トヨタ ヤリスクロスハイブリッド 「ガソリン車よりも操舵フィールがマイルド＆クラスでトップレベルの経済性」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ガソリン車よりも操舵フィールがマイルド＆クラスでトップレベルの経済性

2023.12.21

年式

2020年8月〜モデル

総評

ヤリスではちょっと物足りないというユーザーには魅力のある選択肢。ガソリン、ハイブリッドとも軽快な走りが得られ、なかでもハイブリッドはクラストップレベルの経済性が光る。4WDシステムもガソリン車には駆動トルクをリヤへ積極的に配分するダイナミックトルクコントール4WDを採用。ハイブリッドには後輪をモーターで駆動するE-Fourを採用する。走破能力を高めるトレイル4WDモードもあり、降雪地域においてもより安心感のある走りに貢献する。

満足している点

カジュアルなスタイリングに実用性の高さが同居したパッケージングが魅力。コンパクトクラス並みに運転しやすく、パーソナルユースとしては十分なラゲッジルームも備わる。経済性にも優れており、ハイブリッドはこのクラスでトップレベルの経済性をもたらす。

不満な点

せっかくのコンパクトSUVなのに、高さ制限（1550mm）のある立体駐車場には入らない。インパネデザインはヤリスと細部が異なるものの、全体の質感はいまひとつ。エクステリアデザインに見合った新しさを感じさせる内装も欲しいところ。

デザイン

4

基本骨格をヤリスと共用しながら、まったく別のデザインで仕立てられたコンパクトSUV。“ロバスト（頑強さ）”を表現したエクステリアは新しさを感じさせるものだったが、デビューから3年も経過すると街中で見かける機会も多く、見慣れてしまった感もある。ガソリン車とハイブリッドでデザインにこれといった違いはなく、お洒落な実用車といった雰囲気がある。

走行性能

4

1.5リッターガソリン車の動力性能は必要にして十分。実用域では扱いやすく、静粛性にも不満を感じさせない。だが、積極的に走らせるとCVTが高回転を多用するので3気筒ならではのノイズと振動が気になりだす。操縦性に優れ、ハンドリングはこのクラスのSUVではスポーティだ。ハイブリッドはガソリン車よりも操舵フィールがマイルドだが、やはり軽快感のある走りが確かめられる。実用域での静粛性に優れるものの、エンジンが目覚めた際のノイズはやや大きめだ。

乗り心地

4

ヤリスよりも着座位置が高く、前方視界は良好。他のSUVと異なるのは着座位置に対してフロアがやや浅く、やや足を投げ出すポジションとなること。試乗したZの運転席には6ウェイの電動調整機構を備えるが、すべての調節を1つのモーターで行うためか、作動時はウィーンと大きめの音がする。18インチタイヤ装着車の足まわりはやや硬質ながら、快適性の高さではハイブリッドのE-Fourがもっとも好印象だった。

積載性

4

ハイブリッドZの荷室容量はフロアボード上がE-Fourで284L、FFは351Lを確保する。主力グレードの後席シートバックは4:2:4の分割可倒式を採用し、後席に2名が乗車しても中央を前に倒すことでスキー板などの長い荷物を載せることができる。フロアボードも6:4分割式を採用しており、高さのある荷物に応じてフロアの調節が可能だ。

燃費

4

燃費はガソリン車で17.4〜20.2km/L、ハイブリッドは25.0〜30.8km/L。実際の燃費もハイブリッドは流れのいい一般道で25km/L前後、高速では30km/Lを超える経済性を見せつける。同クラスのコンパクトSUVの中でもトップレベルの燃費と言えよう。

価格

4

価格はガソリン車で189.6〜236.7万円、ハイブリッドは228.4〜275万円。ベースグレードのXとGは装備内容に物足りなさを感じる面もありそうだが、予防安全のトヨタセーフティセンスは標準装備となる。ディスプレイオーディオ、後席の4:2:4の分割可倒機構はG以上に標準。装備内容で満足度が高いのはZとハイブリッドZ。ホットなヤリスクロスを求めるならモーターの特性を変更してアクセルレスポンスを向上させたハイブリッドGRスポーツに注目したい。