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日本参入17年目のレクサス、高級車ブランドとして日本で定着したのか? 果たしてドイツ御三家に勝っているのか?

掲載 更新 97
日本参入17年目のレクサス、高級車ブランドとして日本で定着したのか? 果たしてドイツ御三家に勝っているのか?

 レクサスが北米でデビューして30年以上、日本でも17年目を迎えた。日本でのデビュー当初はその当時トヨタバッジをつけていたクルマを高級化してバッジを変えたイメージだったためか苦戦。しかし、地道なラインナップの追加や昨今のSUVブームにも対応し、着実に販売台数は伸びている。

 そんなレクサスは元祖高級車御三家であるメルセデスベンツ、BMW、アウディに対抗できているのか? 昨年の販売実績をグローバルで比べつつ、日本での市民権獲得状況についても見ていきたい。

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文/石川真禧照、写真/レクサス、メルセデスベンツ、BMW、アウディ、ベストカー編集部

■2021年は過去2番目のグローバル販売実績を記録

 世界中の自動車メーカーが半導体不足やコロナ禍による出社や出荷停止などで、生産・販売台数が低減するなか、今年2月1日のレクサスからのプレスリリースは衝撃だった。

 2021年のグローバル販売実績は76万台。この数字は、レクサスブランドがスタートしてから、過去最高だった2019年の76万5000台に次ぐ台数だったのだ。

 しかも「モデル別では電動車の販売が過去最高を記録しました。電動車に対するユーザーやマーケットのニーズの高まりとともに、レクサスならではのHV/PHEV/BEVの電動車の幅広い選択肢を、コンパクト/セダン/SUVといった多様なラインナップで提供したことが世界中のユーザーから支持を得たと考えています」(レクサス広報・談)

今まで電動車はハイブリッドがメインだったレクサス。昨年、NXにPHVを追加したが、今後はBEVをどんどん投入し、2035年には100%BEVとなる予定だ

 世間ではトヨタが電動化に対して消極的と言われていたが、販売実績を見ると、すでに昨年のレクサスの電動車比率は34%なのだ。これは今まで知られていなかった事実だ。

 レクサスブランドが北米でスタートして33年、日本でも17年目を迎えたが、レクサスは世界と日本のマーケットに定着したのか?

 最大のライバルであるドイツ御三家(メルセデス、BMW、アウディ)に勝っているのか? を今、検証してみた。

■レクサスは北米の高級車ブランドとして1989年に誕生!! LSは世界に衝撃を与えた

 その前にまずはレクサスがスタートした経緯から。トヨタは1980年に、それまで大衆車を中心に販売していた北米市場の将来を調査した。そこで判明したのは将来の北米での高級車はドイツ御三家を中心とした高級車が進出してくることだった。

 そこでトヨタは新しい高級車像を考えた。ドイツ御三家の高級車に負けない品質と安全性に加えて、トヨタが得意とする経済性と信頼性を生かしたクルマを作り、輸出する。こうして初代LS(日本ではセルシオとして発売)が誕生した。LSはアメリカや欧州の高級車メーカーに衝撃を与えた。

北米の高級車ブランド参入のため、開発された初代LS。その出来のよさは高級車ブランドの元祖だったメルセデス ベンツすら驚いたという

 その後、GS、ES、IS、SCなどのセダン/クーペに加えて、LX、GX、RXというSUV系も販売した。レクサスは徐々に北米でも知名度を上げた。

■北米での販売は好調に推移。設立10年目には高級車ブランドの首位に立った!!

