軽自動車ユーザーの間で近年人気が高まっているのがスライドドアだ。ミニバンブームでスライドドアの便利さが広まり、これが軽に波及したためと言われている。
だが、スライドドアを採用したいのは、スペース効率に優れたN-BOXやムーヴ、スペーシアなどの「超ハイト軽」といわゆる車種だ。
日本車最後の良心か? スイフトスポーツがクルマ好きの至宝であるワケ
そんな中、そこまで前高が高くなく扱いやすいムーヴキャンバスが2017年に発売され、大ヒットとなった。そして2021年そのライバルとしてワゴンRスマイルが発売された。
今回はお買い得さに焦点を絞り、この2車をガチンコ対決させた!
文/渡辺陽一郎、写真/ベストカー編集部
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■まずは比較の前に両車を振り返る
2021年登場のスズキ ワゴンRスマイル。ムーヴキャンバスのヒットを受けて登場したスライドドア装備の軽ワゴンだ
軽自動車はボディサイズやエンジン排気量が共通化され、似通ったライバル関係が生まれやすい。全高が1700mmを上まわり、スライドドアを装着したホンダN-BOX・スズキスペーシア・ダイハツタント・日産ルークス・三菱eKクロススペースはその典型だろう。
今は日本で新車として販売されるクルマの40%近くが軽自動車で、軽乗用車の半数以上は、N-BOXやスペーシアのようなスーパーハイトワゴンになる。
ただし「スライドドアは欲しいが、全高が1700mmを超えるスーパーハイトワゴンはいらない」という意見もある。このニーズに応えたのが、2016年に発売されたダイハツムーヴキャンバスと、2021年7月に登場したスズキワゴンRスマイルだ。
2017年登場のダイハツ ムーヴキャンバス。望まれていた『そこまで全高が高くないスライドドア装備の軽ワゴン』として登場し大ヒットした
ムーヴキャンバスは人気が高く、発売から約5年を経過した今でも、1か月に約5000台が届け出されている。標準タイプを含めたムーヴシリーズ全体の約60%をキャンバスが占める。ワゴンRスマイルが登場した背景にも、ムーヴキャンバスの高人気がある。
そこで両車を比べるが、総合的な比較は2021年10月22日に掲載した「ワゴンRスマイル登場!! ムーヴキャンバスに勝てるのか?」(記事リンク)の中で述べている。今回は特に気になるパッケージと装備、価格を含めた商品力を掘り下げたい。10月22日の記事も参照されると、理解がさらに深まると思う。
■全長と全幅はほぼ同じだが全高に差が
ワゴンRスマイル車内。室内高は1330mmで、ムーヴキャンバスを45mm上回る
まず車内の広さやレイアウトなどのパッケージングだが、全長と全幅は軽自動車とあって同じ数値だ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は異なるが、ワゴンRスマイルが5mm長いだけなので同等と考えて良い。異なるのは全高で、ムーヴキャンバスは1655mmに抑えたが、ワゴンRスマイルは40mm高い1695mmだ。
この違いは車内の広さにも影響を与えた。後席に座った時の頭上空間は、ワゴンRスマイルに余裕がある。身長170cmの乗員が座った場合、ムーヴキャンバスの頭上空間は握りコブシ1つ少々だが、ワゴンRスマイルには2つ収まる。
室内高の数値もムーヴキャンバスは1285mmで、ワゴンRスマイルは1330mmだから45mm上まわる。
その代わりワゴンRスマイルの外観は、背が高いのでスペーシアのようなスーパーハイトワゴンに近い。その点でムーヴキャンバスは、少し低めの天井にスライドドアを組み合わせたから、外観の個性が強まった。
ムーヴキャンバス車内。メーターはインパネ中央の奥まった位置に配置される。メータの分インパネに厚みが出るので小柄なドライバーは圧迫感を覚えるかも
車内を個別に見ていくと、インパネの質感は同程度だ。ATレバーやエアコン吹き出し口の配置は、両車とも似ている。
異なるのはメーターで、ワゴンRスマイルはステアリングホイールの奥側に配置する一般的な方式だが、ムーヴキャンバスはインパネ中央の高い奥まった部分に装着した。前方からメーターを見る時、ムーヴキャンバスでは上下方向の視線移動は少ないが、左右方向は少し大きい。
またムーヴキャンバスでは、メーターのためにインパネに上下方向の厚みがあり、小柄なドライバーが運転席に座ると圧迫感が生じることもある。両車の機能は一長一短だ。
■座り心地か? 使い勝手か? 両車の個性は後席にあり!?
