トヨタ ライズハイブリッド 「乗り味は小さな高級SUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

まるも 亜希子
まるも 亜希子(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
4
燃費
4
価格
4

乗り味は小さな高級SUV

2022.12.21

年式
2021年11月〜モデル
総評
運転しやすい5ナンバーサイズのボディに広い室内と大容量ラゲッジを備えるコンパクトSUVとして、2019年の登場以来、大ヒットモデルとなっているライズ。ガソリンエンジンによる軽快な走りも魅力的でしたが、1.2Lのエンジンを発電専用に搭載し、その電力を使用して100%モーターで走行する「e-SMARTハイブリッド」は、市街地でも扱いやすく、レスポンスの良いなめらかな加速と上質な乗り味で、車格が1つアップしたかのような印象です。その分価格も割高ですが、アクセル操作のみで加減速が可能なスマートペダル(S-PDL)も採用し、新世代のドライブが楽しめると思います。
満足している点
予防安全装備のスマートアシストが進化しました。これはガソリンモデルも含めてですが、衝突回避支援ブレーキ機能は車両だけでなく歩行者も昼夜で検知できるように。ハイブリッドモデルでは標識認識機能が加わり、見逃しによる逆走などを予防。トップグレードのZに標準装備される全車速追従機能付きACCでは、停止保持機能が追加されたことで、渋滞時やロングドライブ時の安全性向上と負担軽減を叶えています。
不満な点
アクアなど価格帯が近いコンパクトカーでは7インチのディスプレイオーディオが標準装備なのですが、ライズハイブリッドは9インチのディスプレイオーディオが9万円オーバーのオプション扱い。これをつけないとバックカメラやパノラミックビューも使えないので、SUVビギナーが多いと思われるモデルだけに、こうした装備がつけやすくなるといいですね。
デザイン

4

既存のガソリンモデルからハイブリッドになったからといって大きな変更はなく、ホイールのデザインが先進的で凝った専用デザインになった程度。もともとライズは正統派SUVをギュッとコンパクトに仕上げたような、タフで堂々としたデザインが好印象で、グッと地面に4つのタイヤが踏ん張るような、安心感があってどんなライフスタイルにも似合う雰囲気が魅力です。
走行性能

5

1.2Lエンジンを発電専用に搭載し、モーターで走るe-SMARTハイブリッドは軽量コンパクトでシンプルな構造。低速からパワフルで発進加速の強さにも驚くほどですが、慣れればストップ&ゴーでもコントロールしやすく、EVのようなレスポンスの良い加速フィールが爽快です。アクセルペダルの踏み加減を調整するだけで加速・減速がコントロールできる「スマートペダル(S-PDL)」は、出足の力強い加速が特徴の「ノーマルモード」と、燃費に優しい「エコモード」が選択可能。低速時はクリープ走行を残すことで、街乗りや駐車場のコントロール性にも配慮しています。
乗り心地

5

車両重量は1.0L 3気筒エンジンを搭載するガソリンの4WDモデルより20kgほど重い程度ですが、低重心となっているのか4輪の接地感がしっかりと感じられ、街中でも高速道路でも落ちついた乗り心地が味わえます。加速がパワフルなので、やや加速Gは強めに感じる場面もありますが、後席でも快適。シートヒーターやスーパーUV&IRカットガラスなどの上級装備、USB、アクセサリーソケット、豊富な収納スペースなど、使い勝手も優秀です。
積載性

4

全長4mを切るコンパクトSUVとしてはトップレベルの369Lという容量を持つラゲッジ。デッキボードの高さが2段階に変えられますが、左右の出っ張りが大きめなのが少し気になります。とはいえ、後席は6:4分割で倒せて、ほぼフラットに拡大。長尺物も積みやすいスペースになっています。ラゲージルームランプは標準装備ですが、トノカバーはオプションです。
燃費

4

28.0km/L(WLTCモード)という燃費はヤリスクロスのハイブリッドといい勝負。というと、もう少し頑張って欲しかった気もしますが、例えば1.2Lのガソリンエンジンを搭載するマイルドハイブリッドのスズキ「スイフト」の燃費が21.0km/L(WLTCモード)なので、比べると圧倒的な効率の良さを感じます。スマートペダルなどでシーンに応じた走行モードを駆使すれば、エコドライブが楽しめそうです。
価格

4

ガソリンモデルのトップグレード「Z」が204万9000円のところ、ハイブリッドは233万8000円。28万9000円のアップとなりますが、基本的な装備はほぼ同等。ハイブリッドには、降車後の足元を照らすヘッドランプ点灯延長機能、電動パーキングブレーキが全車に標準装備となっているほか、災害時などに使える非常時給電システム付きのアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)がオプション設定されているので、もしもの時の備えにもなると考える人におすすめできます。
まるも 亜希子
まるも 亜希子
自動車ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌編集者を経て独立。雑誌、ラジオ、TV、トークショーなどメディア出演のほか、モータースポーツ参戦や安全運転インストラクターなども務める。2006年より日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員。YouTube「クルマ業界女子部チャンネル」、「おっさん on boad」にも出演中。
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