 発売から10年目の1999年にはメルセデスベンツやBMW、アウディを抑えて、高級車のなかでの販売台数でトップに立った。しかも2010年までその座をキープしたのだ。この時の主役は、LSとLXという高級モデル2車だった。つまり、レクサスが高級ブランドとして北米のユーザーに認知されたということになる。その後もベスト5以内には常に顔を出している。

2000年代LSと並び、北米販売の双璧だったLX。ランクル100系をベースにレクサスの高級感を取り入れたことや、もともとのサイズ感が北米市場にもマッチしたのだろう

 ちなみに昨年の販売台数を見ると1位が33万6644台のBMWで、前年比20.8%増という大躍進を遂げている。2位はレクサスで33万2000台。レクサスは前年比12%増だった。3位はメルセデスベンツで31万8456台で、これは前年比0.3%増にとどまった。ちなみにアウディは19万6038台だ。

北米で昨年一番売れたのはBMWだった。僅差でレクサスが続く。メルセデスベンツは前年とほぼ横ばいと上位2社ほど伸びず、2万台以上差をつけられ3位に甘んじた

 北米デビューから30年以上を経過し、レクサスは北米での高級ブランドとしてメルセデスベンツ、BMWと同レベルの高級ブランドとして定着しているといってよいだろう。

■一方、御三家の本場欧州での販売は現在も苦戦が続く。伝統に打ち勝つのは至難の業⁉

 販売台数で苦戦しているのが欧州マーケット。もともと欧州の高級車は自家用車よりも社用車としての購入のほうが多い。会社がある地位以上の社員に対してクルマも供与する、いわゆる「カンパニーカー」としての需要が多い。そうした会社とメーカーは以前からの関係で結びついている。なので、いきなり新参のブランドが入りこもうとしても、なかなか高い壁になっているのだ。

欧州では盤石の強さを見せるメルセデスベンツ。個人所有よりも会社所有の場合が多く、顧客企業が脱炭素を標榜するのであれば、急速に電動化を進めざるを得ない事情も理解できる

 この状況は今でも大きくは変わっていない。昨年のドイツ御三家はメルセデスベンツ69万6136台で、前年比マイナス11.2%。BMWは76万3204台で、これは前年比プラス約4.0%。アウディは61万7048台で、前年比マイナス0.4%だった。レクサスはプラス2%ではあったものの、その台数は7万2000台。圧倒的にドイツ御三家に大きく水をあけられている。

 しかし、その内容を見ると1位UX(約2.1万台)、2位NX(約1.9万台)、3位RX(約1.8万台)と、ベスト3をSUV系が占めている。以前のようにフリートユース主体のセダン系で勝負せずに、SUVで販売の核を構築しているのがわかる。

欧州での販売トップはレクサスの末弟「UX」だ。写真はそのBEV版である「UX300h」だ。
レクサス初のBEVがUXベースだったのは、同車が同地域の最多量販車種であることも関連しているのだろう

 しかも、こうしたSUVは、トヨタの場合、HVやPHEVという電動車が中心。なので、欧州市場でのレクサス車の電動化率は65%という高水準に達している。

■中国市場でもドイツ御三家の強さは圧倒的

 中国市場ではドイツ御三家はかなり力を発揮している。昨年、この市場で活躍が目立ったのはBMW。前年比8.9%増という伸びを見せている。販売実績も81万5691台を達成した。2位はメルセデスベンツで、こちらは前年比2.0%のマイナス、75万8863台を販売した。3位はアウディの70万1289台。これはマイナス3.6%になる。

中国ではアウディも大きなシェアを持ち、なんと年間70万台を販売する。高級車ながら日本の中堅メーカー1社の年間台数分を販売してしまう中国市場の大きさに驚くばかりだ

 レクサスだが、前年比1.0%増と健闘しているのだが、販売台数は22万7000台と、御三家の3分の1程度なのだ。ちなみに車種別の1位は4ドアセダンのES(約11万台)、2位にRX(約5.1万台)、3位NX(約3.8万台)だった。それでも電動化率は39%を達成している。

レクサスES。LSに次ぐ大型セダンであり、後席の広さは特筆もの。室内の広さや見栄えのよさが中国では重視されるため、年間11万台もの販売を記録するヒットとなった。社用車だけでなくオーナーカーとしても人気のようだ

