トヨタ GRカローラ 「モータスポーツ直結ブランドと世界の大衆車のタッグ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
3
積載性
4
燃費
2
価格
4

モータスポーツ直結ブランドと世界の大衆車のタッグ

2024.2.28

年式
2022年10月〜モデル
総評
G'sに端を発するGRブランドの最新モデルがGRカローラだ。世界の100カ国以上で販売されているカローラだが、そのハッチバックモデルを大幅に改良しピュアスポーツモデルに仕立てた。搭載エンジンは直列3気筒1.6Lターボで、1Lあたりの出力は190PSにも達する。これに6速MTを組み合わせた。駆動方式にはGR-FOURと呼ばれる電子制御カップリングを用いた前後トルク配分機構を用い、前後にトルセンLSDをドッキング。3つの配分モードがある。
満足している点
速い、そして実用性がある。これがあるから競合スポーツモデルがなかなか太刀打ちできない。見た目を裏切らない走行性能だが、肝となるのはGR-FOURだ。路面状況に応じて前後のトルク配分を変更する。後輪側のデフギヤ比率を変更することで、横置きエンジンのFFモデルがベースながら後輪の駆動力比率を70%まで高めることが可能。S耐はじめ、レースシーンのフィードバックも随時加えられている。ソフトウェアのアップデートも用意されるもよう。
不満な点
走行性能が抜群に高いが、質感という意味では向上させたい。ベースが大衆車であるカローラスポーツなのでとびきり上等な質感を求めるわけではないが、登場時(2018年)のレベルのままであることから、あと少しの上乗せがほしい。また、コロナ禍はじめ不可抗力によるものながら、販売台数が限定されていて、商談権利を得るための抽選で当選しなければ購入できない。いずれカタログモデルとして販売する意向はあるようなので気長に待ちたい。
デザイン

4

大きな開口面積をもったグリルは迫力満点だし、ふくよかなブリスタフェンダーによる踏ん張り感も相当なもの。わかりやすく普通のカローラでないことがわかる。モータースポーツ直系のGRらしく、空力特性をとことん追求した結果のデザインであるところも高く評価した。リヤにはディーラーオプション扱いのゲートスポイラーが用意されるが、これを装着する際には前後の空力特性を加味してFバンパーの穴を塞ぐなど徹底ぶりを披露。もちろんデザイン性も高い。
走行性能

5

パワフルであることはもちろんだが、それ以上にトルク特性やサウンド特性に優れている。ここに引き締められたサスペンションと、ボディに追加されたスポット溶接箇所と延長した構造用接着剤などの効果が加わるから、全域でシャキッとした乗り味が味わえる。走行性能には不満はない。さらに、ゆっくり市街地を走らせただけでもその緻密さが味わえる点もいい。超高級スポーツカーとは異なる、メーカーが本気になって作ったカスタマイズカーは間口がとても広い。
乗り心地

3

角は丸められているものの、同乗者からすれば「カタい!」との声が漏れそうな乗り味だ。ベースのカローラスポーツはしなやかな乗り味がセールスポイントだが、GRカローラはその真逆。しかしGRカローラは走るためのクルマだ。マイルドな乗り心地を望むなら、例えば電子制御ダンパーを装着するフォルクスワーゲン「ゴルフR」など、より高額な同門モデルを購入対象にすべき。スパルタンな割り切りとカローラのもつ実用性の組み合わせに納得できるかどうか。
積載性

4

このボディサイズからすれば十分な使い勝手だ。ハッチバックモデルはよく、ステーションワゴンボディと比較されるが、ハッチバックはリヤのオーバーハングが短いため、後席を使った状態(GRカローラの乗車定員は5名)では荷室容量は最小限になる。しかも前後重量配分を考えてGRカローラのバッテリーはラゲッジルーム下のサブトランク内に収まるから絶対量も少なめ。とはいえ、2名乗車ならば170cmのスキー板を積載できた。リヤリートは分割可倒式だ。
燃費

2

景気よくアクセルを開けていけば燃費数値は下がる。もっともターボには高い過給圧をかけて空気をたくさん送り込み、それに見合ったガソリンを供給するわけだから当たり前だ。とはいえ実用領域も重要。その点、この1.6Lターボは二面性がある。一桁国道を丁寧に、そして流れに沿って走らせれば誰でも18.0km/L程度の数値を記録できる(筆者の実測値)。高出力を発揮する高効率エンジンは熱効率が高いためだ。意外なまでのエコ性能を秘めている。
価格

4

車両価格の525万円は高額だ。しかし、ボディを一から見直して各部にスポット増しや構造用接着剤を塗布し、さらに高出力エンジン、GR-FOURによる前後重量配分メカニズム、専用の外装など、これだけ手を入れてベースモデルのトップグレード+236万円で手に入るなら、高いけど、安い!といえる。2023年の小変更モデルも価格は変わらず。ボルト径を変更し、空力パーツや電力損失低減など、多岐に渡って手が入れられている。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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