トヨタ クラウン（クロスオーバー） 「「優等生」すぎることの功罪」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

「優等生」すぎることの功罪

2024.8.1

年式

2022年7月〜モデル

総評

登場から2年近くが経過し、街で見かける機会も増えてきたクラウン クロスオーバー。2024年4月に一部改良が施されたことで、全体的にさらにこなれた印象だ。一方、特徴的なボディカラーであった「プレシャスレイ×ブラック」が一部改良によって廃止となるなど、良くも悪くも「優等生」であることが強調されてしまった。新しいユーザー、特に若年層を取り込むためにはトガった部分が必要であると感じていただけに少々残念だ。とはいえ、総合力の高さではクラウンシリーズの「エース」であることに変わりはない。リセールバリューの高さも含めて、損をすることのない1台であることは確かだろう。

満足している点

一部改良により、総合力の高さにさらに磨きがかかったことは間違いない。グレード構成がシンプルになったことや、インテリアの質感が増したこと、全席イージークローザーやパノラマルーフなど、魅力的な機能やオプションが追加されたことは一部改良による大きなメリットだ。

不満な点

独特なデザインを持つクラウン クロスオーバーであるが、実際に乗ってみると、思いのほか「ふつう」だ。それはそれで悪いことではないのだが、ユーザーによっては物足りなさを感じることがあるかもしれない。要は、「優等生」すぎるのだ。一部改良により、その感覚はさらに増した印象だ。

デザイン

5

セダンとSUVの特徴をかけ合わせて新たなカテゴリーを創出したそのデザインは、常に新時代を切り拓いてきた歴代のクラウンの精神をしっかりと引き継いでいると言えるだろう。もちろん、単に奇をてらったわけではなく、セダンとSUV双方が持つ機能性を高い次元で両立している。そのうえで、フロントからリアまでデザインは一切破綻していない点は高く評価したい。

走行性能

4

セダンとSUVを「クロスオーバー」させた独特のスタイリングが生み出すその走りは、それぞれのボディタイプの良さをしっかりと両立している。トヨタの強みであるハイブリッドシステムもしっかりとマッチしており、安定感のある走りを演出している。一部改良によって各部の動きはさらにこなれたが、その一方で、あまりに「優等生」すぎる印象を覚えるユーザーも増えそうだ。その点をどうとらえるかで、クラウン クロスオーバーの走りに対する印象は大きく変わるだろう。

乗り心地

4

「クラウン」の名を冠するだけあり、その乗り心地は一定以上のレベルであることは間違いない。後部座席の快適性という意味では、乗降のしやすさなども含めて、クラウン セダンよりも一段格上であるように思う。ただし、「RS」と「Z」は21インチの大径ホイールを装着していることもあり、走行時にバタつきを感じることが少なくない。乗り心地を追求するのであれば、インチダウンしたホイールを選択するのもひとつの手だ。

積載性

3

ラゲッジスペースのサイズ自体は一部改良の前後で変化はない。ただ、従来は一部グレードのみの設定となっていたトランクのイージークローザーが、一部改良により「X」を除く全グレードに設定されたのはうれしいポイントだ。

燃費

3

クラウン スポーツやクラウン セダンと比べてもその燃費性能は上々だ。ただし、「RS」に搭載される2.4Lのハイブリッドターボは刺激的な走りが楽しめる分、燃費性能はそれなりだ。

価格

4

国産車としてはかなりの高価格帯に位置するが、その質感や機能装備を考えると妥当な価格と言える。発売からおよそ2年が経過し中古市場における評価も定まってきたが、リセールバリューも先代のクラウンと同等以上のレベルで推移しているため、総合的なコストパフォーマンスは決して悪くないだろう。