 中国市場や欧州市場でドイツ御三家に、販売台数で大きく差をつけられているレクサスだが、それも当然なのだ。総販売台数を比べてみると、メルセデスベンツ205万4962台、BMW221万7795台、アウディ168万550台に対し、レクサスは76万台。

 3位アウディの半分にも満たない台数しか販売していないことを考えると、北米市場での強さは、異常なことと言えるかもしれない。発売当初からのコンセプトが成功していると言ってもよいだろう。

■日本ではベンツに次ぐ僅差の2位。ただ高級車とは言え、日本でトップが取れないのは複雑な思いだ

 最後に日本市場だ。昨年の販売実績が各インポーターから出揃った。

 その結果だが、メルセデスベンツは前年比マイナス9%で、5万1678台。BMWは前年比プラス0.5%で、3万5905台。アウディは1%増で2万2535台だった。レクサスは、4%増で5万1000台を国内で販売した。わずか678台の差でメルセデスベンツには及ばなかったが、ドイツ御三家の二家を破っての販売台数だった。

日本ではここ数年ベンツの復権が著しい。日本でも扱いやすいAクラスの投入がその要因だが、昨年はCクラスもフルモデルチェンジし、さらなるシェア獲得を虎視眈々と狙っている

 ちなみに内訳は1位RX(約1.1万台)、2位IS(約1.0万台)、3位UX(約1.0万台)という。電動車比率は実に69%に達している。大流行のSUVだけではなく、4ドアセダンのISが2位に入っているのが、高級ブランドの証しのひとつかもしれない。

日本のレクサスの1番人気は「RX」。当初はハリアーの分家だったが、代を重ねるごとに名実ともに上級化を図り日本のレクサスオーナーの心を掴んだ。走る姿がレクサス屈指のカッコよさだ

 なぜレクサスがドイツ御三家のなかで健闘していられるのか。

 冒頭でレクサス広報が「電動車の幅広い選択肢をコンパクト/セダン/SUVというライフスタイルに寄り添うクルマ作りに取り組んできた成果」という分析も一理ある。

■レクサスが徹底する「おもてなし」。接客のよさがユーザーの心をキャッチ

 さらにユーザーに取材してみると、レクサスが開業当初から掲げている徹底した接客マナーのよさと、サービス精神が多くのユーザーの心をつかんでいることがわかった。

「犬の散歩の時、公園近くのレクサス店にクルマを預けておくと洗車をしておいてくれる」「夫婦でゴルフ好きだとわかってからはゴルフボールなどゴルフ用品をプレゼントしてくれる」「ディーラーに行くと瞬時にこちらの情報を照会し、名前で呼びかけてくれる」などの声が聞かれた。

長年レクサスのエントリーカーの役割を果たしてきた「CT200h」。3月3日に今年10月の生産終了とファイナルエディションとなる「Cherished Touring」を発表し、最後の花道を飾る

 輸入車からの乗り替えをしたユーザーも「ゴルフ場に行くとレクサス車が多く、安心する」「クルマのトラブルが少ない」「車種による差別がない」と、好意的な声を耳にした。特に女性ユーザーからの信頼と満足度が高い印象を強く感じたのだ。

 発売当初からのクルマ作りや接客マナーがライバルたちを上回っていることが強味になっていることがわかる。

 レクサスが高級ブランドとして日本市場に定着したことは間違いなさそうだ。

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みんなのコメント

97件
  • 欧州車に乗る人とレクサスを買う人は関係ない。
    比べる意味がない。
    ベンツの台数とトヨタの台数を比べますか?
    意味がないでしょ?
  • ドイツ御三家に勝つとか負ける以前に、世界のメーカーがどれだけケチりながら高級そうに見せればいいかをトヨタとレクサスから吸収しようとしているというのが、ここ十数年来の傾向でしょう。レクサスといえば匠の技がたびたび強調されていますが、それはあくまで上乗せしたぼったくり部分で、それを引いたらトヨタが大昔からやっていることと同じく、乾いた雑巾をさらに絞るというどケチを愚直に実践していることと思います。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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