ワゴンRスマイル後席。座面は柔軟で座り心地に不満はない
前席の座り心地と快適性は、両車ともに同程度だ。後席は、頭上空間は前述の通りワゴンRスマイルに余裕があるが、足元空間はほぼ同じになる。
身長170cmの大人4名が乗車して、後席のスライド位置を後端に寄せると、後席に座る乗員の膝先空間は両車ともに握りコブシ3つ半だ。Lサイズセダンでも握りコブシ2つ半だから、両車の後席は、前後方向の足元空間がかなり広い。
後席の座り心地は異なる。ムーヴキャンバスは座面の柔軟性が乏しく、角度も水平に近いため、乗員のサポート性はいま一歩だ。その点でワゴンRスマイルは、後席の座面が少し柔軟で、乗員の支え方に不満はない。特に快適とはいえないが、違和感のない後席に仕上げた。
ムーヴキャンバスは後席の座り心地が劣る代わりに、後席の下側に「置きラクボックス」を左右独立して装着している。置きラクボックスは引き出し式の収納設備だが、引き出した状態で中敷きを立ち上げると、バスケット状になる。
この状態で置きラクボックスの内部に買い物袋を入れると、走行中に倒れにくい。シートや床の上に置くと、走っている時の振動で倒れて荷物が散乱する心配もあるが、置きラクボックスを使えば安心だ。
ちなみに置きラクボックスは、ムーヴキャンバスのコンセプトに係わる装備に位置付けられる。ターゲットは娘のいる家庭で、平日は母親が買い物、週末には娘が友人とドライブに出かける使い方を想定している。
そして母親が買い物に出かける時は、予め置きラクボックスの中敷きを立ち上げておく。買い物からクルマに戻ったら、右側の電動スライドドアを開いて買い物袋を置きラクボックスの内部に収め、スライドドアを閉めながら運転席側に移動してスムーズに乗り込む。
ムーヴキャンバス後席。座面はいくぶん硬いが、後席下部に引き出し式に配置された『置きラクボックス』がウリだ。買い物袋の置き場所として抜群の安定感を発揮する
ムーヴキャンバスは、置きラクボックスを使った買い物に出かけた時の導線にこだわった。そこでスライドドアの電動機能も、全グレードの左右両側に装着されている。
その代わりシートアレンジは単純だ。後席の下側に置きラクボックスがあるため、荷室を広げる時も、後席の背もたれを前側へ倒すだけだ。広げた荷室の床には、段差と傾斜ができる。
一方、ワゴンRスマイルのシートアレンジは、ワゴンRやスペーシアと基本的に同じだ。左右独立式になる後席の背もたれを前側へ倒すと、座面も連動して下がり、平らな荷室に変更できる。後席を格納した時の荷室の使い勝手は、シートアレンジが一般的なワゴンRスマイルの方が優れている。
つまり置きラクボックスに魅力を感じるユーザーには、ムーヴキャンバスが相応しく、そうでない場合はワゴンRスマイルが適する。この2車を選ぶ場合、一番の決め手はデザインだと思うが、機能的には置きラクボックスと荷室の違いで選び分けられる。
なお両車の収納設備を比べると、ワゴンRスマイルはフタの付いていないトレイが目立つが、ムーヴキャンバスにはボックスが多い。インパネの左右に装着されるカップホルダーも、ワゴンRスマイルは固定式だが、ムーヴキャンバスは引き出し式だ。収納設備はムーヴキャンバスが勝る。
■安全装備はワゴンRスマイルが充実! 総合的にはどちらを選ぶ?
安全装備は登場が新しい分ワゴンRスマイルが充実。ステアリング後方にメーターを配置したスタンダードなインパネなので視界も良好で安心感がある
安全装備については、両車ともに車両と歩行者を検知できる衝突被害軽減ブレーキ、前後両方向の誤発進抑制機能(エンジン出力の抑制)などを装着する。その上で比べると、後退時に衝突被害軽減ブレーキを作動させる後退時ブレーキサポートは、ワゴンRスマイルは採用するがムーヴキャンバスには付けられない。
またワゴンRスマイルにはサイド&カーテンエアバッグが標準装着されるが、ムーヴキャンバスは、サイドエアバッグのみでカーテンエアバッグは設定されない。
ワゴンRスマイルは座面が柔らかく乗降もしやすい。ムーヴキャンバスの『置きラクボックス』に魅力を感じない場合はワゴンRスマイルが買い得だろう
車間距離を自動制御できるクルーズコントロールやヘッドアップディスプレイは、ワゴンRスマイルではセーフティプラスパッケージ(4万6200円)に含まれるが、ムーヴキャンバスには用意されていない。以上のようにワゴンRスマイルは設計が新しいので、ムーヴキャンバスに比べて先進機能も充実している。
推奨グレードは、両車ともにLEDヘッドランプなどを備えた最上級グレードで、ワゴンRスマイルはハイブリッドX(163万6800円/2WD)、ムーヴキャンバスはGメイクアップリミテッドSAIIIあるいはGブラックインテリアリミテッドSAIII(両グレードとも158万4000円/2WD)になる。
価格はワゴンRスマイルが5万円少々高いが、マイルドハイブリッドも搭載されてWLTCモード燃費は25.1km/L(2WD)だ。ムーヴキャンバスの20.6km/L(2WD)に比べると、燃費数値が22%優れている。以上の違いを客観的に比較すると、ワゴンRスマイルが買い得で選ぶ価値も高い。
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みんなのコメント
あまり信用したくない自動車評論家だ。