意外に目指してる方向が違う
ダイハツタントをベンチマークとして開発されたことは間違いないと思いますが、実際に見てみて、乗ってみて、タントとはけっこう目
2008.2.19
- 総評
- 意外に目指してる方向が違う
ダイハツタントをベンチマークとして開発されたことは間違いないと思いますが、実際に見てみて、乗ってみて、タントとはけっこう目指している方向性が違うように思いました。
まず、スズキはこのクルマを軽のフラッグシップカーに位置付けており、価格もスズキにしてはそんなに安く設定していません。ただし、装備面ではタントよりも充実していて、自発光メーター、プッシュ式エンジンスタート、サイドエアバッグなどを最低グレード以外には標準装備。この辺を計算するとタントよりもお買い得感があります。インテリアも広いですが、タントほど極限を追求しているわけではなく、あくまで自然に広いという感じです(タントは不自然なほど広い)。リヤもロングスライドで足元は広々ですが、リヤシートはやや小ぶりな気がします。ただ、フロントシートはタントよりもしっかりしていて座り心地はいいです。
試乗車はNAエンジン搭載の最上級「XS」でしたが、日常的なシーンでまったりと買い物に使うくらいであればいいでしょうが、はっきり言って走りません。信号からそれなりの加速をしようとすると5,000回転くらいまで回してしまいますし、ペースの速いバイパスで大人2人+子どもが乗って、ハイペースで走ろうとするとアクセルはベタ踏みです。それでも80km/hくらいで頭打ちになります。車重910kgはやはり重い。それをメーカーもわかっているようで、「X」は2WDはNAなのに、4WDはMターボにしています。NAではいくらなんでも遅すぎるということになったのでしょう。
「XS」はNAエンジンの最上級グレードで130万円。ターボの「T」が140万円。この差はこのクルマには大きい。絶対に「T」を選ぶべき。NAエンジンなら一番安い「G」で割り切るのがいいでしょう。Mターボは自然なフィーリングですが、パンチはあまりないので、正直なところこの価格ならスズキ自慢の直噴ターボを設定すべきだったと思います。あと、やはりNAエンジンの場合はCVTを採用するダイハツに1日の長があります。900kgオーバーでもタントのNA+CVTはパレットのNA+4ATよりもスムーズでよく走ります。
- 満足している点
- ○タントとはまったく違ったドライビングポジション
タントは頭上空間が非常に広く、ボディも真四角なので、運転席に座るとバスの運転をしているような感覚になりますが、パレットはドライビングポジションがやや低めで、乗用車感覚を失っていません。運転していて、より自然で乗用車的なのはパレットです。
○乗り心地の良いサスペンション
スズキはこのクルマで高級路線を狙っているようで、足周りのセッティングもタントに比べると上質感があり、突き上げ感やゴツゴツとした印象は少なく、フラットで落ち着いた乗り味に仕上げています。乗り心地がいいのはパレットです。
○インテリアの質感がいい
タントもがんばっていますが、ピアノブラック調のパネルは上質感があっていいです。
○装備が充実
サイドエアバッグ、プッシュ式エンジンスタート、自発光メーターはタントにはないです。
○割安なターボがある
タントはカスタムの最上級にしかターボがありませんが、パレットは1ランク下の価格帯にターボがあります。14万円安くターボが設定されています。
○不快なバイブレーションなどが低減されており高級感がある
ステアリングやペダル、シートに伝わってくるバイブレーションはほとんどなく、普通車の4気筒エンジン並になっています。タントよりも上級感がある。
- 不満な点
- ○NAエンジンは非力である
900kgのボディに大人が2~3人乗れば、NAエンジンではかなり遅い。アクセルをベタ踏みしなければならない。燃費もカタログでは20.0km/Lだが、この分ではターボよりも悪化しそうな気配である。
○4速ATよりもCVTが欲しい
スズキはCVTを積極的に採用しないが、特にNAエンジンの場合、4ATがもたついて上手にスピードに乗れない。CVTの効率の良い変速がこのクルマには必要。
○なぜ直噴ターボがないのか?
重いパレットなのにMターボのみの設定というのが「??」。「T」がMターボ、「TS」はトルクが10.5kg-mある直噴ターボにすべきではないだろうか。タントのターボの方がパワフルで走りが爽快。Mターボでは十分満足とはいえない。
- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験