日産 サクラ 「日常使いにちょうどいい軽規格のBEV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

一条 孝
一条 孝(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
4
燃費
4
価格
5

日常使いにちょうどいい軽規格のBEV

2022.11.25

年式
2022年5月〜モデル
総評
一充電走行距離が短いという指摘もありそうだが、近場の買い物や通勤にはこれで十分。また、ガソリンスタンドが近所にない地方の自動車ユーザーにも自宅で充電できるサクラは重宝するに違いない。スムーズな加速や静粛性の高さは軽ガソリン車とは一線を画すもので、乗り味に関して言えば“小さな高級車”を具現化したかのような仕上がりを見せる。
満足している点
軽としては高価に感じられるかもしれないが、標準でプロパイロットにナビゲーションシステムが備わり、インパネやドアパネルには手触りのよいファブリックが用いられる。さらにタッチパネル式オートエアコン、7インチのメーターディスプレイと9インチのセンターディスプレイなど、モダンかつカジュアルな雰囲気が心地よい。見栄えのよさにおいては従来の軽自動車の枠を超えている。
不満な点
上質な仕上がり見せる内装だが、ステアリングにテレスコピック機能が付かなかったり、助手席側ドアパネルにある車検証入れのカバーが安っぽかったりとコストをかけない部分も見受けられる。ベースとなったデイズからすべてを刷新するのは難しいが、BEVならば外部給電の1500Wコンセントは付けるべき。
デザイン

5

アリアと共通性のあるフロントマスクを採用し、カッパー(銅色)のアクセントで独自の存在感を印象づける。シルエットはデイズと変わらないが、すべてのボディパネルはサクラ専用で起こされている。既存のガソリン車と比べると先進的で、品質感もハイレベル。
走行性能

5

前輪を駆動するモーターはノート/ノートオーラ4WDのリヤモーターと共通のMM48型。最高出力は47kWに抑えられているのは軽自動車の64馬力自主規制に沿ったもの。だが、トルクについては軽ターボの約2倍となる195Nmを発生する。力強い加速は軽の枠を超え、振動やノイズも皆無で、軽であることを忘れさせるほど。ロードノイズが目立つのもそれだけキャビンが静かになったから。
乗り心地

5

フロア下に搭載されるバッテリーは保護を兼ねてフロアの補強も行われている。車両重量が1トンを超えているだけにリヤサスは「ルークス」4WD用が採用されており、軽らしからぬ安定感としなやかでフラットな乗り心地が確かめられる。低重心のパッケージは操縦安定性にも貢献し、不安な挙動を見せないのもサクラの美点だ。
積載性

4

ラゲッジルームは普段の買い物には十分なスペースを確保しており、デイズと同等の広さがある。リヤシートは一体スライド&5:5分割前倒しが可能。倒した際にフロアとシートバックの間ではわずかな段差が生じるが、高さと奥行きには余裕がある。フロア下の収納スペースにはパンク修理キット、オプションの車載用普通充電器(2.9kW)が収まる。
燃費

4

WLTCモードでも一充電走行距離は180km。周囲のBEVと比べると心許ない距離かもしれないが、普段の買い物や近距離の通勤にはこれで十分だろう。充電は自宅で普通充電(200V)を行うのが基本。急速充電の利用も可能だが、対応能力は最大30kWと小さめなので遠出をする際には時間に余裕をもつことが肝心だ。
価格

5

最上級グレードのGはプロパイロット、EV専用ナビゲーションシステムなどを標準装備しておよそ294万円。国のEV購入補助金は55万円、さらに独自の補助金を用意する地方自治体もあるので割安な購入が可能だ。東京都の場合は45万円(再エネ電力導入の場合は60万円)の補助金が出るので、実質200万円以下となる。補助金については事前に自治体に確認しておきたい。
一条 孝
一条 孝
自動車ジャーナリスト
自動車専門誌の編集&ライターとして活動後、自動車ジャーナリストとして専門誌やWeb、タブロイド紙などに寄稿。運転する楽しさを追求するとともに、環境性能やパッケージングにもこだわりを持つ。これまで保有した車の大半はFRレイアウトのマニュアル車。日本自動車ジャーナリスト協会会員
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