードン・マレー氏のこだわりの技術である。
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