現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【日独仏伊】輸入車の味、日本車の味は絶滅したのか? まだ生き残っているのか?

ここから本文です

【日独仏伊】輸入車の味、日本車の味は絶滅したのか? まだ生き残っているのか?

掲載 更新
【日独仏伊】輸入車の味、日本車の味は絶滅したのか? まだ生き残っているのか?

 クルマを評価する指標のなかでエンジンスペック、差高速、加速性能、燃費などのように数字で優劣がハッキリとするものはわかりやすい。数字の持つ説得力は絶大だ。

 そのいっぽうで、エンジンフィーリング、ハンドリング、乗り心地、デザインなど数字ではなく好みや経験値を元に感性で評価するものもある。

【買い取り額アップ確実‼】クルマを高く売るために絶対すべきこと

 クルマを移動の手段、道具として評価するだけなら数字だけで評価できるが、クルマは趣味的な要素が重要なため、感性での評価が不可欠になってくる。

 その感性的な評価軸として『味』という表現がよく使われる。味って曖昧だけど、非常に奥深く示唆に富んだ表現でもある。

 昔から、日本車、ドイツ車、フランス車、イタリア車など、生まれた国によって独特の味を持っている。クルマという工業製品に文化、気性、嗜好、風土などが複雑かつ絶妙に絡み合っているためだ。

 日独仏伊の古来からの味とはどんな味なのか? その味を現在最も堪能できるクルマは何か? このテーマで渡辺敏史氏が日独仏伊のクルマを斬る!

文:渡辺敏史/写真:平野学、Mercedes-Benz、RENAULT JAPON、FIAT

日本車の味はクルマが立派な買い物だった時代の名残り

 日本に住む我々にとって、日本車の味を言葉で説明することはとても難しい。言わずとも肌感覚で理解しているところもあるし、分母が大きすぎて端的に纏めるのが難しいというところもある。

 敢えて言うならまず絶対的信頼性に基づく安心感。その安心感から思わず靴を脱ぎたくなるような応接間的室内環境。

 お釣りが残ろうが鋭利な突き上げなどは徹底的になますピッチ&バウンドの味付けや、スピードを出してカーブを曲がる方が悪いと言わんがばかりのスタビ弱な足周り設定。

 キャビンに漏れ伝わる音に対する異常なまでの敵対心……と、そんなところになるだろうか。

 つまりこれらは家と同等にクルマが立派な買い物だった時代の名残りということなのかもしれない。

 一見、悪意満々に思われるかもしれないが、そんなことはない。個人的には歴代のクラウンやセルシオといったトヨタのサルーンは憎からず思っているし、アルファードをはじめミニバン関係のフロアマットに対する執念は外国勢には絶対に真似できないものだと思う。

 近頃はクラウンまでニュルで走りを鍛えてきたことがウリになったりするわけだが、そんななかで伝統的な日本車の味を守り続けているモデルといえば、センチュリーくらいしかないのかもしれない。

古来のドイツ車の味を継承しているクルマは激減している

 ドイツ車の味といえば何はともあれボディ剛性の高さ。それゆえ足回りも設計通りに動き正確に路面を捉え続ける。

 そのロードホールディング性は路面にしがみ付くかのごとしで、大きな入力にはめっぽう強いが、低中速域での乗り心地にはアラが目立つ。運動性能のためなら遮音など二の次……と、そんな感じではないだろうか。

 ともあれ日本車とは対象的……だったが、2000年以降は様相も変わってきた。これは日本車もドイツ車を目標にボディや足回りの作り込みを考え始めたからでもあり、ドイツ車の側も日本車の乗り心地や静粛性、きめ細かな装備や製造コストの感覚などを研究し採り入れたからだ。

 この辺りの経緯は代々のBMW3シリーズやVWゴルフをみているとよくわかる。

 旧きよきドイツ車的なテイストを今に伝えるクルマというのは探し出すのがなかなか難しい。

 プレミアム御三家やVWなどのモデルは洗練されすぎているし、そういうタッチを持っていたオペルやフォードは日本から撤退してしまった。

 一歩話を進めて、ドイツ車の理想主義と日本車の現実主義をともに吸収して誰も手のつけられない化け物になってしまったクルマとして、思い浮かぶのはメルセデスベンツSクラスだろうか。

フランス人の現実主義がフランス車の味にも如実に現われている

 クルマづくりの好敵手としてともに進化の手を緩めない日本車とドイツ車に対して、フランス車は商圏が限られていることもあり時流の鳥瞰に消極的だ。

 電動化やADASといった近年の先進技術への対応の遅れをみてもそれは明らか。でも「そんなん誰が求めてるわけよ」と開き直れる強さが彼らにはある。

 それは南米や北アフリカといったこれから伸びることが予想される地盤を背景に持つからでもあるだろう。その地においては、廉価で堅牢で乗員含む積載力が乗れることが望まれる。

 日独に対すれば、ある意味よほど現実主義でもあるといえるだろう。

 そんなフランス車の味はベーシックなクルマにこそ強く宿っていると思う。車格のわりにサイズも掛け心地もゆったりしたシート、形式云々関係なくあらゆる入力を丸く収めながらも路面の接地感はしっかりと伝えるバネやダンパーのセットアップ、トップエンドに個性はなくも低回転域から踏んだぶんだけしっかり仕事をするエンジン、形状的にきっちり使い切れる荷室等……。

 これを限りなく旧き佳き時代からのかたちで伝えている現行車といえば、ルノーカングーをおいてほかにないだろう。

イタリア車の味は最もわかりやすく五感を刺激する

 イタリア車の味はこれらの国別においては最も明快だと思う。

 回せば回すほど活き活きと力強く応えてくれる、踏まずにはいられないエンジン、好みはあれど力強く前向きで、確たる造形力を実感させるデザイン、クイクイと向きを変えるに調子の合ったステアリングのギアレシオやロールスピードは早いものの留まってから向こうの粘りがよく効く足周りなど、それらが織りなす重量や質量的な問題とは違う心理的な軽さがクルマに宿っている。

 もちろんフェラーリやマセラティのようなクルマは別枠だが、フランス車同様、廉価なコンパクトカーでもご当地感が存分に感じられるのが嬉しい。

 とはいえ、そういうベーシックなイタリア車の選択肢は年ごとに絞られている。現在フィアットのホームページに掲載されているモデルは500と500X、パンダのみ。うち、最もイタリア車的なフットワークを持つのはパンダだと思う。 

 が、エンジンがツインエアのみという点が惜しい。

 イタリア車の真髄たるエンジンに昔ながらブン回してナンボ感が宿っているのは、200万円以下で買えるフィアット500の1.2ポップだと思う。この4気筒ファイアユニットのスポーティネスこそが旧きよきイタリア車の味だ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
メルセデス、ラスベガス初日の好調は「なんでか分からない」予選に向けて”ダスト乞い”?
motorsport.com 日本版
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
Moto2チャンピオンに輝いた小椋藍、日本人初となる『トライアンフトリプルトロフィー』を受賞
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2008.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.02070.0万円

中古車を検索
センチュリー(セダン)の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2008.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.02070.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村