スズキ イグニス 「対話できない相手じゃない」のユーザーレビュー

対話できない相手じゃない

2016.6.18

総評

　複雑なシステムを高度にまとめ上げている点は素直に感心する。　自分としてはやはりMTが至上だとは思っているが、趣味性を求めるのでなければ、システムとしての効率が高いCVTはやはり偉い。誰でも一定程度の高燃費を得られるシステムは、乗る人の工夫によって、さらなる燃費向上が期待できる。これを引き出すのは知的楽しみでもあると感じた。もちろん燃費と車の流れを阻害しない走りは両立させなければいけない。それがさらなる知的楽しみを生むのである。
ただし、乗り心地については、改善の余地がある。
デザインが気に入ればおすすめである。

満足している点

デザインの良さと、燃費性能の高さ。適度によくまとまった操作系。ハンド式のサイドブレーキや直線式のAＴシフトなどレガシーな操作系を残しつつも、最新の燃費改善装置や、安全装置を備え、奇を衒わない普通の良さを追及している点。

不満な点

路面との対話が十分でない。（走行性能欄参照）
１名乗車と、後席に乗員がいる場合で極端に異なる乗り心地。(2016年11月追記)

デザイン

4

走行性能

3

　軽量な車体に1.2Lエンジンは必要十分。街中で流す分にはほぼアクセルを踏み込む必要がない。足を軽く添えてジワッと力を加えてやればいい。
　webや雑誌の記事であまり芳しい評判が聞こえてこなかったCVTであるが、結論から言えば、十分洗練されたシステムだと感じた。少なくとも対話不可能な相手ではない。最近代車として乗った某R社Ｌのオタンコ4ATに比べたら、こんな複雑なシステムを対話可能な状態に仕上げたエンジニアに大きな賛辞を贈りたいと思う。
　懸念されたパワステの違和感だが、確かに戻り方向のアシストが弱いとは感じたが、違和感を感じるほどではない。むしろ某R社の電動パワステより良いと感じたくらいだ。ただし路面との対話感だけは少な目でこれが心もとなさを感じる原因だろう。80kmあまりの試走で感じた欠点らしい欠点はこの部分である。そしてこれが、某R社製の車がなによりも優れる部分でもある。
　CVTの感触について。初期の応答性が悪いと感じるが、これは低燃費走行を促すための味付けだと解釈している。ただし、時に思わぬ（異常な？）急加速を感じる場面があり、一貫性に欠ける。やや熟成不足な面があるのは否めない。(2016年11月追記)

乗り心地

2

適度に張りのある足回りによる乗り心地は全般的に良好。静粛性もこのクラスの車としては必要十分である。ただし、これは１名乗車の場合に限っての話。後席に乗員があると、とたんに馬脚を現す。カングーでは何事もなく通り過ぎる路面で異常な突き上げを感じること多々。ダンパーの容量が足りないのだろうか。サスのストロークは十分に残っているはずなのに底づき感のあるショックを感じてしまう。（2016年11月追記）

積載性

2

後席スライドシートは便利。後席に乗員があっても十分なレッグスペースを確保した上で、適度に荷室とのバランスを調節できる。
後席中央席は極めて短距離を５名乗車で移動するときの緊急用と考えるべき。基本的にちゃんと座れるようには出来ていない。中央席のヘッドレストが無いと言われるが、あえて装着しなかったというのが正しいだろう。

燃費

4

満タン法で、20km/L以上をコンスタントにマーク。

価格

3

故障経験