ハイブリッド車についての質問です。宜しくお願いします。

Question

以前のご回答で、
日産工場の質問に対し「ハイブリッド技術 … 加減速の多い（＝渋滞路）走行条件でないと，燃費が改善しません。このためコストの高いハイブリッド車は日本に向いていますが，グローバルでは売れる要素がありません」とあります。
２０１２〜２０１４欧州メーカー、特にVWなどは、積極的にハイブリッドカーを売って行くと発表しています。
先日は北米向けパサートハイブリッドも発表していますし、次期ゴルフ７もハイブリッド化が確定されているようです。
これらの欧州メーカーのハイブリッドは、欧州や北米の交通事情でも有効的なのでしょうか？

Answer 1

●ハイブリッド車の燃費改善原理とは？
燃費改善のための方策は下記の4つです。

(1) エンジンの高負荷条件を回避 … 高負荷の効率が悪いゾーンはモータでアシストして回避
(2) エンジンの低負荷条件を回避 … 低負荷の効率が悪いゾーンもモータ・アシストで回避
(3) 減速時のエネルギ回生 … 減速時の車体の運動エネルギを，発電機での発電でエネルギ回生
(4) アイドルストップ … アイドリング時，エンジンを停止することでムダな燃料をカット

これから欧州のように一定速で走行する条件が多いと，燃費改善になる走行シーンがほとんどないことになります。なお車重が100～200kg重くなり，転がり抵抗が大きくなるので，高速道などでは燃費は悪化するばあいが多いです。

●どうして欧州メーカはハイブリッド車を開発するのか？
下記3つの理由からです。

(1) 燃費計測モード
欧州のNEDCのような燃費計測のための走行条件では，市街地走行を模擬した低速度の走行パタンと都市間走行を模擬した高速度のパタンを組み合わせます。この市街地走行燃費を改善するためハイブリッド車を開発しています

(2) CO2排出規制
2015年までに130g/km（＝18.2km/L)という非常に厳しい燃費規制があり，いろいろな手法でモード燃費を改善する必要に迫られています

(3) 簡単ハイブリッド
欧州の変速機メーカや自動車メーカのハイブリッド機構は，従来の変速機内のトルクコンバータ部の代わりに20kW程度のモータを配置する方式を開発しています。これなら従来の変速機の代わりにモータ付き変速機を使い，小型の駆動用モータ＋小型のインバータさえ用意すれば，ハイブリッドになります。いわゆるパラレル型の簡単ハイブリッドです。

このようなハイブリッド機構の燃費効果はあまりなく，やはりトヨタのTHSⅡのような2モータ方式が有利と考えられていました。しかし下記をご覧ください（欧州でのデータです）。

Lexus LS600h，LS600hL
445馬力，9.3L/100km，6.3秒

BMW ActiveHybrid 7, ActiveHybrid 7L
465馬力，9.4L/100km，4.9秒 → 燃費はほぼ同じで加速は圧倒的に7シリーズが優れる

（参考）LS460 ＜ガソリン車＞
381馬力，11.1L/100km，5.7秒

（参考）750i ＜ガソリン車＞
407馬力，11.4L/100km，5.2秒

このように欧州メーカはトヨタの2モータ方式は，コストが高い割に大きな燃費改善効果はなく，しかもこのクラスに必要な加速性能も不足と考えています。

●まとめ
欧州メーカは，トヨタより遅れてハイブリッド車の開発を始めたわけですが，トヨタ方式の問題点をよく分析し，安いコストで普及できる技術にしています。
とは言え，下記の事情があり，ハイブリッド車はあまり売れないでしょう。

・街乗り主体のユーザ（生涯走行距離が短い）＝ トータル燃料費が少なく，ハイブリッド車では元が取れない
・高速主体のユーザ（生涯走行距離が長い）＝ ハイブリッド車での燃費改善効果が小さく，やはり元が取れない

簡単ですが，ご参考になれば幸いです。

質問者からのお礼コメント

ありがとうございました！友人の親がクラウン（ガソリン）→クラウンHVに乗り替えたらいいのですが、街でも高速でもガソリン車より燃費は伸びなかったそうです・・・。100万程高いのに・・・。欧州はとにかく「EURO6」をクリアするために必死ですね。やはりまだ、私にはダウンサイジング欧州車が魅力と思いました。

Answer 2

前半の質問は，日産工場の質問の回答の通りだと言えます。
そもそも町乗りの渋滞が多い場所での燃費低下を防ぐことは出きますが，モータ駆動が活躍できない
田舎道や郊外での安定走行では結局エンジンだけで走る運転になりますのでハイブリッドのメリットは
生かされないということで，もっともな説明だと思います。
逆に，重いだけ悪いのではないかとおもたりしてしまいます。