スズキ スイフト 「5速MTも選べる実用ハッチバック」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

5速MTも選べる実用ハッチバック

2024.4.29

年式

2023年12月〜モデル

総評

クルマ好きのボクらにとってスイフトと言えば「スイスポ」を即座に思い浮かべてしまうが、ベーシックなスイフトも幅広い層に人気がある。コンパクトで扱いやすく、経済性も優秀で価格もお手頃だ。新型はスタイリングに賛否があるが、まとまり自体は悪くない。よく出来たふつうのコンパクトカーである。

満足している点

5ナンバーサイズのボディは同クラスのライバルと変わらないが、全長はもっとも短い3850mmに抑えられている。おかげで取り回し性にすぐれ、最小回転半径はクラス最小の4.8mを実現。経済性の高さも魅力でCVTよりも省燃費な5速MTが設定されている。

不満な点

インパネはすべてのグレードで明るいグレーとブラックの2トーンを採用。カラーコーディネートはいいのだが、シボが薄く、いかにも樹脂っぽいのが気になるところ。5速MTが選べるハイブリッドMXのステアリングはウレタンで、シフトフィールも含めていかにも実用車っぽいのは仕方ないところか。

デザイン

3

スイフトらしいラウンドしたショルダーにキャビンを絞り込んだ台形シルエットが新型の持ち味。小さく見えて乗りやすそうに思えるが、キャビンがタイトに感じられるデザインでもある。フロントマスクに先代のイメージを残しているものの、新型はスポーティさよりも大人しい雰囲気で仕上げられている。

走行性能

4

エンジンは新開発の1.2リッター3気筒のみ。パワー＆トルクはやや低下しているものの、実用域では意外なほどの扱いやすさ。マイルドハイブリッドはバッテリーの残量に応じてモーターアシストを行うようだが、体感できるほどではない。しかしフットワークは軽く、地方の一般道では軽快な走りが確かめられる。

乗り心地

3

プラットフォームは先代と変わらないものの、ボディ剛性を高め、サスペンションも見直されたおかげで穏やかな乗り味が得られる。惜しいのは前輪の空気圧を高め（250kPa）としたタイヤ（ブリヂストン・エコピアEP150）が路面によっては硬質に感じられること。

積載性

3

荷室は高さや幅をわずかに拡大しており、開口部も若干大きくなった。奥行きが短めなので容量は小さめだが、左右幅はワイドで使い勝手自体は悪くない。後席は6:4の分割可倒式を採用。シートバックを倒した際のフロアの段差は大きめだ。

燃費

5

主力のマイルドハイブリッドは2WDでWLTCモード24.5〜25.4km/Lの燃費性能を実現。この数値はライバルの本格ハイブリッドに迫るもので、実燃費でも高速で25km/L、信号の少ない一般道では28km/Lの数値を得ている。交通状況や走り方によって数値は変わるが、燃費性能は軽自動車や一部のハイブリッドモデルを上まわるレベルにある。

価格

4

売れ筋と見られるハイブリッドMXは200万円を下まわる192.28万円（2WD）、最上級グレードのハイブリッドMZは216.7万円。両モデルとも先進安全運転支援システムは充実しており、内容もライバルに見劣りしない充実ぶり。ハイブリッドMXには本革巻きステアリングが付かないので触感がチープになってしまうが、コストパフォーマンスや実用性を重視するのであればこれで十分。ディスプレイオーディオや快適装備を充実させたいのであればハイブリッドMZを選択したい。